2019年4月8日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第3回; 2019年4月8日)
国内旅客の概観(1)~旅客数と事業構造~
新規会社相次ぐも、需要増効果は?
LCCで10年前の規模をクリア
1.旅客数の推移
① 1985⇒2002年度; ほぼ一直線に増加して4,378⇒9,666万人に
45-47体制配廃止(1986)~航空法改正(2000);規制緩和→航空自由化;
・ 主要3社(JAL/ANA/JAS)の路線相互参入で市場活性化
・ 2つの新規航空会社(SKY、北海道国際航空;のちAir Do)就航
② 2002⇒2006年度; 横ばい推移 ⇒9,697万人(過去最高)に
JAL/JAS統合と新規参入(現ソラシド、SFJ、現IBEX);
新規航空会社はあいついで業績不振⇒ANAとの提携に経営の活路
大手2社寡頭体制とその支援を受ける新規会社、中で健闘のSKYという構図
この間2006年度に過去最高の9697万人を記録したものの、実質横ばい状態
③ 2006⇒2011年度; 需要減退 ⇒ 8,000万人を割り込む
リーマンショック(2008)、JAL破綻(2010)と規模縮小、東日本大震災(2011)などの影響で
大幅需要減
SFJやFDAの新規参入も効果は微小
④ 2012⇒2017年度; 需要回復 ⇒1億人をクリア
需要回復で1億人をクリア、ボトム比では大幅増だが11年前(2006)対比では+515万人
相次いで参入したLCCの旅客数は計975万人、2006対比で需要上乗せに効いたのはその約半分という勘定。
2.指標でみる構造の変化(その1)
1985からの流れを指標でみると;
① 1985から便数増と大型化が進んで座席数は大幅増; 2002年度はピークの1.5億席/年
② 大型化は1996年度をピーク(243席)に反転して、以後小型化が進行
2017年度の平均席数は1985年度(189席)よりも少ない168席
③ その後も便数は増えているが、総座席数はピーク時点よりもまだ少ない
④ 近年搭乗率は大きく向上し、これで旅客を積み取っている
(小型化) ・運航コスト効率のよい新鋭小型機に置き換え(JALは極端だがANAも同方向)
・新規参入会社は採算をとりやすい小型機が中心
(便数増) ・羽田/成田の発着枠増が効いている
(図1; 国内線便数、座席数、旅客数の推移)
(図2; 国内線平均座席数、搭乗率の推移)
次回(第4回)の予定です。
国内旅客の概観(2)~旅客数と事業構造~
長年越えられなかった山;2006年
以上