2020年11月
2020.9.6
中国旅客市場の現状
国内線は7割以上まで回復
コロナの発生地となり、今では感染対策が進んでいるといわれている中国において、旅客需要の
回復状況はどうなっているだろうか?
大手2社グループ(中国南方航空、中国東方航空)の1~7月の実績を公表資料からまとめてみた。
(はじめに)
中国南方航空と中国東方航空は中国主要3社のうちの2社である。
事業構造は、傘下の多くの子会社を含め類似しており、事業規模もほぼ並んでいる。
(旅客収入は2019年で2兆円規模)
厳密には中国南方→中国国際→中国東方の順といえる(下表参照)。
【中国主要3社の規模】(2019年実績)
1.旅客需要の推移(国内線、国際線;前年同月対比)
1月の旅客需要(RPK)はほぼ前年並みであったが、2月に一挙に落ち込んだ。
国内線は3月に僅かながら盛り返し、5月以降は順調に回復している。
国際線は3月、4月と更に落ち込み、以後底這い状態である。
【中国南方航空のRPK推移】(単位;百万㌔) 【中国東方航空のRPK推移】
2.前年対比での回復度合い
RPKの対前年比率は両社ほぼ同様の推移を示している。
(国内線) コロナの影響が少なかった1月は前年比▲5%。
2月には約9割減となったが、その後回復基調を示し、特に5月以降は順調で
7月には前年の7割以上まで回復した。
(国際線) 1月は前年を上回っていたが2月に急落、その後更に需要は縮小して4月には前年の2~3%となった。
以後も余り回復することなく、現在に至っている。
【中国南方航空のRPK対前年率(%)推移】 【中国東方航空のRPK対前年率推移】
3.搭乗率の推移
・ 前年の搭乗率は、両社・国内線国際線ともに80~85%レベルで推移していた。
・ 国内線は4月に40%台に落ち込んだが、その後回復し、7月は70%台までになった。
7月には供給を前年の83(南方)~85(東方)%まで戻している中で搭乗率は回復した。
・ 搭乗率は落ち込んだといっても40%半ば以上である。
変動費が持ち出しにならない程度の規模に減便されていたと思われる。
・ 国際線の搭乗率は4月に43%まで落ち込んだ。
その後供給を絞っていることもあり、6~7月は搭乗率60%台となっている。
【6~7月の供給(ASK)、RPK、搭乗率】
【中国南方航空の搭乗率推移】 【中国東方航空の搭乗率推移】
以上