2019年4月9日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第4回; 2019年4月9日)
国内旅客の概観(2)~旅客数と事業構造~
長年越えられなかった山;2006年
1.指標でみる構造の変化(その2)
① 長距離便の増加; 便の平均飛行時間、飛行距離は伸び続けてきた。
⇒ 市場が長距離路線(総じて高需要)を中心に拡大してきたと読める。
(総じて需要と採算性の低い近距離地方路線の伸びは小さい)
(※座席距離;kmと平均飛行時間;右目盛り、の推移)
② 燃油効率は向上; 燃油の総消費量は今でもピークの2006年度を下回っている
座席㌔当りの消費量も低下(低燃費機材への更新進行)
(燃油関係指標の推移)
2.指標でみる構造の変化(その3)
指標を注目年度※で比較すると
※1985/2017年度とその間の注目年度である1996/2006年度
(青色文字は1985年度の数値を100とした指数)
2006年度は1つの山であった。
旅客数は2016年度にクリアしたが、座席数は2017年度もそれを下回っている。
・便数; 伸び続け、2017年は1985年の2.22倍
・総座席数; 2017年は1985年の約2倍ながら、2006年よりは少ない
・平均席数; 1996年の243席をピークに減少、2017年は1985年より少ない168席
・総旅客数; 2017年は1985年の2.33倍となり1億人を突破
但しピークの2006年度対比では+515万人(+5%)
・搭乗率; 2017年はハイレベルの72.5%となった。
(スポット4か年の指標推移)
国内線の構造を見る場合、今後は2006年度を基準年として取り上げていきます。
2006年度の意味; 1986年から始まった規制緩和・航空自由化によって、大手会社間競争の幕開けとJAL/JAS統合→JAL/ANA2大会社間競争、それに新規航空会社が加わった国内線市場活性化で、1億人時代の到来を思わせる需要ピークを迎えた。
即ち自由化という制度の1つの集大成が2006年度とも言える。
その後も新規航空会社が生まれたが、リーマンショック、JAL破綻、東日本大震災等の影響で
一度は8000万人を割り込むまで落ち込んだ。
しかしLCC参入による市場再活性化と景気回復等で需要は再び上向き、2017年度には
はじめて1億人を突破した。
国内線市場の活性化効果は、かつてのピークレベルである2006年度をどれだけ越えられた
かというものさしで測ろうとするものです。
次回(第5回)の予定です。
国内旅客の概観(3)~会社別にみると~
JALに大きく差をつけたANA、中堅会社やLCCはどんな位置にある?
以上