(経営数値でみるLCC-1)
エアアジア概観
2016年9月23日
東南アジア最大のLCCであるAirAsia(含グループ会社)について、2015年度の経営数値をもとに概観した。
・AirAsia本体(マレーシア)とタイ、インドネシア、フィリピン、インドのAirAsia
・中長距離LCCであるエアアジアX(マレーシア)
(但しタイAAXとインドネシアAAXは含まない)
・金額は1リンギット⇒24.5円で換算。
1.収支概観
①AirAsia本体;収入は1,543億円だが、グループ会社への機材リース収入349億円が
含まれており、これを除けば1,194億円。
営業利益は499億円と高利益率だが、有利子負債のコストが大きく、これを控除
すれば359億円(仮に利払後事業利益と呼ぶ)。
また当年は為替差損が大きく、これも控除すれば利益は170億円となる。
②AirAsiaグループ4社; 本体へのリース料負担の大きさもあってか、タイAAを除く
3社は営業損益の段階で赤字。(日本のAAは未就航)
③AirAsiaX;収入は750億円で、営業損益の段階で▲9億円の赤字、金利負担と為替差損を控除した事業損益(名称は仮)は▲98億円の赤字。
系列のタイAA、インドネシアAAも赤字と推定される。
《図表1》AA各社の収支(2015年度)
2.事業規模と収益性指標概観
(注)AAXの機数はタイAAXとインドネシアAAX分を含む
AAグループ機数はほかにインドネシアAAX等へのリース機もある。
①事業規模;AA本体は80機で、約1250kmの路線を毎日229往復運航。
AAグループ4社も計82機で1000~1250kmの路線を毎日計249往復便運航。
AAXは約4,800kmの路線を毎日18往復便運航(AAXだけの機材数は不明)。
②搭乗率;AAとグループ3社は80%強、インドネシアAAは約75%。
AAXも発着ベースでは75%(距離ベースでは80%;長距離線が高かったようだ)。
③収入単価(発着);AA本体は約4,900円(含付加収入)、グループ4社は5,000円台。
路線距離の長いAAXは2万円強。
④座席コスト(発着);AA本体は約2,800円、これにはリース収入の費用圧縮効果も
かなり効いている。
タイAAは4,200円だが、他の3社は5,000円台。
AAXの発着コストは16,000円だが、千㌔当りでみると約2,000円と低い。
《図表2》AA各社の事業規模と収益性指標(2015年度)
3.財務状況概観(2015年度末)
①AirAsia本体;総資産5,222億円、うち航空機材と前払金で54%。
有利子負債への依存が高く比率は59%。留保利益は822億円。
②AirAsiaX;総資産1,025億円、航空機材と前払金で45%(リース機材が多い)。
赤字が続いており、累損が▲210億円。
《図表3》AA本体とAAXの貸借対照表(2015年度末)
以上