2019年4月11日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第5回; 2019年4月11日)
国内旅客の概観(3)~会社別にみると~
1.JALに大きく差をつけたANA
① JAL; ANAと肩を並べていたが、破綻により▲1000万人の差
・ JASとの統合で2002年度は約4700万人でANAと並んだ
・ 2003/2004年度の旅客数は僅かながらANAを上回った
・ 破綻後のリストラで大幅旅客減となりANAとの差は大きく開いた
・ その後回復しているが、2017年度はANAよりなお約1000万人少ない3,400万人
② ANA; CS便拡大効果もあり、今はJALの1.3倍
・ 中堅会社の拡大やLCC登場等でシェアは低下したが、自社便で4000万人規模を維持
・ 加えて提携会社※とのコードシェア便で旅客増が続き、それだけで436万人(2017)、
ANA総旅客の10%を占めている。
(※)ADO、ソラシド、スターフライヤー(SFJ)、IBEX、オリエンタルエアブリッジ
(JAL、ANA旅客数の推移) 単位;万人
2.中堅会社やLCCはどんな位置にある?
① SKY(スカイマーク); 破綻後スピード回復
経営破綻で一時は停滞したが、再建も速く、ほぼコンスタントに旅客規模を増やしている。
2017年度の旅客数は722万人
② 中堅3社(ADO、ソラシド、SFJ); ANAとの提携で安定業績
各社とも経営悪化をANAとの提携で乗り切り、今では着実に旅客数を伸ばしている。
中堅3社は3分の1超の座席をANAに販売している。
3社の2017年度旅客数は561万人
③ LCC; 旅客1,000万人、シェア10%を目前に足踏み
参入後堅調に規模を拡げてきたが、ANAの子会社となったPeachの国内線拡大テンポにブレーキがかかったこともあり、LCC全体としての伸びも緩やかになってきた
④ FDAとIBEX; 実質ANAの運航受託のIBEX、JALと提携のFDA
・FDA; JAL撤退後の小牧をメインベースに堅実に規模を拡大、JALとの提携も強めている。
2017年度旅客数は106万人。
・IBEX; 自販旅客はわずかで、実質的にANA便の運航受託会社化している。
2017年度旅客数は4万人(便当りで2人)。
⑤ その他(地方航空会社); 長崎を基点に県内離島路線を持つオリエンタルエアブリッジ(ANAと提携)、
天草・熊本基点の天草エアライン(JALと提携)、調布と伊豆諸島を結ぶ新中央航空、そして伊豆諸島をヘリ輸送で結ぶ東邦航空である。
(航空会社別旅客数の推移) 単位;千人
3.2006年度からどう変わった?
需要ピークの2006年度と比べると2017年度は+500万人;
・ JAL; 破綻後のボトムからは回復したが、ピークに比べるとなお▲1000万人
・ ANA; 自社便旅客はピークより減少も、他方でコードシェア(CS)便旅客は増加
・ SKY/中堅3社/リージョナル2社; 770万人の増
・ LCCで約1000万人だが、総需要増500万人はその約半分
4.会社別シェア(2017年度)
ANAはCS便も合わせ43%のシェア
LCCに厚い10%の壁
・JALは33.3%
・ANAはCS便4.3%をふくめ43.3%
・中堅3社はあわせて5.5%
・SKYは7.1%
・LCC(9.5%)のうち、Peach 2.9%
Jetstar-J 4.7%
Vanilla 1.4%
・「その他」のうちFDA 1.0%
次回(第6回)の予定です。
国内旅客の概観(4)~会社別にみると~
中堅会社とLCC
以上