2021.6.2.
相似の両社、増資後中小企業に
この度発表されたAIR DO(ADO)とソラシドエア(SNA)の2020年度決算を数字で読み解いてみました。
ANAとのコードシェアなど両社の事業形態は双子のように相似しており、今回の決算も
同じような結果となった。
両社は共同持ち株会社のもとに提携を深化させる(10月予定)。
1.収支と収益性指標(前年比)
① AIR DO;
・ 便数▲37%減→座席㌔▲47%減、差はANA席数の割合が増えたことによる。
・ 旅客数は▲72%、搭乗率が69↘37%と大きく落ち込んだため。
・ 営業収益は▲62%の174億円。 コードシェア収入が旅客減を補った。
・ 営業損益は▲130億円の赤字。
・ 雇用調整助成金(6億円)を得たが、支払利息が大きく、経常損益は▲132億円。
・ 特別損失(2億円)は、退役機材(B767)の減損と思われる。
・ 当期損益は▲122億円。
・ 1便当り収入は▲4割減の129万円、固定費効率低下で費用が1割上昇、
→便当り損益は▲96万円。
② ソラシドエア;
・ 便数▲31%減→座席㌔▲33%減、差はANA席数の割合が増えたことによる。
・ 旅客数は▲63%、搭乗率が64↘35%と大きく落ち込んだため。
・ 営業収益は▲52%の203億円。 コードシェア収入が旅客減を補った。
・ 営業損益は▲105億円の赤字。
・ 雇用調整助成金(8億円)を得、支払利息が少なく、経常損益は▲96億円。
・ 当期損益は▲77億円。
・ 1便当り収入は▲3割減の109万円、固定費効率低下で費用が1割上昇、
→便当り損益は▲56万円。
2.財務状況(期中の変化)
① AIR DO;
・ 借入金(含関連会社から)は110億円増えて132億円となった。
・ 一方手元資金は▲7億円減って160億円となった。
・ それらの増減差(▲117億円)は、要素は多々あるが、突き詰めれば赤字(▲122億円)によるところが大きい(リース依存→有形固定資産少→償却費による回収少)。
・ 繰延税金資産が5億円増えて18億円となった(赤字→将来の税圧縮)。
・ 純資産は▲106億円減って、22億円となった(赤字がヘッジ評価益で減殺)。
② ソラシド;
・ 借入金は133億円増えて187億円となった。
・ 一方手元資金は+64億円増えて121億円となった。
・ それらの増減差(▲69億円)は、要素は多々あるが、突き詰めれば赤字(▲77億円)に
よるところが大きい(リース依存→有形固定資産少→償却費による回収少)。
・ 繰延税金資産が13億円増えて37億円となった(赤字→将来の税圧縮)。
・ 純資産は▲61億円減って、58億円となった(赤字がヘッジ評価益で減殺)。
2.増資とその後の処理
① AIR DO; 増資で70億円を調達する。
・ 資本金;増資後「1億円」にまで減資、税務優遇の多い小規模企業とする。
・ 資本剰余金;増資と資本金の振替わりで増加した資本剰余金から、▲17億円を充てて
累損(利益剰余金▲17億円)を消却する。
・ 純資産は増資後は92億円となる。
② ソラシドエア; 増資で25億円を調達する。
・ 資本金;増資後「1億円」にまで減資、税務優遇の多い小規模企業とする。
・ 資本剰余金;増資と資本金の振替わりで増加し、52億円となる。
・ 2020年度には赤字だったが、利益剰余金は残っている(21億円)。
・ 純資産は増資後は83億円となる。