2021.3.06.
JTBとスカイマーク(SKY)など、大手会社の「いわゆる中小企業化」の発表があいついでいる。 資本金を「1億円」まで減らすということだ。
そうすることで税務上のメリットを享受できるためだ。
資本金を1億円以下に落とす、いわゆる中小企業化は、会社イメージや信用力という点、そして事業規模拡大のための資金調達にもマイナスに働く可能性はあるかもしれない。
他方、税務上のメリットという実利は数多い。
「中小企業化」はその確実な実利を求めるものといえる。
ここでは「架空S社」と「架空J社」について、
「所得0」のケースで、
「資本金1億円超」と「資本金1億円以下」の概算税額を比べてみた。
両ケースの差は「法人事業税」で、「外形標準課税」が適用される(1億円超)か否か(1億円以下)から発生する。
法人事業税において、「資本金1億円超」の会社で
は、所得がなくても 「付加価値割」(支払給与、賃借
料、利息等)と「資本割」(資本金と資本剰余金)」
から税金が発生する。
所得が赤字でも発生するこの税金を「外形標準課
税」といい、これは「資本金1億円以下」の会社には
適用されない(所得に基づく税金だけが発生する)。
これをSKYに類似した規模の「架空S社」と、JTBに
類似した規模の「架空J社」で試算してみたい(所得
は0とする)。
付加価値割の基準額は夫々300億円、2000億円と置いた(税率は0.525%)。
また資本割の基準額は夫々90億円、23億円と置いた(税率は1.26%)。
(結論)
・ 「架空S社」は資本金1億円以下ならば、約3億円分有利となり、
・ 「架空J社」も資本金1億円以下ならば、約11億円が有利となる。
所得があった(黒字)場合は、所得割の税率差でその効果は減少するが、
代わりにその他の多くの面(法人税等)で優遇策が適用される。
いずれにしても実利を求める流れは加速しそうである。
以上