2019年6月11日
(マラソン講座)データから読み解いた航空事業
(第25回;2019年6月11日)
貨物事業(3)~国際貨物(1)~
1.貨物量; 景気等に左右されながらも増傾向で20147年度の貨物量は410万㌧
下図は2000~2017年度の日本発着貨物量(単位;千㌧)の推移を示したもの;
・ 途中ブレはありながらも増傾向にある。
・ 2001年度には同時多発テロがあり、2008年度にはリーマンショックがあった。
・ 発着別にみると、出発貨物に比べて到着貨物の方が多いが、大きな差はない
2.輸出入と乗り継ぎ; 輸出入貨物のほか、乗り継ぎ貨物も多い
下図は2016年度の日本発着貨物量(単位;千㌧、上記とは別のデータ源)の大まかな内訳を示したもの;
・ 輸出貨物/輸入貨物はそれぞれ100万トン強であるが、そのほかに外国からの乗り継ぎの
貨物も多い。
・ 到着の乗継貨物(73万㌧)と出発の乗継貨物(60万㌧)の量が異なるのが気になるものの詳細は把握できていない(外国からの到着→国内線での輸送もその一因と思われる)。
3.品目別;輸出入ともに機械類が圧倒的に多く、輸入では食料品、繊維製品も多い
下図は2016年度の国交省による動態調査の結果をもとに、輸出入貨物の品目別内訳(重量ベースでの構成割合)をみたものである。
・ 輸出では機械類が圧倒的に多く(65%)、これに化学製品、金属製品を加えると88%と
なる。
・ 輸入も機械類が44%と多く、化学製品、金属製品を合わせると半数を超える。
このほか食糧品、繊維製品も多い(合わせて38%)。
・ 機械類の中味をもう少し詳しくみると;
輸出入ともに自動車部品が最も多く、これに事務機/コンピューター、半導体/電子機器や部品、光学/映像機器等が続く。
4.発着空港; 成田で過半、羽田・関西も合わせれば9割
下図は2017年度の空港別貨物量(単位;千㌧)である。
・ 成田が56%と全体の過半を占めている。
・ 羽田は、国際線の便数が増えるに伴って急増し13%を占めるに至った。
・ 関西は21%を占めている。中部は4%。
・ 那覇は、ANAが国内とアジア地域を繋ぐ貨物専用便の基地としたことで増加。
5.行先/発地別; 中台韓香で48%
下図は2016年度の日本発着貨物(重量ベース)について、行先(発貨物)/発地(着貨物)の内訳をみたものである。
・ 中国/台湾/韓国/香港が全体の48%を占める(乗継貨物が多いこともある)。
・ 乗継貨物では、「中台韓香」発の米州向けが多い。
(行先/発地別内訳)
6.その他; 貨物専用便で43%を運ぶ
下図は2016年度の国交省による動態調査の結果をもとに割合をみたものである。
① 貨物の仕立て形態等でみると; 混載が84%、宅配便は10%
・ 84%が混載貨物、特に輸出では94%を占めている。
・ 宅配便貨物は10%、輸入での比率は12%を占めている。
② 運航形態でみると; 43%が貨物専用機で
・ 総貨物量(重量ベース)の43%が貨物専用機で運ばれている。
成田発着貨物の48%、関西発着の43%が専用機による。
ANAが貨物専用機の集散基地としている那覇は専用機が95%を占めている。
羽田はほぼ全て旅客便(貨物室)による輸送である。
・ 貨物専用便の運航会社(旅客便会社、貨物専用会社別)は以下のとおり。
米国本拠の3社で週間約150便が日本発着、機材も大型機(B747系、MD11系)が多いことから輸送量も大きい。
以上