2025.3.3.

スカイマークとスターフライヤー比較 事業構造と収益力

  スカイマーク(SKY)とスターフライヤー(SFJ)について、公表資料をもとに、推算を

  加味しながら分析と考察を行いました。

 

  まず両社第3四半期数値で決算値を比較し、その後経営的指標をSKYは第3四半期数値で、

  SFJは上期数値を用いて比較しました。

  またSKYいついては別途さらに詳しく事業構造等について分析して紹介します。 

 

(はじめに)

 

1)両社とも上場しており、主要株主は;

   SKY;Top株主は鈴与(静岡の物流会社でフジドリームエアラインを保有)で、

        最近政投銀系投資組合から譲り受けた分を合わせ25を保有。

   次いでANA13を保有(SKY再建時に株主となる)、

   3位は最近株主となったオンライン旅行会社のエアトリで3保有。

 

   SFJ;9月現在SFJTop株主はANA14.3
   通販のジャパネットが13.89で続く。

   3位はSFJ設立当初からの株主TOTO3.89を保有。

 

2) 主要路線は;

   SKY羽田発着が便数の過半を占め、また神戸空港の発着便の7割以上を占める。

   SFJ羽田=北九州便をメインに、羽田/福岡/関西/山口、ほかに中部=福岡等。

 

3) 機材は;

   SKY小型機B737-80029機保有し、177で運用。

   SFJ小型機A32011機を150を中心に運用、独特の高サービスを生んでいる。

        LCCでは同型機を180席で運用(低い席コストと多数の旅客収容)しており

        好対照といえよう。

 

4) SFJANAと全便コードシェアしており、ANAからの収入は営業収入の38%(上期)

        を占めている。

 

 

1SKY/SFJ損益比較(第3四半期)

 

SKY前年比で、費用の伸び110%が収入の伸び105%を上回り収支は悪化、

 営業利益は減少して17億円(利益率2%)となった。

 利益率2は、コロナ期間を除けば近年にない低さといえよう。

 

SFJ前年比で収入の伸び8%が費用の伸び3%を上回り、

      営業利益は赤字から黒字に転じて4%の利益率となった。

 

 

 

 

2.  2024年度の予想損益

 

営業損益は;

 

SKY4四半期も赤字で、営業利益は最終的に6億円となり、
            利益率も
1%まで低下すると予想。

 

SFJ4四半期も黒字が続き、営業利益は21億円(利益率5%)と

なる模様。

 

なお収入規模ではSKY4割程度。

 

 

 

3.  各種指標でみるSKY/SFJ

(注)SKYは第3四半期のデータ、SFJは上期データによっている。

    

(保有機材)両社単一の機種を効率的に運用している。

 前述のとおりSKY小型機B737-800177席)が29

          但し今後燃費効率等に優れ、座席数も多いB73MAXを導入する。

                  SFJ小型のA320150席が主)が11
            但し新機材は162仕様のもので現在1機(内数)。

SFJANAとのコードシェア)全便コードシェアでANAに座席販売しており、

ANAの座席割合は42に達する。 
        ANA席販売収入80億円は
営業収入の38%。

 

(便の平均的な姿)

           SKY 177の座席に旅客145人が乗り搭乗率は82%。

                 便当り収入は192万円で費用は188万円、利益は4万円。

                 1人当り旅客収入は国交省資料のとおり12800円と競合他社と

  比べてもかなり低く、低運賃の事業モデルといえよう。

                 1席当りコストも低く10600円。

                 1機の稼働は平均して日に5.3便(路線距離は1044km)。

 

           SFJ 自社席8870人の旅客で搭乗率は79%。

                便当り収入は185万円(うちANA収入71万円)で費用は181万円,

                              利益3万円。

                1人当り旅客収入は国交省資料によれば15700円と中堅会社の中では

                               突出して高い

                1席当りコストも席数が少ないこともあって12100円と高め。

                1機の稼働は平均して日に5.6便。

 路線距離は802kmと短いが、羽田=関西、中部=福岡等短めの路線が

 多いことによる。

 

      

(全般的な姿)

           SKY 供給席数増+3%に旅客増がよく伴い、搭乗率は82%と高めの横ばい。
  旅客単価は若干UP1%)したが、座席コストの上昇(+7%)が

  大きかったことで収益性が低下した。

 (低運賃を売りにしたモデルに行き詰まりが見えてきたか??)

 

           SFJ; 供給はほぼ前年並みで、総費用も前年並み。

 需要(旅客数)が+8%と大きく伸びて搭乗率が7479%と向上

 収入単価もUPしたことで営業収益は+10%の増。

 

 これが赤字から黒字に転じさせることとなった。

 

以上(Y.A)