ANAとJALの路線便数比較(概観)
2017年2月6日
ANAとJALの時刻表(2月末時点のもの)等をもとに、両社の路線便数を比較した。
ここではコードシェア便にも着目している。
1.国際線のANA・JAL路線便数比較
(※)2017年2月末の時刻表をもとに1日当りの便数(日本発)をカウントした。
特定曜日の運航については分数計算とした。(例)週4便⇒4/7便
① ANAは81便+コードシェア便(CS便)143便 ⇒自社便/CS便ともに多いが、特に
CS便が多い(自社便はJALの1.14倍、CS便は1.30倍)
⇒ 規模が大きいスターアライアンス会社との提携が多い。
JALは71便+コードシェア便(CS便)110便
② ANA;北米線ではUAと、アジア線では出資関係のあるベトナム航空など多くのパートナー会社との提携が多く、JALに大きく差をつけている。
③ ANA;近距離の韓国・台湾線では自社便を絞り込み、CS便と自社系LCCの便(※2)
を拡大している。 (※2)事項;LCCの路線便数を参照
④ JAL;総じて便数規模がANAより少ないが、韓国線⇒大韓航空、香港線⇒CX(キャセイ)
ではCS便がANAより多い。
《図表1》国際線のANAとJALの路線便数(表)
《図表2》国際線のANAとJALの路線便数(グラフ)
■ANA自社便 ■ANAのCS便 ■JAL自社便 ■JALのCS便
⑤ 両社ともに自社便は成田・羽田・関西・中部空港の発着だけであり、それ以外の空港はCS便に依存している。
⑥ ANA;成田・羽田への傾斜度が高い。自社便は89%、CS便も47%が成・羽発着。
JAL;ANAに比べれば成田・羽田への傾斜度は低い。
《図表3》国際線の日本の発着空港別路線便数
2.系列LCCの国際線路線便数
(※)2017年2月末の時刻表をもとに1日当りの便数(日本発)をカウントした。
① ANA系LCCのPeachは19便、Vanillaも10便(日本発着ベース)と、韓国・台湾・香港線を中心に規模を拡大している。
⇒ANAの自社便は少ない
⇒近距離国際線はLCCへの移行が進んでいるようにみえる。
② JALは韓国・台湾線の自社便がANAより多いが、系列LCCであるJS-Jの便数は少ない。香港線は、自社便とJS-Jの便は少なく、CX(キャセイ)とのCS便に依存しているようにみえる。
《図表4》系列LCCの国際線路線便数
3.羽田発着国内線の路線便数(CS便を含めて)
羽田発着で、ANAは中堅3社(Air Do、ソラシド、スターフライヤー)と密なコードシェアを行っているが、それを加味してJALとの路線便数比較を行った。
旅客数規模は2015年度実績。
① ANA;基幹路線で圧倒的優位。
羽田と新千歳(札幌)、福岡、関西圏(伊丹・関西・神戸)、那覇を結ぶ「基幹4路線」は、羽田発着旅客市場の過半を占める(51%、国内線総旅客に対しても31%)。
ANAはJALに対し、自社便数で優位にあるが、CS便を含めると圧倒的優位にある。
② 北海道路線(除札幌線)は、自社便ではJALが優位にあり、ANAはCS便で対抗する構図になっている。
③ 九州路線(除福岡線)は、自社便ではJALが優位(ANAの1.34倍)にあるが、
CS便を含めると便数は逆転してANAが1.64倍となる。
《図表5》羽田発着国内線の路線便数(20147.2月末)と旅客シェア(2015年度)
④ 羽田発着基幹路線は、CS便を含めればANAが圧倒的優位。
■ANA自社便 ■ANAのCS便 ■JAL自社便
《図表6》羽田発着基幹路線の便数
⑤ 北海道路線(除札幌線)は、自社便ではJALが優位、ANAはCS便で対抗。
《図表7》羽田発着北海道路線の便数
⑥ 九州路線(除福岡線)は、自社便ではJALが優位ながら、CS便を含めると便数は逆転してANAが優位に。
《図表8》羽田発着九州路線の便数
以上