中長距離路線への躍進著しいLCC
Norwegian Air Shuttle(NAS)を概観する(2)
2015年5月25日
1.規模の推移(2005~2017);
NASの成長には目覚ましいものがある。
2005→2013年の8年間で、座席㌔(ASK)は9.9倍に、旅客数は6.3倍(旅客㌔は10.0倍)、そして収入は7.9倍になった。
長距離路線に進出して以降2017年までの4年間で、旅客数は1.6倍ながら、座席㌔は2.1倍(旅客㌔は2.4倍)に、収入は2.0倍になった。
《図1》規模の比較(金額はNOK=13.56円で換算)
《図2》規模の推移
2.営業利益の推移(2005~2017);
収益性は必ずしも順風満帆とはいえない。
近距離LCCとして規模拡大してきた2013年までは比較的安定して利益を計上してきたが、中長距離路線に進出してからは、その拡大テンポが急激だったこともあってか、赤字を出している。特に2017年は▲271億円とかつてない規模の赤字となった。
《図3》営業損益の推移
3.財務体質(2017年末);
NASは財務的には、巨額の航空機投資を借入金にて賄っている構図である。
総資産5902億円のうち航空機と機材前払金で71%を占めている。
一方3567億円は借入金によっている。
純資産は5%に満たず、特に留保利益等は118億円(2%)である。
なお4月には英国航空を中心とするIAGグループがNASの株式の4.6%を取得した。
(今後提携が進むと考えられる。)
また第3者割当で112億円(NOK 824百万)の資金を調達した。
《図4》財務状況感略図(2017末)
(3に続く)