2019年4月16日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第7回; 2019年4月16日)
国内旅客の概観(5)~市場別にみると~
成長は首都圏市場(羽田/成田発着路線)、ほかは伸び悩み
1.旅客が増えているのは羽田/成田発着の路線
国内線を大きく4つの路線に分けて2000年度からの需要推移をみた。
・ 羽田/成田基幹4路線; 羽田/成田と新千歳、大阪、福岡、那覇と結ぶ路線
・ 羽田/成田ローカル路線; 羽田/成田と上記以外の空港を結ぶ路線
・ 大阪路線; 伊丹/関西/神戸と羽成以外の空港とを結ぶ路線
・ その他の路線; 上述以外の路線
① 旅客は羽田/成田発着路線で増えている(基幹4路線、羽成=ローカル線ともに)
一方で、その他の路線は低調(特に大阪路線)
その結果羽田/成田路線の旅客シェア(首都圏市場シェア)は
(2000)60% →(2006)65% →(2017)67%と2/3を占めるに至った。
(路線別旅客数の推移) 単位;万人
② 2006⇒2017年度の動きに注目すると、2極分化がみられる。
2000/2006/2017の旅客数を比較、特に2006⇒2017の動きに着目すると、
・ どの路線もLCCの効果を大きく受けている(全路線で977万人)ものの、
・ 羽/成路線(基幹4路線、ローカル線ともに)では、LCC効果がほぼそのまま旅客増につな
がっている(総旅客は+525万人←LCC588万人)のに対して、
・ 大阪路線とその他路線は、LCCで旅客が増えた(389万人)ものの、
総旅客数はほぼ2006年度のレベルに留まっている。
即ちLCC効果は旅客拡大には機能していない(旅客減の緩和効果のみ)。
(2017←2006の変化に注目すると)
・ 羽成基幹4路線、羽成ローカル線ともにLCC効果が需要を積み上げている
(旅客数;万人;赤はLCC、シェア;%)
(羽成基幹4路線) (羽成ローカル線)
旅客数;万人、シェア;%
・ 大阪路線、その他路線はLCCが需要増に繋がっていない。
(⇒LCC効果で2006年度の需要規模をかろうじて維持している)
(大阪路線) (その他路線)
2. 羽田/成田基幹4路線の旅客増減
羽/成基幹4路線について、もう少し詳しくみることにする。
・ 新千歳は緩やかな増勢が続くが、2006比ではLCC+161万人に対し、総旅客は+87万人。
(LCC効果を下回る)
・ 大阪はLCC効果(+107万人)が打ち消されて、2006比ではむしろ減少(▲16万人)
・ 福岡は2006比で、LCC+98万人を越えて総旅客が増加(+141万人)
SKYやSFJの参入/増便効果も機能していると考えられる
・ 那覇は高い増勢が続き、2006比でも、LCC増に対し総旅客はその倍以上の+138万人。
(羽成=新千歳) 旅客数;万人 (羽成=大阪)
(羽成=福岡) (羽成=那覇)
次回(第8回)の予定です。
国内旅客の概観(6)~市場別にみる(続)~
需要けん引は「LCC」と「沖縄」
以上