ゴールデンウイーク期間の実績からみる航空業界の動向
2017年5月9日
各社が発表したゴールデンウイーク(4/28~5/7)の実績をもとに、日本の航空業界の至近の動向について、所感を交えながら概観した。
(※) リージョナル航空を除く10社の実績、一部「日刊航空」情報による。
1.国内線の動向
① 好調な旅客増 ⇒ 空き座席の多い大手2社と中堅3社の旅客増が目立った。
朝鮮半島等国際的きな臭さの中、大型連休効果で旅客数は目立った伸びを見せた。
前年同期比+23万人(+8%)のうち21万人が大手2社と中堅3社の増によるものである。
これらの会社の搭乗率は総じて低いレベルにある(空席が多い、換言すれば販売可能な座席が多い)が、その席数を上手にさばいたといえ、各社の搭乗率は軒並み数ポイント上昇した。
② Peachだけが大幅に旅客減 ⇒ ANAによる成田路線抑制の影響?
軒並み旅客増となる中で、Peachだけが大幅減(▲17%)となった。
成田=新千歳路線からの撤退等、成田関連路線の規模を縮小したことの影響(⇒ANAの
子会社となったことによる成田路線の抑制)が理由として考えられる。
反面その姉妹会社であるVanillaは大きくシェアを伸ばした。
③ 依然高い搭乗率の日本のLCC3社とSKY、LCCのシェアは9.8%に後退
Peachの92%を筆頭に、日本のLCC3社とSKYは依然高い搭乗率を示している。
一方大手2社は70%台にとどまっている。
前年同期に10%を超えていたLCCの旅客シェアは、Peachの規模抑制等もあって、9.8%
と10%を割り込んだ。
【図表1】 ゴールデンウイーク期間中の旅客シェア
LCCシェアは10%を割り込む JALシェアは40%を割り込む
【図表2】 ゴールデンウイーク期間中の搭乗率
ANAは国内国際ともに70%台、JALは国内が70%台
2.国際線の動向
① JALのシェアは大幅低下 ⇒ ANAとANA系LCCがシェア拡大。
活況を呈する需要の中で、JALは前年なみの供給座席でわずかながら旅客増となった。
ANAとANA系LCC2社(Peach、Vanilla)は供給を大幅に増やし、着実に需要を獲得した。
その結果、JALはシェアを▲2.4ポイント落とし、それを後者で分け合う形となった。
JALシェア 41.1 ⇒ 38.7% (▲2.4%)
ANAシェア 42.0 ⇒ 42.5 (+0.5%)
Peach+Vanilla 12.9 ⇒ 14.8 (+1.9%)
【図表3】 ゴールデンウイーク期間中の旅客実績
大手2社と中堅3社が国内線で需要を伸ばし、搭乗率は数ポイント上昇
Peachは抜き出た搭乗率ながら、国内線需要は▲17%減
JALの国際線シェアは大幅低下 ⇒ ANAと系列LCCが分け合う形
以上