2022年8月11日

米国の主要LCC等4社の業容

  SouthwestAlaskaQ2黒字化、JetBlueSpiritは赤字

   客況はほぼ回復、燃油高騰の吸収可否が分れ目

 

FSC(フルサービスキャリアー)4番手のAlaska Airlinesと、大手LCC3社(Southwest AirlinesSWjetBlue AirwaysSpirit Airlines)の202246月の業容を概観した。

 

1.はじめに; 4社の基礎体力比較

 

 コロナ前の2019年実績をもとに、4社の基礎体力を比較した。

 

     事業規模(収入)はSWが224億㌦と断凸で大きく、その4割程度でAlaskajetBlueが並び、
 Spiritはそのまた半分の38億㌦。」

 

 旅客量もほぼそれにリンクしている。

 

     収益力は全社揃って高いが、SW(利益率13)Alaska(12)Spirit(11)jetBlue(9)の順

 

     旅客単価SWが突出して高く(15.82¢)、Spiritが目立って低い(10.66¢)。

 座席コストも傾向は同じ。

 

 SWのコストの高さは人件費(5.27¢)に由来する。 
 Spiritの人件費はその4割にも満たない(
2.07¢)。

 

     機材構成;

 

  FSCAlaskaB737系とA320系を運航、傘下の地域航空(ホライズン航空等)がE175

   とQ400を運航している。 

中大型機を持たず、小型機に特化していることが、収益性の高さと財務力の強さに繋がっている

と思われる。

 

 

  LCC最大手のSWB737系に統一。 

    SpiritA320系に統一。
  jetBlue
A320系とリージョナル機のE175等を保有。(但し今後E175退役→A220

    置換えを進めている。)

 

     財務状況; SWが断然よく、Spiritは劣る

 

   借入金規模(手元資金Net後); SWは実質的に借入金がゼロ。

Alaskaの借入金は16億㌦で、これは年間総収入の19%の規模。

jetBlueの借入金(Net)規模は収入の23%。

Spiritは借入金への依存度が最も高く収入の65%規模。

 

 有形固定資産(含リース、主に航空機)の効率=回転率; 
SW
の効率が最もよく、固定資産額の1.22倍の収入を稼いでいる。
Alaska
が続き1.02倍、jetBlue0.85倍、Sprit0.78倍と最も低い。

 

  有形固定資産額(含リース)に占めるリース機額の割合SWが最も低く7%、

   jetBlueも低目で10%, Spritはリース機依存が高く28%。

 

  累積利益を表す利益剰余金の規模は、SW179億㌦と最も大きく、これは年間収入の

     8割の規模である。 但し自己株式で相殺されて純資産は98億㌦となっている。

 

 Alaskaの利益剰余金は収入の約6割、jetBlueSpirit5割規模である。

 

2.202268月実績;

 

   収益性と資金状況

・ 収益性;SWAlaskaは黒字、jetBlueSpiritは赤字

 

・ 資金状況; SWAlaskaはコロナ前(2019)より好転、jetBlueSpiritはやや悪化。

  2019年同期との対比;

 

  SW; 増益となり10.36億㌦の税前利益を計上した。

        輸送量(RPM)は▲6%減少したが、旅客単価が18%も上昇して、営業収益は14%増加した。

              この間燃油高騰があったが、旅客単価の上昇効果が大きく、増益となったもの。

        搭乗率も87%と2019のレベルを上回った。

 

 Alaska 減益ながら黒字を計上した。

          好調な理由はSWと同じ。

 

 jetBlueSpirit; 赤字から抜け出せなかった。

輸送量はコロナ前を上回り、旅客単価も上昇した。

しかし、燃油高騰がそれを上回ったことで赤字となったもの。

 

この2社は燃油の高騰規模が特に高かったことが影響しているが、ヘッジの規模と効果が

2社より少なかったためではないかと筆者は想像している。

 

 

(参考)2021年末までの機材数の変化

      ・ AlaskaSWは機数を削減した。
・ jetBlueSpiritは増機。

        なおjetBlueE175からA220への置き換えを開始した。

 

以上(赤井)