2019年4月25日
(マラソン講座)データから読み解く航空事業
(第11回; 2019年4月25日)
JAL/ANAの国内線事業構造(2)
路線便数構造はどう違う? 最近の時刻表より
2019年2月の時刻表をもとに、機材構成も含め比較をみました。
なおここでは路線の括りを前回(第10回)と若干変えています。
1.JAL/ANAの構造比較; JALは便数多い、席数大幅少ない、小型機
ANAはコードシェア便が多い
当然ながら、2019年2月の路線便数構造も2017年実績とほぼ同じです。
・ 1日の便数はJAL427便に対しANAが391便 ⇒JALが36便=9%多い。
・ 一方座席数は、JAL66.7千席に対しANA80.2千席 ⇒JALが▲17%も少ない。
小型の機材が多いためである。(平均席数;JAL156 vs ANA205席)
・ ANAはCS便が147便(ANA便に対し38%)と多く、それによって全体の便数も
ANAがJALを78便も上回っている。
2.JAL/ANAの路線構造比較; JALは純ローカル線が多い
ここでは突出した大市場の羽田を独立して扱い、それに次ぐ基幹空港 (成田/伊丹・
大阪・神戸/新千歳/中部/福岡/那覇)、その他の空港(ローカル)を区分した。
① 羽田=基幹7空港 (成田は含まず); ANAは機材の大きさとCS便で優位
便数はANAがやや多いが、機材の大きさから席数はANAが23%多い。
CS便を加味すれば便数でもANAが4割超多い。
羽田と大空港を結ぶ路線でANAが大きく優位にあることがわかる。
② 基幹空港間 (成田を含む); ANA席数はJALの倍
ANAが便数、席数ともに多く、CS便を加えれば座席数はJALのほぼ2倍。
JALが中部ベース路線が少ないこと、神戸への就航がないことも要因。
③ 羽田/成田=ローカル空港との路線; ANAはCS便で圧倒
便数ではJALがやや多いが、席数ではANAが多い。
但しANAはCS便が52便と多いため、総便数ではJALの1.3倍超。
これをさらに細分してみると;
羽田=北海道路線(除新千歳)、羽田=九州7空港(除福岡);
自社便数はJALが多いが、ANAは中堅3社(ADO、ソラシド、SFJ)とのCS便が
多いため、総便数ではJALを大幅に上回る。
とりわけ顕著なのが羽田=九州7空港路線で、便数はJAL39に対してANAは
64便となっている。
(羽田=九州7空港路線の便数内訳)
④ 基幹空港とローカル空港との路線; ANAは中部路線とCS便でJALを上回る
・便数ではJALがやや多いが、席数ではANAが多い。
・ ここでもANAは中堅3社やIBEXとのCS便の効果で総便数は多い。
・ JALは中部空港とローカル空港をつなぐ路線はない。
・ JALは小牧空港から路線撤退し、それを受け継いだFDAとのCS便でカバーして
いる。
⑤ 純ローカル路線; ANAは自社便なく、CS便だけ
・ ANA便は運航されておらず、IBEXやORCとのCS便がある。
・ JALは北海道内を傘下のHAC(北海道エアシステム)が、鹿児島/奄美地域をJACが、
沖縄離島間をRACが運航するとともに、本州内はFDAとのCS便がある。
次回(第12回)の予定です。
JAL/ANAの国内線事業構造(3)
両社の機材構造はどう違う?
以上