ロンドン旅行ガイド

 

11 宮殿 1 ケンジントン宮殿

 

今望んでいるものを手にして、何の得があろうか。それは夢、瞬間の出来事、泡のように消えてしまう束の間の喜びでしかない

(英 劇作家 シェイクスピア)

 

 

ご紹介するケンジントン宮殿は昔、チャールズ王が皇太子時代に一時ダイアナ妃と住まわれていた居所として有名でした。

 

元ご夫妻の長子であるケンブリッジ侯爵(現ウィリアム皇太子)も最近までお住まいでしたが、現在はお子様の教育との関係でウィンザー城の近くに転居されたようです。

 

ダイアナ妃がお住まいだったことから、お住いの当時もそれ以降も観光客のケンジントン宮殿詣でが絶えませんでした。ダイアナ妃はそれほどイギリス社会におけるアイドルだったということでしょうし、ダイアナ妃の長男であるウィリアムが皇太子になった後も、ウィリアムが英国皇室の中心的存在だなどという記事が紙面を飾るほど、その影響力は今でも健在のようです。

 

旅行のスケジュールの制約もありますので、王室関連の観光施設を訪ねるのが旅行の主目的とされている方以外は、ケンジントン宮殿を訪ねる時間はないのかもしれません。

 

バッキンガム宮殿を見た後、あと1か所見に行くとすれば、ウィンザー城とケンジントン宮殿では、チャールズ王のお住まいですので、ウィンザー城を見たいのですが、往復時間を考えると、仮に急いでも3時間は余計に使うでしょうから、時間の制約上から都心にあって内部も見れるケンジントン宮殿を優先することになるのかもしれません。

 

 

ケンジントン・パレス(宮殿)

 

ケンジントン・パレスはケンジントン・ガーデンの中にあります。

 

ケンジントン・ガーデンはハイドパークの西に接する広い公園です。ウィリアム皇太子(チャールズ皇太子(当時)とダイアナ妃の間に生まれた長男。皇位継承1位の皇太子)夫妻の居所としてつい最近まで使われていましたが、宮殿内の一部は一般公開されています。

 

今は少し下火になったとは思いますが、人気があるダイアナ妃関連のものも展示されており、それを目当てに訪れる観光客もいます。ケンジントン・ガーデン内にダイアナ妃の新たな彫像(カバー写真)が作られ、2021年7月に息子であるウィリアムと弟ヘンリーの手で除幕されました。

 

ケンジントン宮殿は水曜日から日曜日までがオープンで、オープン時間は9月末までが10:00-18:00(最終入場が17:00)入場料は大人で£28.0です。  

ケンジントン宮殿(公式)

 

交通

 

交通は「ハイストリート・ケンジントン駅」(地:サークル、ディストリクトライン)から近く、北東側に歩いて行けますが、「クィーンズ・ウェイ駅」(地:セントラルライン)、ノッティングヒル・ゲート駅(地:サークル、ディストリクト、セントラルライン)からも歩いて行くことができます。

 

「パーク」と「ガーデン」

  

ケンジントン宮殿があるケンジントン・ガーデンの東には広大なハイド・パークがつながっています。見た目にはどこからがハイドパークなのか、その境目はわかりません。

 

ロンドン市内にあるパークという名がつく公園には、ハイド・パーク、グリーン・パーク、セントジェームス・パーク、リージェンツ・パーク、ホランド・パークなどがあり、一方、ガーデンという名前がついている公園にはは、バッキンガムパレス・ガーデン、ケンジントン・ガーデン、ベルクレーブ・スクエア・ガーデンなどがあります。

 

おそらく、これら2つははっきりと名前を使い分けていますので、もともとは別の目的の施設だと思われます。

 

それぞれの言葉の由来については諸説ありますが、「パーク」は広いので、昔、王宮の周りに兵隊や馬を集めるために設けられたスペースかと思い、語源を調べたところ、元々は牧草地といった意味だったようです。また、馬を繋ぐことをParking といい、転じて駐車場がCar Parkとなり今では芝生公園と駐車場の双方にこの単語が使われているようです。

 

一方、「ガーデン」の方はフランスで邸宅の周りにある菜園や果樹園のことをそう呼んだようで、今では鑑賞を目的とした花壇のある庭のことをガーデンと呼ぶようです。

 

更に遡ると、ガーデンは昔、薬をとる薬草を栽培する小さな畑を指したようで、僧院などで盛んに薬草栽培がおこなわれたようで、ロンドンにある僧院でもガーデンと呼ばれる薬草畑が現存しています。

 

今様に解釈すると、ミュージック・フェスティバルが開催される場所がパークで、ガーデニングが施された庭をガーデンと呼ぶことになるのでしょう。