2020.8.15.
コロナ禍で殆ど動きが止まった国際線で
どんな人が動いている?
(2020年5月の旅客流動)
コロナの影響で国際線の旅客の流れは殆どとまった状態とはいえ、一部は流れている。
今どんな人が動いているの? 5月の実績からその実態を調べてみた。
1.3つの統計数値;
① 政府観光局(JNTO)の統計(5月推定)によると、;
訪日外客はわずか推定1700人(前年5月比▲99.9%減)であり、
出国の日本人も5,539人(同▲99.6%)である。
② 一方でANAとJALが発表した国際線の旅客数は合わせて3万人強である。
これには出発/到着のほか通過(乗継)旅客も含まれている。
(日本の航空会社は5月にはこの2社以外は殆ど運航していない。)
③ また成田空港と羽田空港の実績旅客数は、2空港合わせて7万人弱である。
5月に旅客実績があったのは他には関西空港、福岡空港だけである。
2.国際線旅客の全体像; 実際は約7万2千人
① 出入国管理統計(法務省)によると、5月の出入国者数は43,477人である。
・ 日本人は入国者14,864人、出国者5,539人、計20,403人である。
(出国者数5,539人が統計数値として広く普及している。)
・ 外国人は入国が4,488人、出国が16,875千人、計21,363人である。
(入国の4,488人が「訪日外客数」として普及している統計数値であり、JNTOの5月推定値1700人はやがてこれに置き換えられることとなろう。)
・ 他に「協定該当者」区分があり、これは米軍/国連軍の関連者が民間機で出入国したものである。
・ 以上を合計したものが、出入国の総旅客数となる。
なおこの数字には空港外(海港)の79人(0.2%)が含まれている。
・ 5月の特徴は、日本人は入国者が圧倒的に多い ⇒外国に滞在していた日本人が、コロナの影響で帰国する一方、海外に出かける旅客は少なかったといえよう。
また外国人は出国者が圧倒的に多い ⇒日本に滞在していた外国人が本国に帰国するケースが多かったといえる。
② 他に日本には入出国しないで、空港内で乗り継いだり通過していく旅客があるが、
これは各空港が把握している。 因みに成田/羽田/関西の5月実績は28,514人で
あった。(福岡は不明だが多分ゼロ)
③ 以上全て合計すると約7万2千人;これが5月の国際線総旅客数といえる。
3.外国人の入国者、出国者の滞在資格別内訳
日本滞在資格(法務省)によって、出国/入国の内訳をみると
① 入国者はその96%が「再入国」であり、日本定住者(含家族)や留学生が再入国したものがその大半である。(通常再入国割合低く、2019年は9%)
② 出国者は、日本に短期滞在したり、特定活動に従事していた人の本国への帰国、
そして、日本定住者が本国等へ帰国(含一時)するケースが多い。
③ 実習生を含む技能者については、出国(本国への帰国?)が多い反面、入国は余り
みられない。(2019年の技能実習入国者は、ベトナムが最も多く12万人、中国6万人、フィリピン/インドネシア各約2万人であった。)
4.外国人の入国者、出国者の国籍別内訳
国籍(法務省)によって、出国/入国者の内訳をみると
どの国籍者も全体的に前述3.の理由による入出国が多いが、フィリピン・ブラジルでは
定住者の移動が多く、スリランカ・ネパールでは留学生や定住者家族の入国が多く
みられた。
また中国・インドネシアでは技能実習生の帰国が、米国、欧米各国では短期滞在者や特定
事業従事者の帰国が多くみられた。
但し月によって偏りがある可能性もあり、ここでの国籍別傾向が他の月にもあてはま
るとは言い切れない。
5.国際線旅客数(日本人/外人別)の空港別内訳
空港別に出国/入国者の内訳をみると
① 成田空港は、日本人/外人ともに全体の半数を超えているほか、通過旅客が圧倒的に多い。欧米への長距離便に乗り継いでいく旅客が多いためと考えられる。
② 羽田空港は日本人旅客の方が多かった。 現在羽田では欧米線の割合が多い(⇒欧米に直行する日本人が多い)ことが関係していると思われる。
③ 「その他」に分類されている旅客の大半は三沢空港にのりついでいく「協定該当者」であった。
(注)「合計」は、出入国統計値に空港の「通過旅客」を足しこんだものである。
空港会社による数値との間に微妙なずれもみられるが、統計上の誤差とみなして
いいと思われる。
以上