ANA/JAL 2016年度第3四半期決算の簡易比較
2017年2月1日
この度発表されたANAとJALの上期連結決算を簡単に比較した。
(注)末尾処理により別表数値(四捨五入)と発表値(切り捨て)とが一致しない箇所がある。
1. 収益性概観; ともに減収ながらANAは増益、JALは減益。
営業利益はほぼ並んだ。
・両社ともに減収;
国内旅客は価格競争で収入単価が低下してともに▲1~▲2%の減。
国際旅客と国際貨物は、燃油サーチャージ減や円高為替の影響を受けて大幅減収。
但しANAの国際旅客は規模増(座㌔+12%)に旅客が伴い減収幅は小幅。
・費用; 燃油価格低下の効果などで減少したが、JALは人件費や整備費が増加して
その効果を減殺した。
・利益; 営業利益は1,300億円台で両社がほぼ並び、当期純利益の規模も接近してきた。
・通期予想; 第4四半期にANAは約150億円の営業利益、JALは300億円強の営業利益を見込んでいる。
年間最終利益はANA800億円、JALはその倍の1,610億円を見込む。
2. 旅客指標概観; ANAの旅客規模はJALの1.33倍(国内線)、1.07倍(国際線)。
搭乗率はJALが3~4ポイント高い。
・ 国内旅客; 旅客発着収入単価はともに▲2%低下したが、旅客数は増えて搭乗率
は向上し、ANA65.8%、JAL69.3%となった。
・ 国際旅客; 収入㌔単価はともに▲10%程度低下、この影響で両社減収となった。
ANAは+11%(座席㌔)の供給増を旅客㌔の増加が上回った。
JALは短距離のアジア線で旅客減となったが、長距離の北米線等がカバーして、旅客㌔では前年を上回った。
搭乗率はANAが向上して75.6%となり、JALも80%をほぼ維持した。
3. 財務状況; ANAは、航空機(ANAは建設仮勘定を含む)と有利子負債が大きく、
JALは、それらがともに少なく、利益剰余金が多い。
JALはまた、株主還元の一環として自己株式の取得を進めている。
(期末までに300億円取得の予定)
以上