2024.11.5.
この度発表されたJAL/ANA決算概要について、両社の経営状況を
計数的に確認できるよう、比較表示しました。
(注)両社は決算基準が異なるため、厳密な比較でないことに留意下さい。
1.収支概括
(上期実績)
①
両社ともに収入は前年比10%増、営業利益率は10%と傾向は類似、
事業規模の関係で営業利益はJAL859億円、ANA1084億円。
② 全事業にわたってANAの規模が大きいが、特にLCC、貨物で差がある。
・LCC;ANAはPeachの規模が大、JALは提携のJetstar-Japan分は収入に反映されて
いない(持分法で損益には反映)。
・貨物;ANAは貨物専用機事業の規模が大きい。
(通期見通し)
③ JALは下期に大幅増収(特に国際旅客、国内旅客)を見込むことで、上期並みの
利益を得て、通年で1700億円の財務・法人所得税前利益を予定する。
ANAは下期収入を控えめ(特に国内旅客)にみているようであり、上期の半分程度
の利益を得て、通年で1700億円の経常利益を予定する。
JALは積極的に、ANAは保守的にみていると思われる。
2.旅客収入等の上期実績を指標でみると;
①
国際旅客; 両社傾向がほぼ同じ。 JALは搭乗率が向上して82%に。
国内旅客; JALは旅客数の小幅減少により対前年増収は小規模。
②
LCC; JALは長距離のZIPAIRの規模増大。
ANAはPeachの規模は大きく、新たに長距離のAir Japanが登場。
③ 貨物; ANAは貨物専用機事業の規模が大きく、その収入単価も高い※。
※収入㌔単価;旅客機Belly45円、貨物機60円。
3.財務状況;
① 資金状況; ANAは手元資金が多いが有利子負債も多い。
Net資金(現預金―有利子負債)はほぼ同程度。
JALが▲1800億円、ANAが▲1600億円
②
JALは今期の設備投資(主に機材)がやや多く、有利子負債は増加。
ANAは有利子負債圧縮のため現預金はやや減少。
4.機材数の変化
JALは大型機が多いが、他方でリージョナル機も多い。
ANAは中型機、貨物機が多い。
JALは大型のA350が+3機(他方B777が▲1機)、
貨物機(ヤマト運輸の貨物便用)が+1機。
ANAは中型のB787が+3機(うち1機はLCCのAir Japan用)
貨物機が▲2機。
以上(Y.A)