2019年5月9日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第14回; 2019年5月9日)
JAL国内線事業構造変の変化(その1)
経営再建への小型化と新鋭化
JALの国内線の機材・路線・便数の変化を時刻表(2017.2月/2006年3月)でみました。
(便数は往復ベース/日、席数は出発便のもの)
1.1日の便数と座席数; 座席数は▲3万席=3割減
・ 便数; 427便(2017) ←495便(2006)と▲14%の減少。
・ 席数; 66.7千席(2017) ←97.3千席(2006)と▲3万席減=3割減。
これには平均席数が156席(2017) ←197席(2006)と小型化(▲21%)したのが影響。
(9人乗り機材を含むプロペラ機増減の影響を外し、リージョナル機以上のJet機でみれば
177席 ←234席と、より顕著な傾向がわかる。)
・ なお 2006年3月のコードシェアの4便は、ごく短期間実施していたスカイマークの
羽田=関西便です。
2. 機材別にみた便数と座席数; 大・中型機は半減、旧型機は新鋭機に入替え
・ 大・中型機は便数▲48%、座席数は▲53%の▲3.3万席の減少。
・ 小型・リージョナル機は便数+22%、座席数はそれを下回る+12%の増
・ プロペラ機の便数/座席数も各3割減。
・ この間旧型機から、運航コスト効率のよい新鋭機への入れ替えが急速に進行。
2006年時点で便数や座席数で6割超を占めていた旧式機が姿を消し、新鋭機に
置き換わった。
(参考) 機種別に見た便数と座席数の変化
今では旧式となったB747、A300、MD90系、B737在来型は全て退役して、
運航コスト効率の良いB777、B737NG(B737-800等のNew Generation)
に置き換えられた。
しかし今またB737MAXやA320neo等、更に新式機材が登場してそれへの更新も始まっている
(機種別座席数の変化; 席/日)
3. 路線別便数/座席数; 便数は羽田=ローカル線のみ増、座席は全路線で減少
・ 羽田/成田絡みのローカル線では、羽田発着枠増の配分を受けて便数増となった。
しかし小型化(平均席が260→186席と3割減)で総座席数は減少した。
・ 羽田=基幹7空港路線(398→317席)はじめ、基幹空港間路線(240→173席)
でも小型化が進んだ。
・ 羽田=基幹7空港; 便数減は関西、新千歳、福岡線の減便や神戸からの撤退、
大幅座席減は大型機運航の減少がそれに加わったことによる。
・ 基幹空港間; 便数減は神戸路線の廃止や中部の減便、かつ大・中型機運航が大幅に減って小型機中心の運航となったことで、座席数は半減となった。
・ 羽田=ローカル線; 九州や四国への路線で便数増となったが、中型機運航が激減して、小型機中心+リージョナル機となって座席数は減少。
・ 他の基幹空港=ローカル線; 中部=ローカル線、神戸/関西=ローカル線で減便となったほか、中心機材がB737⇒ERJとなって座席数が大幅減。 那覇は本土線や離島線の便数減。
・ 純ローカル線; 小牧からの撤退(今は後をうけたFDAとCS)の影響が大きい。
こうした事業構造の変化が収益性にどう影響を及ぼしたか?は後日項を新たに扱います。
次回(第15回)の予定です。
国際旅客概観(1)~需要推移~
近年の需要急伸にも、本邦会社シェア低落、日本人需要は20年前とかわらず
以上