ANA/JAL 2018年度第3四半期の決算について

 

201921

  

ANA/JAL 2018年度第3四半期の決算について 

 

この度発表されたANAJALの第3四半期連結決算を簡単に比較・概観しました。 

 

 

    両社ともに増収(特に国際旅客)で営業利益もほぼ前年並み。 

最終利益も両社約1000億円で並んでいる。 

ANAは前年にPeach統合に伴う特別利益があった。)    

 

    ANAの収入規模は約1.5兆円で、JAL1.1兆円)の1.39倍。 

増収幅はJALが近年になくANAを上回った。  

国際旅客の増収には燃油単価UP跳ね返りの燃油サーチャージ収入増(約200億円
規模)
も含まれている。
 

JALは今期国際線乗り継ぎチケットの際内按分法を変更(国内収入減)したが、
これを勘案すると国内旅客収入は実質100億円超の増加と考えられる。
 

 

         (ANA)     (JAL

 

国内旅客収入   + 22 億円   +62 億円

 

国際旅客収入   +492      +570

 

貨物郵便収入   + 80       80

 

LCC収入      + 49

 

その他収入※   +133      +138

 

           (営業収益計)   (+776 )    (+850 )

 

※その他収入; マイレージ、機内販売、他社業務受託などの収入 

 

    ANAは今期に入って新鋭小型長胴のA321neoを増機(+8機)、中型のB767を退役(▲4機)させている。 国内線の小型化&効率UPの一環と思われる(搭乗率は+1.1ポイント上昇して70%を超えた)。 

JALは国際線用のB787-9型を増機(+4機)している。 

 

   ④ 両社国際旅客の搭乗率は更に向上し、ANA77.2%に、JAL81.8%となった。 

ANALCCは規模拡大を続けているが、Peachの旅客数+9%増に対し、Vanilla
若干減少した(セブ線、ホーチミン線を運休)。
 

 

    通期見通し;

     ANAは、売上高2兆円/営業利益1650億円との見通しを据え置いた

 

JALは、約1.5兆円の収入は据え置いたが、燃油費の見直しにより営業利益を+80億円増の1750億円に上方修正、加えて税調整等で最終利益は+280億円の1380億円に上方修正した。 

 

 

《図表1》 連結損益計算書の概要比較

 

      収入規模でANAJAL1.39 

      営業利益は両社ほぼ1500億円で並ぶ(利益率はJALがやや高め) 

   最終利益(親会社帰属利益)も約1000億円で並ぶ 

      国際旅客の規模拡大は両社急速、今期の増収幅はJALがかなり上回った。 

      国内旅客の増収幅もJALが上回った。 

      通期の予想利益レベルはJALがやや高い。 

 

 

 

《図表2》 旅客にかかわる指標の比較

 

(国内旅客) 

   ・ANAの収入はJAL1.32倍、旅客数は1.28倍(JALは離島ローカル等
短距離路線.が多い)。
 

ANAは小型化による供給調整で搭乗率大きくUPJALは小幅供給増。 

JALの増収幅は収入計上基準変更を加味すれば実質100億円超規模か? 

      ・搭乗率レベルはJAL72.9%でANAを上回る。(機材の大きさや、機内仕様の戦略差も関係していると考えられる; 別途解説を予定)

  

 

(国際旅客) 

   ・ANAの収入はJAL1.23倍だが、今期の増幅はJALが上回る
・搭乗率は両社向上しているが、JALの方が高い(ANA77JAL82%)。
 

・旅客単価はANAJALより高いが、路線構成の差(ANAは高単価の中国線が多く、JALは低単価のリゾート線が多い)もあり、詳しい理由はわからない。

 

 

ANALCC

    ・収入規模は約50億円増の700億円規模となっている。 

      Peach; 旅客数は9%(+33万人)の410万人。 

      Vanilla; 旅客数は微減の200万人。 なお前年運航されていた成田=セブ線、
台=ホーチミン線は現在運休となっている。

 

 

以上