2016年4月1日
(写真・文、 光岡主席研究員)
旅行から帰国後、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」を読みました。その本の序文(1971)で作者/故・河田清史先生は述べています。
『今、日本で「古事記」「日本書記」といえば、誰でも”あの物語か“と、すぐ分かります。また、「イリアス」「オデッセイア」といっても、”あのギリシャの物語か“と、分かる人も多いでしょう。
ところが、「ラーマーヤナ」というと、何のことかと、殆どの人が首をかしげます。
(略)
アジア人である日本人は、欧米のことは知っていても、アジアのこととなると、あまりにも知らなすぎました。
従って、アジア人の心などは、さっぱり分からないで何百年も過ぎて来ました。これは悲しいことです。
何千年の昔からある古典物語というものは、その民族の心を語っているものなのです。まして、「ラーマーヤナ」という歌物語は、大昔から現代に至るまで、なお生きているだけに、この物語を知ることは、インドや東南アジアの何億という人々の心を、なつかしく知ることであります。
(略)
アジアの最も古い、美しい面白い物語くらい知らなければ、アジアを理解したとは言えないでありましょう。』
アンコールワットから東40kmの地の密林の中にひっそりと佇む「ベンメリア遺跡」
光も差し込まない謎の部屋
ベンメリア(「蓮の池」の意味)
僕は、遺跡群の中で、ここが、1番好きで。
11世紀末、アンコールワットの直前に造られたヒンズー寺院遺跡。
世界遺産にまだ認定されていないため、崩壊が進んでいます。
発見されたままの密林に覆われた姿が“ものの哀れ”を感じさせ、その寂しさが限りなく美しい。
ベンメリア(続き)
宮崎駿の「天空の城ラピュタ」のモデルとの噂があります。
崩壊し時間が止まり密林に覆われて封印された城・・・全くその雰囲気です。
レリーフ
歩道に転がる石柱と
ヒンズー神話のレリーフ
バルス!(閉じよ!)
(「天空の城ラピュタ」の“滅び”の呪文)
ベンメリア(続き)
奇跡的に保存状態が
良い「ナーガ」(蛇神)
ここから真っ暗な回廊に入ります
バコン全景
ロリュオス・バコン
アンコール王朝最初の都の中心ヒンズー寺院。
伽藍の周囲に環濠が造られた最初のピラミッド型寺院。
ロリュオス遺跡群
シェムリアップから南西25kmにあり、アンコール遺跡群の中で最も古い。
初代王ジャヤヴァルマン2世が790年頃建築、インドラヴァルマン1世が王都として整備した。
日本の平安時代初期の遺跡が千年を超えて残っているのです、
感激です!
バコンへの参道
象
牛
ロリュオス・バコン(続き)
レリーフ・デヴァター(女神)
バコン遺跡の上から見た景色
ブリアコー全景
ブリアコー・獅子像
ブリアコー・レリーフ
ロリュオス・ブリアコー
(“ブリアコー”は、「聖なる牛」の意味)
インドラヴァルマン1世が父/ジャヤヴァルマン2世と
祖先を祀るために879年に建立。
ロリュオス・ブリアコー(続き)
ブリアコー・聖なる牛「ナンディン」
ロレイ・碑文
ロレイ全景
ブリアコー碑文
ロリュオス・ロレイ
ヤショヴァルマン1世が、
父/インドラヴァルマン1世と祖先のために893年に建てたヒンズー寺院。
創建当時は巨大な溜池の中の小島の上に立っていたという。
ブリアコー・デヴァター(女神)
ロレイ・デヴァター(女神)
ロレイ・仏教遺跡・金剛力士像
次回後編に続く