2015年11月1日
(写真・文、 光岡主席研究員)
日本神話で最も尊い神は「三貴子」と呼ばれる、姉「天照大御神」(太陽神、昼の神)、次弟「月読命」(月の神、夜の神、海の神)、末弟「須佐之男命」(大地の神)の3神です。
「天照大御神」は皇祖神として伊勢神宮に、「須佐之男命」は出雲神話の主人公でありその子孫は出雲大社に祀られ広く信仰され、多くの神話伝承が残っていますが、「月読命(ツクヨミノミコト)」は、たった一つの伝承しかなく謎の神です。
「天照大御神/須佐之男命」を祭神とする神社は各々1万以上あるのに対し「月読命」を祭神とする神社はたった85社しかありません。 天満宮(天神さん)3953社、春日神社1072社と比べても極めて少数です。
京都市内にただ一つ鎮座する「月読神社」と、ただ一つ残る地名の場所を訪ねました。
月
読
神
社
舞
殿
か
ら
本
殿
を
臨
む
「月読神社」は嵐山に近い西山に鎮座する渡来人の秦氏が祀った京都最古の神社「松尾大社」の摂社として松尾大社から歩いて10分弱の所に、神秘の雰囲気を漂わせながらひっそりとでも荘厳に鎮座しています。
摂社ですが、独立した神域を持ち、舞殿、本殿があり、社務所まであります。
月読神社 鳥居
解穢(かいわい)の水
安産祈願の「月延石」
月読神社 本殿
伝承では、“海の神”として壱岐島の月読神社に祀られていた月読命を、古墳時代の487年、壱岐縣主の壱岐氏が京都に分霊、この地に祀ったと言われています。
なぜ大和朝廷の祖先神/天照大御神の弟神の本拠が壱岐なのでしょう。不思議です。
弟神/ 須佐之男命も、日本書記の一説では新羅から来たと言われ、この兄弟は、韓半島と何らかの関係があったことを暗示しているようです、謎です。
境内にはケガレを除く「解穢(かいわい)の水」、神宮皇后ゆかりの安産祈願の「月延石」、縁結びの「むすびの木」などパワースポットだらけです。
「月の神」の隠れた謎を強く感じさせ迫ってきます。
縁結びの「むすびの木」
地名の残る場所は、桂離宮と京都駅の中間、旧山陰道と西高瀬川の交差する所にありました。近所に寺社旧跡もないありふれた下町で、何故ここにこの地名が残るのか不明です。
月読橋
月読橋バス停