2020.10.30.
国内線の復便状況
ANA vs JALは? Peach vs Jetstar-Jは?
国内線の運航規模は回復しつつあるが、会社によっても差があるようだ。
11月29日の各社の運航状況(10月28日時点の調べ)をみた。
大きくはANA/JAL、SKY、Peach/Jetstar-Jに分けられそうだ。
(注1) 各社の予約サイトで調べた。
(注2) 「運航率」は初期の夏ダイヤ便数に対する率
(これまでのレポートとの繋がり考慮のため)。
1.11月9日の運航状況;
1)ANAは運航便数239便(往復)で運航率は64%。
但し提携5社(※1)とのコードシェア便(121便)を合わせれば360便。
JALは309便で、提携2社(※2)とのコードシェア便(36便)を合わせれば345便。
ANAは自社便を抑制(変動費削減)して、傘下のPeachやコードシェア便によって、
ANAグループとしての運航規模の回復を目指しているといえよう。
(※1) ADO、ソラシド、スターフライヤー(SFJ)、IBEX、オリエンタルエアブリッジ(ORC)
(※2) FDA、天草エアライン(AMX)
【11月9日の各社運航状況】
2)SKYは復便に積極的で、下地島への新路線も開設、67便(運航率85%)を運航。
コロナの影響で取り下げた東証への再上場に、改めて意欲を見せている。
3)PeachはLCC事業を伸ばすANAグループの
方針に沿い、便数拡大に積極的である。
(45便で運航率87%)
他方Jetstar-Jは6路線を運休(2020年度内)する等、復便には慎重である。
(19便で初期夏ダイヤに対する運航率は33%)
4)その他のLCCも総じて低調で、AirAsia-Jは事業休止を発表し、全便運休。
Spring-Jも土日しか運航していない。
5)FDAは神戸に進出、復便ペースをうかがっている。
ANAとの提携5社も、コードシェアを考慮しながら便数拡大に向かっている。
2.ANA vs JALの運航状況;
下表はANA/JALの11月9日の運航状況を路線別にみたものである。
(注3) 幹線; 羽田、成田、伊丹、関西、中部、札幌、福岡、那覇を相互に結ぶ路線
ローカル線; それ以外の路線とした。
(注4) 細分した路線を、①幹線、羽田=ローカル線、伊丹/関西=ローカル線、
②中部=ロ-カル線、③その他のローカル線の3つに区分した。
1)区分①(幹線及び羽田、伊丹/関西が関わる路線)では、 ANA、JALともに便数は200便規模で並んでいる。
但しANAはコードシェア便が71便あり、この分JALを上回っている。
2)区分②(中部=ローカル線)では、JAL便の運航はない。
但しFDAとの小牧空港発着コードシェア便が14便ある(ここでは中部の区分に入れた)。
ANAは自社便14のほか、ADO/ソラシド/SFJとのコードシェアが12便ある。
3)区分③(その他のローカル線)は、JAL103便で運航率も80%と高い。
これには離島間等生活路線が多い(コロナの影響が比較的に低い)ことも関係していると
思われる
一方ANA便は24便で、運航率も44%である。
ANAはIBEXやORC等とのコードシェア便で多くをカバーしている。
4)ANA/JALともに、需要の太い路線⇒自社便、小規模需要の路線⇒コードシェア活用の
傾向があるが、ANAはそれがより強いといえよう。
【11月9日のANA/JAL便数;路線別内訳】
3.Peach vs Jetstar-Japanの運航状況;
下図及び下表はPeach/Jetstar-Jの11月9日の路線別運航状況を、それぞれ前年平均と比べたものである。
(注3) Peachの前年; 2019年度の平均便数。
Jetstar-Jの前年; 2018年度(2018.7月~2019年6月)の平均便数。
(いずれも各社の実績資料より算出)
1)Peachは36↗45便と増加。
Vanillaと統合して成田発着便を大幅に増便したこと、
コロナ禍で、ANAグループ戦略としてLCC強化(規模拡大)が図られていることによる。
ANAグループとしての資金的支えがあるからでもあろう。
2)Jetstar-Jは44↘19便と大幅に減少。
需給に応じて柔軟に増便も図られているが、総じて慎重な姿勢が伺える。
手元資金を考慮して、赤字(資金出血)を出さないような運営がなされていると
思われる。
3)ANAのグループ戦略として動いているPeach、資金的に余裕のない単独のLCCとして
動いているJetstar-Jの差がはっきり表れているといえそうだ。
【Peach/Jetstar-Jの便数;路線別前年度実績との比較】
以上