2021.5.13.
国際貨物; ANA、JALも好調
(NCAの収支)
5月10日に発表された日本郵船㈱の2020年度決算で、その航空運送事業(日本貨物航空;NCA)は300億円超の利益を計上した。
その前の2ヵ年は、運航体制の不備から全便運航停止(2018年6月)になるなど、業績が不振を極めていたが、体制立て直しに加えて、今期はコロナの影響による旅客便の大幅減便、海上輸送船腹不足、貨物需要の回復で空前の黒字計上となったもの。
(ANA/JALの国際貨物収入)
ANA、JALも国際貨物収入を伸ばしており、2020年度は前年の約1.6倍となっている。
貨物機による増収は勿論のこと、ANA/JALともに旅客機を貨物専用便として飛ばしている。
但し輸送量(有償㌧㌔)は総じて前年を下回っており、収入単価の大幅上昇が貢献した。
この傾向は当分続きそうである。
(日本発着貨物量)
日本発着貨物量について2020.1月~2021.2月の推移をみると;
(注)ソースの異なる3データによる。NCAと外国社は逆算による類推値。
総発着量(棒グラフ;千㌧)、および前年比(折線;%)をみると、2020.4月以降半年間は、需要の減少と貨物スペース減で前年を大きく下回っていたが、徐々に回復して2021.1月には前年を上回るまでとなった。 貨物機運航の増加に加え、旅客機の貨物専用便運航も貢献している。
その間の国内3社と外国社の推移をみると;
・ NCAは一貫して増加を示し、最近1年間でシェアは8→14%と上昇。
・ ANAは当初は前年を大きく下回っていたが、下期以降顕著に回復して、1月には前年
を27%も上回った。年間シェアは旅客減便の影響のため20→18%と小幅低下した。
・ 貨物機を持たないJALは、旅客機の貨物専用運航で補ったが、シェアは11→10%と小幅低下した。
・ 外国社は旅客減便の影響(貨物機は増えたが)で輸送量が減少、シェアも61→58%と低下した。
(NCAの貨物機とANAの貨物機)
・NCA; 4発エンジンの大型B747-8Fを8機有するほか、Atlas Air(米国貨物会社)の
運航便を利用している(もともとNCAが保有していたB747-400Fをリースアウト
したもの)。
最大積載量は130㌧を超え、欧州、米州への長距離便割合が高い。
・ANA; 大型のB777Fx2機(主に欧米線用で
最大積載量は100㌧強)と、中型のB767x9機
(主に東南アジア路線用で最大積載量は50㌧強)。
(NCAとANAの2021年度見通し)
・ NCA; ほぼ2020年度並みの収入(1210億円)で、200億円の利益を見込んでいる。
・ ANA; 2020年度後半の伸びが続くものとし、郵便や国内貨物も合わせた売上は、22%増を見込んでいる。
以上(Y.A)