2019年5月25日
(マラソン講座)データから読み解いた航空事業
(第21回;2019年5月25日)
国際旅客概観(7)~JAL/ANAの路線便数構造~
羽田とLCCで圧倒のANA、次はハワイへ
2018年度冬ダイヤ(2019.年1月)をもとに、JAL/ANAの国際定期旅客便の週間便数を
「路線 x 発着空港」で眺めたものです。
① 総便数; ANAは傘下のLCC便でJALを圧倒
JAL;529便/週、ANA;571便/週だが、ANAには傘下のLCC(Peach/Vanilla)が210便ある。
(JAL提携のLCC;Jetstar-Jは63便)
ほかに両社ともに1000便を超える外国社とのコードシェア便がある。
(JAL/ANAの便数内訳)
② 空港別にみた便数; ANAは羽田でJALを圧倒、両社CS便を幅広く活用
JAL、ANAともに羽田/成田を中心に便を張っている。
両社ともに関西/中部は少なく、それ以外の空港発着便はない。
特にANAは羽田/成田への集中傾向が強い(自社便の91%)。
両社の便の差は主に羽田発着で発生(ANA238便、JAL154便)。
羽田増枠でANAに傾斜配分されたことによる。
ANA傘下のPeachは、深夜早朝枠でソウル/台北/上海便を運航。
またPeach、Vanillaは那覇、福岡、札幌の地方空港をカバーしている。
また両社ともにCS便を活用し、自社便数を遥かに上回っている。
③ 羽田便数のJAL/ANA比較; 長距離便でANAが圧倒
便数でANAが圧倒し、その差は特に枠の価値が大きい(便収入の大きい)長距離の米州/欧州、
アジア線で大きい。
(羽田発着便の路線別内訳)
④ 両社の便数を路線別に比べると; JALが上回るのはハワイ線のみ
・ 米州/欧州線; 両社ともに自社便+それとほぼ同数規模のC/S便から成る。
自社便はANAの方が多い(主に羽田)。
・ アジア線; ANAは自社便で多いことに加え、C/S便が圧倒的に多い。
(シンガポール航空、タイ航空、ベトナム航空、ガルーダ航空、フィリピン航空等)
・ 中国/香港線; ANAは自社便が圧倒的に多く、これに傘下LCC便が加わる。
JALはその差をC/S便(中国東方、中国南方航空)でカバーしている。
・ 韓国/台湾線; ANAは自社便が少なく、LCC便への置き換えが進んでいる。
JALはその差をC/S便(大韓航空、中華航空)の多さでカバーしている。
・ リゾート/オセアニア線; JALはハワイ線で圧倒している。
2019年のANA超大型A380の就航でこの勢力図がどう変化するかが注目される。
(JAL/ANAの路線x便数構成)
《参考》 JAL/ANAの週間便数; 2019年1月ダイヤより
(発着空港別にみたJALの週間便数)
(発着空港別にみたANAの週間便数)
以上