2025.3.10.
本稿はレポートスライド画像を中心に掲載します。
1.IBEXはJDL(前澤ファミリー)の子会社
IBEXは前澤和夫氏(80才)が率いている税務会計のソフトやコンピューターの会社
「㈱日本デジタル研究所(JDL)」の子会社(JDLと前澤氏個人と合わせて67%保有)である。
航空事業には前澤氏の個人的こだわりから参入したようで、それが今日まで続いている。
1999年に㈱フェアリンクを設立、2004年には山岳ヤギの名称を冠したアイベックスに変更した。
この名称はJDLが販売している会計システム(アイベックス)とブランド統一したものである。
ANAとコードシェアを開始したのもこのころであった。
2022年には前澤豊氏(55才、和夫氏のご子息か?)がJDL、関連会社で操縦士訓練等の
アイベックスアビエーション(現スカイネットアカデミー)を経てIBEX社長に就いた。
JDLは毎年高利益の超優良会社で総資産の9割が累積利益、無借金経営でもある。
もともと東証一部に上場していたが、前澤氏の有限会社(JDL技研)が公開買付をして
非上場となったもの(2017)。
2-1)IBEXの収益性
非公開なので詳細不詳だが、2022/2023年度の決算公告によると、累損はあるものの、
その2か年は黒字で、累損が圧縮されている。
なお事業収益(175億円)と国交省に報告されている旅客収入(自社販売)とには
大きな乖離があり、主にコードシェアよるANAからの座席販売収入と考えられる。
2-2)ANAとのコードシェア
IBEXは全便ANAとコードシェアし、両社の共同便の性格を持つ。
IBEXは旅客に自社販売するとともに、ANAに座席を販売して使用料を得る
ANAはその座席をANA客に販売するという形である。
右下の表は、総旅客数とその内訳であるIBEX旅客数、ANA旅客数(推算)を
時系列にみたものである。
2018年度までは実に96%がANA旅客であり、ANAからIBEXへの経営支援的
性格があったものと思われる。
一方ANAにとってもIBEXが持つリージョナルJet機は、ANA機材構成の弱い部分
(機材の隙間)を埋めるものとして魅力もあったと考えられる。
その後IBEXは自販体制を強化したことで、総旅客の22%まで伸張した。
しかしながら、ANAへの依存度が依然高いことには変わりない。
3.機材とネットワーク
IBEXの機材はカナダ/ボンバルディア製のCRJ700(70席)で、
一般に小型機に位置付けられるB737(ANAは165席)より小さく、
地域航空むけのリージョナルJetと呼ばれている。
ANAは地方空港間用にプロペラ機(DHC8)をもっているが、
それより多需要路線を高速、高効率、高サービスで運航するのに適した機材といえよう。
現在9機保有している。
全機材に「ANA Connection」とペイントし、ANA便でもあることを表示している。
また楽天と提携し、特別塗装の楽天イーグルスJetを運航している。
2024.3月時点の従業員数は約370名で、運航乗員、客室乗員は夫々70名程度である。
10空港に展開していて、仙台と伊丹に基地を置いている。