国内線LCCの現状分析と国内市場の展望(4)
~ 中部空港市場 ~
2017年1月19日
1.中部空港発着旅客
・ 中部空港の発着旅客数は526万人。
・ LCC(JS-Jのみ)は5路線に就航しており、その5路線の総旅客数は364万人、
うちLCCは75万人(シェアは21%)。
・ 首都圏路線(LCC未就航)の旅客数は56万人、その他未就航路線の旅客数は106万人。
・ このほか小牧にはリージョナル航空のFDAが就航しており、旅客数は73万人。
LCCが就航している中部=福岡、熊本(LCCは現在休止)に並行して運航している。
《図表1》中部空港の旅客内訳
2.LCC就航路線の内訳
・ LCC就航路線と旅客数、LCC率(シェア)は下図表のとおりである。
・ 市場規模は新千歳(札幌)、福岡、那覇(沖縄)が大きく、鹿児島が続く。
JS-Jが熊本に就航したものの、現在は休止している。
・ 福岡線の旅客数は、小牧(FDAが運航)も合わせれば100万人となる。
《図表2》LCC就航路線の旅客内訳
3.LCC就航路線の会社別内訳
・ LCC就航路線の会社別旅客数とシェアは下図表のとおりである。
(※)中堅3社(ADO・ソラシド・スターフライヤー)の旅客数は概算推定値であり、コードシェアに
よるANA旅客を含む。
・ 旅客シェアはANAが最も大きく、コードシェアでの旅客を含めれば42%以上になり、JALの2倍以上と考えられる。
・ LCC(JS-J)のシェアはJALを上回る21%である。
《図表3》LCC就航路線旅客の会社別内訳
4.1便当たりの平均的な姿
・ 各社の1便当り座席数、旅客数、搭乗率をみたのが下図表である。
・ 大半の便が小型のB737かA320で運航されているため、平均席数は150~180席のところが多い。 ANAはレシプロ機に運航もかなりあり、平均席数は最少となっている。
・ 搭乗率はLCCが最も高いが80%には届いていない。
《図表4》1便当たりの平均的な姿と1日の便数(往復ベース)
(1日当り便数)
5.各路線を空港別・会社別にみた便当たりの平均的な姿
(散布グラフは搭乗率を示す;右目盛り)
・ 1便当り座席数、旅客数、搭乗率をより詳細にみたのが下図表である。
平均的な姿と、1日当りの便数(往復ベース)を合わせて参照頂きたい。
・ 機材は、ANAの那覇線に中型機がみられるが、それ以外は小型のB737やA320が多く、一部にはレシプロ機運航のところもある。
つまり大半の路線がLCC並みの機材で運航されているということである。
・ 搭乗率は、LCCが80%程度、既存会社は一部75~80%のところもあるが、総じて
70%前半までのところが多い。
搭乗率は、LCCと既存会社で大きな開きがある。
《図表5》1便当たりの平均的な姿と1日の便数(往復ベース)
(1日当り便数;往復)
6.主なLCC未就航路線
・ 現在の中部空港市場でLCC未就航路線の旅客数は106万人であるが、その主な路線(年間旅客10万人規模以上)を抽出したのが下図表である。
・ 大半がLCCより小型のリージョナル機やレシプロ機で運航されている路線であり、より大型のA320で参入して高い搭乗率をあげるのは容易でないかもしれない。
《図表6》主なLCC未就航路線と旅客数(2015年度)
以上