ANA/JAL 2016年度決算について
2017年5月8日
この度発表されたANAとJALの連結決算数値を簡単に比較した。
(文面での数値は大括りして使用)
(要旨)
①
2016年度は、JALは大幅な減収減益で営業利益は1,700億円に。
ANAも収入減ながら利益は増え、営業利益は1,400億円になってJALに接近。
②
ANA/ANAの収入規模差は、ANAが国内旅客で1,800億円(36%)上回り、国際
旅客でも1,000億円(24%)上回るようになった。
③
2017年度はJALが更に減益となり、ANAは利益額でもJALを上回る見込み。
予測の営業利益ANA 1,500億円、JAL
1,420億円
1. 損益計算書概観
(収入) JALは燃油サーチャージ減や円高影響もあって国際旅客収入が▲336億円の減。
ANAは、同理由による減を、規模増による増収で補い、国際旅客収入は微増。
そのほかLCC(Vanilla)の規模増や、他社ハンドリング受託の増収もあった。
国際貨物は両社ともに、為替や燃油サーチャージ減の影響のほか、費用処理していた
販売手数料を収入控除とする処理方法の変更もあり大幅減収となった。
(費用) 両社ともに燃油費減の効果が大きかったが、人件費増等がそれを相殺(特にJAL)する形となった。
(2017年度予測) 両社ともに国際旅客で大幅増収を見込むほか、ANAは子会社化して
合算されるPeachの収入も上乗せとなる。
ANAは今期を上回る利益(営業利益1,500億円)を見込むが、JALは整備費やIT刷新等の戦略的支出のために減益(営業利益は1,420億円)を見込み、そのために利益額でもANAがJALを上回る見込み。
1. 旅客に関わる指標概観
(国内旅客) 両社ともに供給を絞ったが旅客は増え、搭乗率は上昇。
しかし単価減(▲2~▲3%)のために減収となった。
LCCやSKYの低運賃が影響したものと思われる。
(国際旅客) JALはほぼ前年並みの需給規模ながら既述の単価減によって大幅減収、
但し搭乗率は80%を超えた。
ANAも同理由があったが、規模増(座席㌔+10%)を上回る旅客増によって搭乗率も向上し、僅かながら前年を上回る収入となった。
2. 財務体質(貸借対照表)概観
(JAL) 1.7兆円の総資本のうち、純資産は1兆億円(58%)。
有形固定資産(航空機等)が8200億円あるが、有利子負債は1000億円。
留保利益は総資本の半分を超える6500億円。手元資金は4000億円超。
(ANA) 2.3兆円の総資本のうち、純資産は9200億円(40%)。
設備投資は大きく、有形固定資産(航空機等)は1.4兆円。
これを有利子負債7100億円、株主出資6000億円、留保利益3300億円で賄
い、手元資金は3200億円。
なお、5月8日時点の株価時価総額は両社1.2兆円でほぼ拮抗。
以上