2019年4月30日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第12回; 2019年4月30日)
JAL/ANAの国内線事業構造(3)
両社の機材構造はどう違う?
2019年2月の時刻表をもとにした比較の続編、機材構成を比較しました。
1.JAL/ANAの機材構造比較
国内線の便数を機材の大きさで5分類しました。
・大型機; B777型(300席以上のワイドボデイ機)
・中型機; B787型及びB767型(200席超~300席未満のワイドボディ機)
・小型機; B737型及びA320/A321型(100席超~200席未満の単通路機)
・リージョナル機; ERJ型及びCRJ型(50席~100席未満のJet機)
・プロペラ機; DHC型、ATR型、SAAB型(100席未満)
① 便数比較; ANAが大型機運航の多さ、JALはリージョナル機運航の多さが特徴。
(ANA) 大型機運航がJALより多い。全便の半数が小型機による。
自社ではリージョナル機を保有していない。
中小型機によるCS便が多く、リージョナル機のCS便(IBEX)もかなりある
プロペラ機はオリエンタルエアブリッジとのCS便。
(JAL) 自社便は小型機とリージョナル機で便数の6割以上を占める。
CS便はFDAのリージョナル機と天草エアラインのプロペラ機。
② 自社便の供給座席数;
ANAは過半の席数を大中型機で、JALは過半を小型機とリージョナル機で供給
・ JALは22%(93便)の大中型機便数で、43%の座席(29千席)を供給、
ANAは30%(120便)の大中型機運航で、過半(54%;43千席)を供給。
・ JALは小型機とリージョナル機の266便(62%)で51%(35千席)を供給。
ANAは小型機の便が194便(50%)で39%(31千席)の座席を供給。
(機材の大きさによる便数比較) (機材による供給座席数比較)
自社便数はJALが多い。 自社便座席数はANAはJALの1.2倍。
ANAは大型機の便がJALより多く、 ANAは大型機による座席が多い。
小型機便は全体の半分。
JALは小型機とリージョナル機で座席の
JALはリージョナル機の便が多く、小型機を
過半を供給。
あわせれば6割以上。
(自社便数の比較) (自社便席数の比較)
JAL ANA JAL ANA
2.JAL/ANAの客室仕様の差;
客室仕様については、JAL/ANAに戦略上の大きな差がある。 すなわち、
JAL; 中間クラス(J-クラス)重視が特徴、小型機以上には設けている。
ファーストクラスを設置しているのは中大型機で運航する特定の便に限られる。
ANA; ファーストクラス(プレミアムクラス)とできるだけ多くの普通席の配置が特徴で、中間クラス
は設けていない。
小型機以上の機材では、同型機でもANAの方が座席数が多い。
特に777-200型機ではJAL375席に対し、ANA405席と30席(8%)多い。
(従って同旅客数ならば搭乗率はJALの方が高めとなる。)
(B777-200型の客室仕様)
JALはファースト14+中間クラス82+普通席279 ⇒計375席が基本
ANAはファースト(プレミアム)クラス21+普通席384 ⇒計405席が基本
(B767型の客室仕様)
JALは中間クラス42+普通席219 ⇒計261席が基本
ANAはファースト(プレミアム)クラス10+普通席260 ⇒計270席が基本
出典:各種シートマップはJAL/ANA HP
3.コードシェア(CS)便; ANAが機材の大きさ、便数、席数で圧倒
JAL、ANAのCS便を提携航空会社別にみると;
・ JALはFDAと天草エアラインの33便
・ ANAは中堅3社、IBEX、オリエンタルエアブリッジの5社/147便
・ 中堅3社は小型機以上の機材であり、羽田やその他の基幹空港と結ぶ便も多い。
次回(第13回)の予定です。
JAL国内線事業構造の変化(その1)
破綻前からどう変わった?
以上