2020.6.4.
欧州主要3社の最近の業績
欧州の主要航空会社3グループについて、各社のIR資料をもとに2019年度と2020年度第1四
半期(1~3月)の収支・財務状況を概観した。
3社ともに、3月からコロナの影響が著しく、2020Q1決算は大幅赤字となった。
会社存続のためには資金面での支援を急ぐ必要があろう。
(はじめに) 各社゚の事業構造
各社とも基幹となるFull Service会社を中心にLCCを含む航空会社群で成り立ち、
LH(ルフトハンザ)はほかに整備、ロジスティック、ケイタリング等の周辺事業も多い。
AF-KLも整備事業を持っている。
事業規模と機材数はLHがやや多く(763機)、AF-KLとIAGがほぼ同じといえる。
1. コロナの影響
1~3月の需要(旅客㌔)の対前年変化率をみると、コロナの影響が出始めたのは2月からであり、3月に入って急激に悪化した。
LHとAF-KLは1月まではむしろ前年を上回っていた。
IAGは月別実績を発表していないが、これら2社と同傾向と思われる。
当四半期(1~3月)の業績悪化は、その殆どが3月に起因している。
4月~現在は3月よりも悪化が激しいと考えられる。
従ってこのまま推移すれば、年間業績=赤字の規模は、Q1の4倍ではなく、10倍の
イメージとなる。
事業存立のためには大掛かりな支援を必要とする所以である。
【需要(RPK)の対前年変化率(%)】
2. 2020年第一四半期の収支・財務状況 (2019との対比)
・ 2019年度は各社ともに大幅な利益を計上した。
営業利益は3285百万ユーロ(約4000億円)のIAGを筆頭に、LHは1857mユーロ(約2200億円)、AF-KLも1141mユーロ(約1400億円)であった。
IAGとLHは最終利益でも1000mユーロを上回った。
・ 純資産; LHは留保利益が多く、AF-KLは累損があって純資産が少ない。
・ 2020年Q1は一転して各社大幅赤字となった。
特にLHの赤字規模は大きく、営業損失▲1220mユーロ(約▲1450億円)、最終損失は▲2124mユーロ(約▲2590億円)である。
また最終損失▲1803mユーロのAF-KLは累損が膨んで債務超過ギリギリであり、Q2では債務超過必定と思われる。
但しコロナの影響は余りに大きく、このままでは年内には他の2社も同様となろう。
・ LHとAF-KLは短期借入れによって現預金を積み増ししたが、赤字の規模から判断して、今後これをはるかに上回る規模の資金が必要となろう。
【欧州主要3社の収支・財務状況】
以上(Y.A)