2022.1.21.
DL、UAより国内線割合が高く、需給の回復度は大きいが、収益性が低く債務超過が続いている。
米国アメリカン航空(UA)の2021年決算(速報)を概観した。
比較は主にコロナ前の2019年比で行っている。
(USD=110円で換算した円貨で表示)
デルタ航空やユナイテド航空(UA)と比較して、国内線割合が高いことで旅客需要や収入の回復度は
上回っているが、収益性は低く、3800億円規模の資本増強にも拘わらず、債務超過が続いている。
1.収支状況
・ 損益; 税前で実質▲7200億円の赤字※、政府支援金(4400億円)により赤字は
▲2800億円となった。 最終損益は▲2190億円。
これには借入金増大による利息の負担増(約800億円)も影響している。
※リストラ損等の特殊要素も除去した当年度収支でも▲7600億円規模の赤字。
・
旅客収入; 供給(ASM座席マイル)はコロナ前の75%に回復、需要(RPM旅客マイル)は67%まで
回復。 搭乗率は最悪だった昨年より改善し75%となった。
但し平均旅客単価はコロナ前より▲7%低かった。
・ 貨物収入が増加した。
2.財務状況
・ 手元資金はコロナ前より約1兆円億円増加して1.47兆円となった。
一方で借入金(含リース負債)も1.4兆円増加して、残高は5兆円を超えた。
加えて3800憶円規模の増資があった。
資金状況は7000億円悪化したわけであるが、主に赤字による流出である。
純資産は3800億円規模の増資をしたが、主に赤字による棄損で、債務超過(▲8000億円)
の状態が続いている。
・ 昨2020年末からの推移をみると、借入金が5700億円増加、増資で500億円増、手元資金は6500億円増加した。
純資産の減少も▲500億円に留まった。
現時点ではわからないことも多いが、詳細レポート(10K)が公表された段階で、改めて眺めてみたい。
以上(赤井)