旅物語 海外 第12回 アンコール世界遺跡へ 中編(2016年2月)

2016年4月1日

 

(写真・文、 光岡主席研究員)

 

 旅行から帰国後、古代インドの叙事詩「ラーマーヤナ」を読みました。その本の序文(1971)で作者/故・河田清史先生は述べています。
 『今、日本で「古事記」「日本書記」といえば、誰でも”あの物語か“と、すぐ分かります。また、「イリアス」「オデッセイア」といっても、”あのギリシャの物語か“と、分かる人も多いでしょう。
 ところが、「ラーマーヤナ」というと、何のことかと、殆どの人が首をかしげます。
      (略)
 アジア人である日本人は、欧米のことは知っていても、アジアのこととなると、あまりにも知らなすぎました。  
 従って、アジア人の心などは、さっぱり分からないで何百年も過ぎて来ました。これは悲しいことです。
 何千年の昔からある古典物語というものは、その民族の心を語っているものなのです。まして、「ラーマーヤナ」という歌物語は、大昔から現代に至るまで、なお生きているだけに、この物語を知ることは、インドや東南アジアの何億という人々の心を、なつかしく知ることであります。
   (略)
 アジアの最も古い、美しい面白い物語くらい知らなければ、アジアを理解したとは言えないでありましょう。』


アンコールワットから東40kmの地の密林の中にひっそりと佇む「ベンメリア遺跡」

光も差し込まない謎の部屋

 

ベンメリア(「蓮の池」の意味)

 

 僕は、遺跡群の中で、ここが、1番好きで。

 

 11世紀末、アンコールワットの直前に造られたヒンズー寺院遺跡。

 

 世界遺産にまだ認定されていないため、崩壊が進んでいます。

 発見されたままの密林に覆われた姿が“ものの哀れ”を感じさせ、その寂しさが限りなく美しい。

 

 

ベンメリア(続き)

 

 宮崎駿の「天空の城ラピュタ」のモデルとの噂があります。

 

 崩壊し時間が止まり密林に覆われて封印された城・・・全くその雰囲気です。 


レリーフ

歩道に転がる石柱と
ヒンズー神話のレリーフ

 

バルス!(閉じよ!)

 

(「天空の城ラピュタ」の“滅び”の呪文)

 

 

 

 

ベンメリア(続き)

 

奇跡的に保存状態が

良い「ナーガ」(蛇神)

 

 

ここから真っ暗な回廊に入ります


バコン全景

 

ロリュオス・バコン

 

 アンコール王朝最初の都の中心ヒンズー寺院。
 伽藍の周囲に環濠が造られた最初のピラミッド型寺院。

ロリュオス遺跡群

 

 シェムリアップから南西25kmにあり、アンコール遺跡群の中で最も古い。
 初代王ジャヤヴァルマン2世が790年頃建築、インドラヴァルマン1世が王都として整備した。

 

 日本の平安時代初期の遺跡が千年を超えて残っているのです、
感激です!

バコンへの参道


 

 

ロリュオス・バコン(続き)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レリーフ・デヴァター(女神)


バコン遺跡の上から見た景色


ブリアコー全景

ブリアコー・獅子像

ブリアコー・レリーフ

 

 

ロリュオス・ブリアコー
(“ブリアコー”は、「聖なる牛」の意味)

 

 インドラヴァルマン1世が父/ジャヤヴァルマン2世と
祖先を祀るために879年に建立。

 

 

 

 

 

 

 

ロリュオス・ブリアコー(続き)

 

 


ブリアコー・聖なる牛「ナンディン」

ロレイ・碑文

 

 

 

 

 

ロレイ全景

ブリアコー碑文

 

 

ロリュオス・ロレイ

 

 ヤショヴァルマン1世が、
父/インドラヴァルマン1世と祖先のために893年に建てたヒンズー寺院。

 

 創建当時は巨大な溜池の中の小島の上に立っていたという。

ブリアコー・デヴァター(女神)

ロレイ・デヴァター(女神)


ロレイ・仏教遺跡・金剛力士像


 

次回後編に続く