(経営数値でみるLCC-3)
ライアンエアとイージージェット概観
2016年9月25日
欧州の2大LCCであるRyanairtとeasyJetについて、2015年度の経営数値をもとに概観した。
・1マイル⇒1.61kmで換算
・金額は1ユーロ⇒113円、1UKポンド⇒131円で換算。
1.両社の規模と事業態様
① Ryanair; 全341がB737-800型機、平均路線距離は1,227km。
毎日835往復便を運航し、売上高は7,385億円。従業員は約11,500人。
② easyJet;全241機だが、A320シリーズの中でも短胴のA319を多用し、通常型のA320はその4割弱。平均路線距離は1,118kmとRyanairよりやや短い。
毎日627往復便を運航し、売上高は約6,139億円。
従業員は約10,100人。
《図表1》事業規模比較(2015年度)
2.収支概観
① Ryanair; 7,385億の売上げで、利払後の利益は1,590億円と利益率は高い(22%)。
費用のうち燃油費が41%を占め、人件費は12%と低い。
② easyJet;6,139億円の売上げで、利払後の利益は899億円(利益率15%)。
燃油費が30%で、空港使用料と空港諸費用が36%と、燃油費をやや上回っている。
《図表2》収支比較(2015年度)
3.収益性指標概観
(発着当りの指標)
① Ryanair;発着旅客単価は6,940円であり、発着席当りのコストは5,060円。
搭乗率は93%と非常に高い。
② easyJet; 旅客単価は8,950円と高く、座席コストも約7,000円と高い。
搭乗率は90%を超えている。
(距離;千㌔m当りの指標)
③ Ryanair;旅客単価(千㌔当り)は5,650円で、座席コストは4,120円と低い。
B/E(採算ライン)は73%で、搭乗率との差(20ポイント)が利益をもたらしている。
④ easyJet; 搭乗率はRyanairと同レベルの93%。発着ベースより高いのは、長距離
路線での搭乗率がより高いためと考えられる。
旅客単価(千㌔当り)は7,900円でRyanairより4割も高いが、これはRyanairが基幹空港を避け、低コストの周辺空港を利用して徹底的に低コスト⇒低運賃を志向するのに対し、easyJetは基幹空港を使用しながら、他の航空会社より相対的に低いコスト⇒その空港では最も安い運賃を志向するという、事業モデルの差によるものと思われる。
B/E(採算ライン)は79%とRyanairよりやや高いが、これを安定的に高い搭乗率でカバーしている。
《図表4》収益性指標の比較(2015年度)
4.財務状況比較(2015年度末)
① Ryanair;総資産1.27兆円のうち航空機材が過半の7,000億兆円を占める。
有利子負債は4,550億円(総資産の36%)。
3,580億円の留保利益がある。
② easyJet;総資産はRyanairの半分の6,300億円で、航空機がその6割を占める。
有利子負債は660億円(総資産の10%)と少ない。
自己資本比率が47%と高く、そのうち留保利益が36%の2,250億円。
《図表4》貸借対照表比較(2015年度末)
以上
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