ANA/JAL 2017年度の決算について

ANA/JAL 2017年度の決算について

2018430

 

この度発表されたANAJALの連結決算数値を簡単に比較しました。

 

 

1.  2017年度決算概観; 図表1、図表2を参照

 

    収入規模; ANAは前期比+2065億円; 国際旅客増、Peachのとりこみが大きく、   

国内旅客、貨物郵便、その他の収入(他社ハンドリング受託等)も増加。

          JALは前期比+943億円; 国際旅客と国内旅客の増収が大。

    利益規模; ANAはかなりの増益で、営業利益はJALに近接。

またPeachを取り込んだ特別利益により、最終利益(親会社帰属)は

JALを上回った。

 

 

 

2.2018年度収支見通し; 図表2を参照

 

    収入規模; 来期の収入の伸びはJALの方が大きい。

ANAは当期比+682億円(+3.5%)、JALは+717億円(+5.2%)。

ANA;国際旅客+506億円、LCC124億円

JAL;国際旅客+520億円、その他収入+159億円

    利益規模; 営業利益はANA 1650億円、JAL 1670億円

 

 

 

《図表1》 収入と営業利益の比較(億円)

 

         (注)営業利益は右目盛


 

《図表2》 損益計算書の比較(億円)

 

  (2017決算)

ANA; 国際旅客、貨物郵便、Peach組入れで大幅増収

      利益水準はJALに近接

 

JAL; 国際旅客、国内旅客で増収
利益水準はほぼ前年並み

 

   (2018見通し)

   ・当期比の増収規模はJALが僅かながら上回る

 

   ・利益は横一線に

 

 

3.2017年度の旅客指標; 図表3参照

 

   ・ 国内旅客; ANAは小型化で供給は微減ながら、搭乗率を向上させて増収。

             JALは供給微増で、ANAを上回る旅客増、搭乗率はさらにUP

             旅客単価は両社ともに小幅低下。

 

      国際旅客; ANAは大幅な供給増を上回る旅客増で+807億円の増収。

          JALも供給増に旅客増が伴い+477億円の増収。

          ANAの収入規模はJAL1.29倍となった。

          JALは搭乗率をさらに上げ、81%となった。

          両社の旅客単価UPには、為替や燃油サーチャージの効果もある。

 

      旅客事業の収益性; 採算ラインを示すB/E(簡易的に算出した損益分岐点※)

          両社63.5%で並んでいる。 ※利益は旅客事業から発生とみなした試算値

          JALの高い利益率はANAより高い搭乗率にあるが、これをさらに

上げていく難しさがある。

          ANAは今後国内線の小型化等で搭乗率を上げれば、収益性はさらに

          高まることになる。

 

 

《図表3》 旅客に係る指標の比較

 

 

  (参考)国際旅客収入の路線別比較(概算); 図表4参照

         国際旅客収入を路線別にみる(概算値)と、ほとんどの路線でANAの規模はJALを上回っている(米大陸、欧州、中国は1.51.6倍、アジア&オセアニアが1.2
だが、これにLCCが上乗せとなる)

ただし唯一リゾート路線ではJALの半分以下。

因みにハワイ、グアム線ではJAL10便1日当たりの往復)に対して、
ANA
3便であり多くをパートナー会社とのコードシェアによっている。

         ANAは超大型A380のハワイ線投入の意味はここにあると考えられる。

 

 

《図表4》 国際旅客収入の路線別比較(億円)

 

4.貸借対照表の比較(億円); 図表5参照

 

  ・ 総資産は、ANA2.56兆円)はJAL1.85兆円)の1.38倍。

・ JALは、有利子負債が少なく(ANAの6分の1以下)、手元資金が上回っている。

  また利益剰余金もANAの約1.6倍。

  ・ ANAは航空機&建設仮勘定が多く、JALの約1.5倍。

  ・ Peach子会社化時の、純資産に対する超過額は無形固定資産に計上されている。

 

  ・ 両社ともに、今後の成長に向けての投資には、積極的姿勢がうかがえる。

 

《図表5》 貸借対照表の比較(億円)

以上