当分析はCAPAが2022年7月5日に発表した
Aviation industry reliance on carbon offsets remains intact for the short term
JAMRが全文翻訳したものです。
2022年7月19日
航空業界のカーボン・オフセットへの依存、短期的には不変
05-Jul-2022
持続可能な航空燃料(SAF)は、航空業界の2050年までに、炭素排出ネットゼロと言う目標達成への努力を体現した成果であるけれども、カーボン・オフセットとカーボン捕捉のメカニズムもまた、業界の目標達成に、特に短期的には、重要な役割を演じるだろう。
特にカーボン・オフセットは、特にその信用度に関する疑問から、認識の問題に苦労して来た。然し、オフセットの実効性に関する論争が続く中であっても、市場にはこれらのメカニズムの妥当性を支援する変化が生まれて来て居る。
短期的には、世界中の各企業、団体そしてその他の業界が、それぞれの持続可能性目標に向かって努力する中で、カーボン・オフセット市場に供給の問題が出てくる可能性がある。
より広く見れば、エアラインが、彼らのより長期的な目標の達成を助け、恐らく、航空業界の持続可能性への公約を実現する様な科学技術に対して、より多くの投資をするよう刺激するためには、業界は中間的な目標を立てるべきか否か、と言う疑問が湧いて来る。
概要 Summary
カーボン・オフセットは航空業界の持続可能性にとって、永続する仕組みでは無い
SAF(持続可能な航空燃料)は、IATAの2050年までにネットゼロを達成する努力の中で65%を占め、次いでオフセットと炭素捕捉が19%となって居る。
航空業界は、概してオフセットを、時間とともに他の科学技術が熟して来て、依存度を減らして行き、前述の目標を達成する努力の中では、短期的な対策と見て居る。
二酸化炭素を減らす為に、業界が見込むオフセットの使用。2025年~2050年
業界の二酸化炭素削減に対するオフセットへの依存度推定
Source: IATA.
然し、現実には、カーボン・オフセットとカーボン捕捉及び除去は、カーボン捕捉の技術がまだ完成して居ないことから、業界が次の数年間はまだ引きずらねばならない、重要な梃子であり続けるだろう。
業界は、カーボン・オフセットに依存し続ける中で、炭素削減のための、取り分けこの手法が、かなりの批判を呼んで居る。
多分その最も声高な批判者の一人は、かつて「カーボン・オフセットの真実は、その殆どが現実のものですら無い。」と明言した、ユナイテッド航空のCEOスコット・カービーである。
ユナイテッドのライバルであるデルタ航空は、違う結論に達して居る。デルタのCEOエド・バスティアンは2021年4月、「我々は、最も高い認証により実証されたカーボンオフセットに投資すると公約して居り、これが現時点で市場にある唯一の解決策である。」と語って居る。
バスティアン氏は、デルタが「実効性には多くの懸念があり、我々も心配して居る。だから、そのために我々は自分たちが投資して居る物事に関して厳密なのだ」と評価して居ると説明した。同エアラインは、自社の全てのオフセット・プロジェクトは、個別に、最先端を行く第三者の基準に照らして、監査されると語って居る。
彼はまた、同社が「同時に(カーボンの)足跡を」減らすために支払いを始めるための、より長期的な投資を待てなかったと説明して居る。
業界は、オフセットが溝を埋めるものであることを引き続き強調し、「。。。業界の目的はオフセットを持つことでは無い;我らの業界の目的は、排出量を減らすことだ。」IATAの環境問題と持続可能性担当の上級副社長であるセバスチャン・ミコスはカタールのドーハで行われた協会の最近の年次総会の中で言って居る。
オフセットの信頼度は、その使用が拡大する中で改善して居る
やはりドーハでの発言で、エバーランドLLCの事業開発担当上級副社長のアンジェラ・フォスター・ライスは、カーボン・オフセット市場は、成熟を続ける中で、進化しつつあると語った。
任意のカーボンの市場での、「統合の手順の進化には、既存の様々な標準を一つの傘の下に融合させる組織と言うものも含まれる。」フォスター・ライス女史は、以前は、ユナイテッド航空の取締役環境顧問兼環境問題専務だった。
彼女は、カーボンオフセットに関して「人々の持つ疑問」が、ますます難しくなるのに合わせ、市場は反応しようとして居ると説明する。彼女は、正統性のない、或は、高品質でないクレジットは価格がより安くなって居ると述べて居る。
将来は、オフセットへの需要の方が供給を超える可能性がある
勿論、持続可能性への動きは広範に広がって居り、航空業界に限らない。そして、実に多くの業界がそのカーボンの足跡(二酸化炭素排出量)を減らそうと努力して居り、供給と需要の問題がこのオフセットの市場に現出する可能性がある。
「もし今、参入しなければ、後でより高い対価を払わなければならなくなり、供給の好機を逃してしまう。」とフォスターライス女史は語った。
彼女は、エアライン業界は、他の業界と競って来て居り、多くの企業が早くも2030年には始まる、段階的な持続可能性目標を掲げて居ると説明。「我々には10年間で売り切れになってしまう、多くのプロジェクトがある。」とフォスターライス女史は述べた。
航空業界は持続可能性の中間目標を立ち上げるべきだろうか?
業界は、それが2021年10月に正式に打ち立てられて以来、2050年ゼロカーボンの目標を喧伝して来た。
然し現在、目標を達成し、環境保護的持続可能性への航空業界の公約を強化するよう、より多くの投資を呼び込むためには、中間目標を立てるべきではないかという議論が起きて来た。
「もし、既に2030年代、或は2040年代に目標を定めて居る他の業界を見れば、、、エアラインは既に目標を公約し達成しようとして居る他の業界に比べて場違いに見え始めて居る。」とフォスターライス女史は語って居る。
彼女は、「社会にとって、航空業界がやって居る事を信頼できる様にするためには、2050年より前に公約することが必要となる。」と言う。
より近い時点での目標を求める声が高まるだろうか?
航空業界の、2050年までに排出ネットゼロ公約は、揺らいでは居ないし、利害関係者たちはこの目標達成には、多くの方法が必要なことを理解して居る。
然し、より近い時点でのベンチマークを立ち上げること、そしてある時点で、業界はこれら中間的目標を求める声への配慮を検討する必要があるのでは無いかと言う議論もまた現れつつある。
以上