2015年10月1日
(写真・文、 光岡主席研究員)
西暦794年、桓武天皇が平安京を造営した際、王城鎮護のため陰陽道に則り、王城の東西南北の4隅に、方除け守護「大将軍」(金星です)を祀りました。
現在も残る、独立した「大将軍社」が3ケ所、他の神社の中に摂社として残るもの2ケ所・・・を訪ねました。 今も5つの「大将軍社」がひっそりと、でも、しっかりと京の都を守っているのです。
北西の守護の「大将軍八神社」は、北野天満宮近くの一条通りにあります。 5つの中では唯一今も人気のお社、鳥居をくぐるとそこは異空間です。 神秘的で大好きなお社です。
北西守護
大将軍八神社鳥居
「八卦」モニュメント
・・「易」「風水」の由来で、方位を意味します
本殿
北東の守護の「西賀茂大将軍神社」、西賀茂の住宅街にひっそりと佇む鎮守様の雰囲気です。
東南の守護の「東三條大将軍神社」、賑やかな三条東山通りの裏手に突然現れる幽玄な神社、道長の父、関白藤原兼家の「東三條殿」の跡地とも言われています。
北東守護
西賀茂大将軍神社
樹齢八百年の銀杏の木、頼政の「鵺退治伝説」の「鵺の森」跡地と言われる。
東南守護
東三條大将軍神社
北東のもう一つの守護「紫野大将軍社」は、京都で最も古く由緒ある「今宮神社」の中に摂社として残っています。
北東守護
紫野大将軍社(今宮神社摂社)
今宮神社は平安以前に起源を持つ京都で最も古く格式のある神社で、「大己貴命(おおなむちのみこと)など出雲系の神々を祀ります、京都のお祭りは、4月の今宮神社の「やすらい祭」から始まります。
今宮神社本殿
南西の守護の「大将軍社」は、伏見の由緒ある古社「藤森神社」に摂社として残っています。
藤森神社は、1800年前神功皇后により創設されたという伝説を持つ古刹で、素盞鳴命(スサノヲノミコト)の主神の他、日本書紀を編した「舎人親王」も祀られています。
因みに「大将軍」は、「素戔嗚尊(スサノオノミコト)」と同一視されています。祇園祭で有名な八坂神社の祭神も「素戔嗚尊」です。 上賀茂神社/下鴨神社を祀った「鴨氏」、広隆寺を建立した「秦氏」・・・全て出雲系あるいは出雲と関係の深かった渡来系の氏族です。
大和朝廷の流れをくむ平安京なのに、何故か大和に滅ぼされた出雲の神々が京都を守護しているのです。 ミステリーです。
南西守護
大将軍社(藤森神社摂社)
舎人親王石碑
藤森神社舞殿から見た本殿
一条通り(妖怪ストリート・大将軍商店街)
「大将軍八神社」のある一条通は、平安の昔、王城の北辺の通りでした、ここから先は異界、そのため時として、異界の妖怪が侵入、“百鬼夜行”する通りでした。
一条通りの西辺にある「大将軍商店街」は「妖怪ストリート」として、お店の前にお店の特徴をだした手作りの妖怪を飾り、お客さまを迎えています。 楽しい通りです。
パン屋(頭は食パン)
衣料品店
魚屋
お茶屋
花屋
薬局
肉屋(鶏肉も)
布団屋