韓国の国際旅客市場の構造と現状(3)

2020.10..

韓国の国際旅客市場の構造と現状(3

コロナの影響、現状は?

 

2回に続くシリーズで、今回は国際旅客市場について航空会社別にみます。

最後に2020.18月の旅客推移と、8月の状況をみます。

(注)データは韓国政府・空港当局、日本政府の出入国管理統計(一部JNTO統計)等による。

 

.韓国の国際旅客市場(続)

航空会社別実績

 

1. 航空会社内訳をみる; 

下表は、仁川空港発着旅客便の便数と旅客数を航空会社別に示したもの、下右図は航空会社別旅客シェアを示したものです。

またその下の表は、韓国系、東南アジア系、中国系航空会社について更に詳しく示したものです。

 

    韓国航空会社の旅客シェアは全体の2/3に及ぶ。

韓国の航空8社で約4700万人;発着旅客の66%を運んでいる。

うち大韓航空だけで25%、アシアナが17.5%、LCC6社で23.9%である。

大韓とアシアナは大型機が多い関係で、便当り旅客数が200人超と多いが、LCCは小型機なので便当り旅客数は少なめである。

 

② 中国航空会社は11社で623万人;発着旅客の9%を運んでいる。

政府系3社(中国国際/南方/東方)で6.5%を、その他の8社で2.3%を運んでいる。

近距離路線であるためか、コスト安の小型機運航が多く、平均旅客数もせいぜい150人程度である。

 

③ 東南アジア航空会社は20社で800万人を運び、旅客シェアは11%。

LCCを含むベトナム4社で242万人、3.4%のシェアを得ている。

タイ、マレーシア、フィリピンの会社も夫々2%程度の旅客シェア。

大型機運航のタイ2社(タイ航空、エアアジアX-タイ)は便当り旅客数が多い。

 

   ④ 日本はPeachのみ運航で、シェアは1%に満たない。

ANAJALは羽田から金浦に運航しているだけであり、仁川の旅客便はない。

 

⑤ 欧州の会社は多いが、主要3社のほかロシアの規模が大きい。

ロシアは3社で72万人を運び、シェアは1%強。

ルフトハンザ、AF-KL、英国航空で102万人を運び、シェアは1.4%。

 

    その他; 米州会社の旅客シェアは2.4%で、米国主要3社(DL/UA/AA)のほかエアカナダ、エアメヒコが乗入れている。大型機のため便当り旅客数は多い。

中東からはトルコ航空(週11便)、エチオピア航空(週9便)のほかエミレーツ/エティハド/カタールもDaily運航、120万人の旅客(1.7%)を運んでいる。

またモンゴル航空、ウズベキスタン航空、アスタナ航空(ウズベキスタン)もDaily便を運航し、45万人を

運んでいる。

 

【会社別便数/旅客数;旅客シェア】      【会社別旅客シェア(%)】

2019年仁川空港発着)


   【韓国、中国、東南アジア航空会社の便数/旅客数/旅客シェア内訳(2019年仁川空港)】


 

 

.韓国の国際旅客市場の現状

コロナの影響は今?

 

1.         2020年の旅客需要推移

下図の棒グラフは20201月からの韓国の旅客数推移(仁川と他空港;単位;万人)を、

青の折れ線グラフは前年同期間の旅客数推移を、

そして赤の折れ線グラフは前年同月に対する旅客比率(右目盛り;%)を示している。

 

1)コロナの気配がみえた2020.1月旅客数は792万人で前年(806万人)の98%であった。

2)23月に需要は急減、4月にはほぼ消滅(前年の2%=▲98%減)状態となった。

3)その状態は殆ど改善せず、8月の旅客数もわずか23万人(前年の3%=▲97%減)に留まっている。 

 

           【2020.18月の旅客数推移(前年比)】

 

2.         20208月の旅客状況

下表は20208月の、仁川空港での旅客便実績であり、便数、旅客数、1便当たりの平均旅客数を示している。

 

1)運航便数3千便は前年8月の9%であり、旅客数23万人は前年の3%に過ぎない。

   1日当りでは49往復便、1便あたりの平均旅客数は77人(搭乗率が極めて低いことを

想像できる)である。

2) 韓国の航空会社で14万人(62%)を運んでいる。

3)日本のPeachは全面運休である。

仁川以外の空港の実績(11便/1551人)を見る限り、金浦への路線を持っているANAJALも、ほぼ全面運休のようである。

4)中華航空、キャセイ航空、タイ航空、英国航空などの主要航空会社も、韓国線は全面運休の

ままである。 

 

              【20208月の旅客便実績(仁川空港)】

 韓国の航空市場は、貨物が好調、国内線は回復の方向にあるが、国際旅客便はまだまだ
 回復への道のりは遠そうである。

 

 

以上