2022.11.26.
欧州航空会社のTop3であるルフトハンザグループ(LH)、AF-KLMグループ、IAG(BA等)は
Q3までの実績で、貨物増収が貢献していずれも黒字化した。
特にAF-KLMは営業利益でコロナ前の2019年を上回った。
(注)コロナ前の2019年1~9月実績を比較対象期間とした。
利益区分や事業区分は会社により若干異なる。
1.LHグループ
当グループは、ルフトハンザ航空(LH)はじめ5つの航空会社と貨物、整備事業等から
成り立っており、欧州では最大手の航空会社グループである。
(収支状況)
・ 当期の収入は239億ユーロで、Ebit(利払
前利益)は8億ユーロであった。
・ コロナ前の2019年と比べると、収入は▲14%少なく、Ebitは約半分であった。
・ うち旅客事業は収入はコロナ前の8割弱、Ebitはなお赤字であった。
・ 黒字は貨物事業でもたらされ、収入はコロナ前の1.9倍、Ebitは13億ユーロであった。
(旅客・貨物の指標)
・ 旅客事業の供給(座席㌔)はコロナ前の71%で、需要(旅客㌔)は67%であった。
・ 搭乗率はコロナ前を▲4ポイント下回る79%った。
・ 旅客単価は+17%上昇したが、座席コストは燃油高騰等で+23%上昇、その結果
採算点(B/E)は4ポイント悪化した。
一方貨物は、輸送量がコロナ前より▲2割少
なかったが、単価が2.4倍に高騰、
その結果貨物収入はコロナ前の1.9倍となっ
て利益をもたらした。
(傘下航空会社の旅客収入)
・ ルフトハンザ航空が過半を占めるが、長距離国際線の不振もあってコロナ前の76%
・ スイス航空とオーストリア航空はコロナ前の8~9割程度 に回復。
・ LCCのユーロウングは、規模縮小でコロナ前の4割強。
・ 2016年に取得したブリュッセル航空は、当初方針であったユーロウイングへの統合は行わず、独立会社として連結に加えた。
2.AF-KLグループ
当グループは、フルサービスのAF、KLMのほか、LCCのTransviaを持つ。
(収支状況)
・ 当期の収入は193億ユーロで営業利益は
10.6億ユーロであった。
・コロナ前の2019年と比べると収入は▲7%少なかったが営業利益では上回った。
・ しかしながら金融費用の負担が大きく、
税前利益ではコロナ前に及ばなかった。
・ 収入のうちフルサービスの旅客事業は、コロナ前を▲13%下回ったが、
貨物収入が1.67倍とコロナ前を大きく上回り、
LCCのTransviaもコロナ前の約1.2倍と増加した。
(旅客・貨物の指標)
・ フルサービス旅客事業の供給(座席㌔)はコロナ前の81%、需要(旅客㌔)は76%で、搭乗率は▲5ポイント下回る83%であった。
・ 貨物の輸送量はコロナ前を約2割下回ったが、単価が2倍超と高騰したことが貢献して大幅増収となったもの。
・ LCCのTransviaは、コロナ前を上回る供給(+7%)であったが、需要はやや下回り(▲2%)、搭乗率は▲7ポイント低い85%であった。
しかし単価が2割改善したことで増収となったもの。
3.IAG
International Airlines Groupは、傘下にFSCの英国航空、イベリア航空(スペイン)、エアリンガス(アイルランド)を、そしてLCCのブエリングを持つ。
(収支状況)
・ 当期の収入は167億ユーロで営業利益は7.7
億ユーロであった。
・ コロナ前の2019年と比べると、収入は▲14%少なく、営業利益は約1/3であった。
・一方金融費用の負担も大きく、税前利益では1.66億ユーロにどとまった。
(旅客・貨物の指標)
・ 旅客事業の供給(座席㌔)はコロナ前の75%、需要(旅客㌔)は72%で、
搭乗率は▲3ポイント下回る81%であった。
・ 貨物輸送量はコロナ前を▲3割下回ったが、単価が2.1倍に高騰し、貨物収入としては約1.5倍となったもの。
以上(赤井)