JAL/ANA客室乗務員採用の特徴(誰もがCAになれる時代)

年初の小文 「2014年度も航空業界は大量採用」に続き、航空会社の採用関連
第2弾。

 

今回はJAL/ANA客室乗務員の採用の特徴をレポートしています。 

 

 

JAL/ANA客室乗務員採用の特徴(誰もがCAになれる時代)

 

              2014年9月3日

 

航空経営研究所 主席研究員 光岡寿之

 

 

 

2014年度の客室乗務員採用(新卒・既卒)は年初に予測した以上の大量採用が続いています。現在、JALの既卒採用、ANAは今年2回目の既卒採用が進行中です。

まず、この3年間の募集数を見てみましょう、  

   

客室乗務員

募集数

JAL

ANA

合計

新卒

既卒

合計

新卒

既卒

既卒

合計

2012

200

400

600

400

50

 

450

1,050

2013

200

150

350

450

150

 

600

 950

2014

200

100

(推測)

300

500

260

100

860

1,160

 

 

私は大学と専門学校で就職指導の仕事をしており、合格者の顔ぶれを見ている中から、JAL/ANACA採用の特徴が見えてきました、

今日はその話をしたいと思います。

 

かつて大手航空会社で採用を担当していた経験から言えば、良材の確保には募集数の20倍が必要です。

そして、推測ですが、今年のJAL/ANA新卒の応募数は、80009000名位と思います。

JAL新卒は200名募集ですから20倍の4000人の応募があれば十分です、仮にANAとのダブル合格でANA選択者が100名あったとしても、200+100300206000名ですから実応募数の方が大きいので問題ありません。

一方、ANA新卒は500名募集ですので応募数は20倍の10000名が必要です。更に、仮にJALとのダブル合格でJAL選択者が100名あったとすると、ANA新卒での応募数は、500+1006002012000名が必要です。

 

整理すると、JAL20倍以上の応募者があるので良材の確保に問題ありませんが、ANA20倍を切っているので良材確保が厳しい状況になっています。

 

合格者のプロフィールを見てみると、JALは、全員が全天候型,いわば誰もが将来基幹要員となりうる人材です。

一方、ANAは、半数はJALと同じく全天候型ですが、残り半数は、極めてホスピタリティがある、極めて活動的、極めて語学ができる、極めてサークルで頑張ったなど、一芸に秀でた学生が合格を勝ち取っています。

 

次に、2社の選考方法の重視ポイントの違いから生じる2社の合格者プロフィールの違いを話しましょう。

ANAは、昨年まで、応募者学生のエントリーシートの提出を採用説明会に出席し、直接、ANA採用担当者に手渡すことを義務付けていました。これは実質的には1次面接と言えるもので、極力接客適性のありそうな学生を本面接に進ませる努力をしていました。さすがに今年は応募数が激増したので、JALと同じ書類選考方式に変更しましたが、それでも極力多くの応募者を本面接に進ませています。

つまり、ANAは“面接重視での選考”に重点を置いています。CAはサービス要員ですから当然の選考方式と思います。

 

一方、JAL20倍以上の応募数を余裕を持って確保しているので書類選考合格者の中から良材を選考することが可能です。

更に、総合評価においては、“面接と共に筆記テスト(一般教養力)を重視”しているのが特徴です。昨今の激化する機内サービス競争を勝ち抜くために、ホスピタリティと知力の双方に優れる者を選ぶ・・・これもまた時代に即した選考方式と思います。

 

もう一度整理して言うと、受験生にとっては以下のことが言えるのではないでしょうか。

 

 JALCA受験には、“ホスピタリティ”の他に、“エントリーシートを書く知力”や“筆記テスト(一般教養・SPI)など基礎知力”が合格の重要な条件になっています。

 

ANACA受験は、現在の大量募集が続く間は、面接重視の採用が継続されるので、“ホスピタリティ”と“秀でた一芸”に自信のある学生に有利です。

 

 

さて最後になりますが、JAL/ANA以外も含めた近年の国内航空会社CA、外資系航空会社の日本人CAの採用数は、合計で年間ざっと2000名です。これに競争率20倍をかけると4万人です。

 

近年の22歳の日本人女性は少子化に伴い60万人、平均身長以上の者が半数ですから30万人、更に大学への女子進学率は45%ですから、CAの理論的応募対象者は14万人、同じ計算を20歳(女子短大進学率9/専門学校15%)ですると7万人、22/20歳を合計して21万人、つまり22歳と20歳の日本人女性の5人に1人が受験しないと良材が確保できない募集数になっているのです。

言い換えれば航空会社としては、5人に1人は受験してほしいのです。

 

年初の小文でも書きましたが、航空会社客室乗務員は、従来は「なかなか手の届かない憧れの仕事」でしたが、現在は真面目に努力すれば「誰もが手の届く仕事」になっているのです。 女子学生の皆さん、是非、夢を実現しましょう! 

 

 

以上