中長距離専門LCC
AirAsiaXを概観する(1/2)
2018年6月1日
1.エアアジアグループ; 近距離LCCと中長距離LCC
東南アジア最大のLCCとして拡大を続けているエアアジアグループを俯瞰したのち、
その中でも「中長距離LCC事業モデル」である「AirAsiaⅩ」について概観しました。
(エアアジアグループのIR資料やCAPAデータ等をもとにしています。)
エアアジアグループは、大きくは2つの企業群に分かれていて、全体はAirAsia創設者であるトニー・フェルナンデス氏の直接、間接(AirAsiaグループやTuneグループ経由)
の強い影響力のもとにある。
① AirAsiaグループ;「小型機x近距離」のLCC事業モデルの航空会社とその関連会社群から成る。 使用機材はA320で、席数はモノクラスの180席
AirAsia(マレーシア)を核に、合弁で5つの国に系列航空会社を展開している。
グループの総機数は208(2018.5)で、収入規模は3,700億円程度(2016年)。
② AirAsiaⅩグループ;「中大型機x中長距離」のLCC事業モデルの航空会社とその関連会社群から成る。使用機材はA330で、席数は12のプレミアム席を含む377席
AirAsiaⅩ(マレーシア)を核に、合弁で2つの国に系列航空会社を展開している。
グループの総機数は31(2018.5)で、収入規模は1,800億円程度(2017年)。
ここでは後者、特にその中核となっている「AirAsiaⅩ」を中心に概観する。
2.AirAsiaX(AAX)の成り立ち
2007年に、VirginグループのR.Brnson氏(20%)やOrix(10%)の出資も得て、
中長距離LCC事業を開始⇒ゴールドコースト線を開設(当初機材はA340)。
中国、豪州、台湾と路線を拡げ、ロンドン線も開設(のち撤退)、機材をA330に
入れ替えた。今後A330機材は-300型からneo型に切り替える(66機発注)ととも
に、A350も導入(10機発注)する
日本へは、2010年に羽田、2011年に関西、2015年には札幌に就航した。
2018年10月には福岡にも乗り入れる見込み。
2013年にマレーシア株式市場に新規上場した。
現在のCEOはDATUK KAMARUDIN MERANUN氏で個人株主として筆頭であるが、Tune社等の間接所有を含めれば、取締役のトニー・フェルナンデス氏が上回る。
Thai AAX、Indonesia AAXはいずれもAAXの持ち分が49%の現地国資本との合弁
会社で、前者は2013年に、後者は2014年に就航した。
3.AirAsiaⅩグループ各航空社の路線;
① AirAsiaⅩ;クアラルンプールをベースに29地点に就航
(日本)3;羽田、関西、札幌 (関西経由米)ホノルル
(その他)中国7、韓国3、台湾2、豪4、NZ1、インドネシア1、
インド2、ネパール1、モルジブ1、サウジアラビア2、不詳1
② Thai AirAsiaⅩ;バンコク(LCCが多いドンムアン空港)をベースに就航
(日本)成田、関西、札幌
(その他)中国1、韓国1
③ Indonesia AirAsiaⅩ;デンパサールとジャカルタをベースに就航
(日本)成田 (その他)インド1
④各社の日本路線(2018.5)
各社とも日本路線への就航便数は多く、特にThai
AAXは3地点に毎日5往復
を運航している。
以上