2022.1.18.
政府支援金効果で黒字化だが、実質▲4000億円規模の赤字
米国デルタ航空(DL)の2021年決算(速報)を概観した。
比較は主にコロナ前の2019年比で行っている。
(USD=110円で換算した円貨で表示)
1.収支状況
・ 損益; 税前で438億円、最終で308億円の利益であったが、ひとえに政府からの人件費支援金(約5000億円)効果による。
それが無ければ▲4500億円規模の赤字であり、加えてリストラ損等の特殊要素も除去した、実質の当年度収支でも▲3700億円規模の赤字であった。
これには借入金増大による利息の負担増(約1000億円)も影響している。
・
旅客収入; 供給(ASM座席マイル)はコロナ前の7割前に回復、需要(RPM旅客マイル)は
57%まで回復。 搭乗率は最悪だった昨年より改善し69%となった。
但し平均旅客単価はコロナ前より▲6%低かった。
・ 貨物収入が増加、その他収入も石油精製収入の効果で大幅増。
2.財務状況
・ 手元資金はコロナ前より約9000億円増加、一方で借入金(含リース負債)は1.9兆円増加。
その結果資金状況は約1兆円悪化した。
純資産も主に赤字により1兆円強棄損した。
・ 昨年度末からの推移をみると、借入金が▲1000億円減少したが、手元資金は▲3000億円減少している。 その分有形固定資産が2000規模増えており、設備投資に向けたことが伺える。
純資産も2000億円規模増えている。
現時点ではわからないことも多いが、詳細レポート(10K)が公表された段階で、改めて眺めてみたい。
以上(赤井)