当分析はCAPAが2022年3月8日に発表した
Ukraine invasion: foreign aircraft lessors to Russia's airlines confront sanctions dilemma
をJAMRが全文翻訳したものです。
2022年3月15日
ウクライナ侵略:ロシアのエアラインに対する外国の航空機リース企業、制裁との板挟みに直面
08-Mar-2022
ウクライナ侵略に対抗する、西側諸国のロシアに対する経済制裁は、航空業界に大きな影響をもたらして居る。ロシアのエアラインは、国際線市場のみならず国内線でも、その運航維持能力に重大なそして増大する制限に直面して居る。
全ての主導的な3つのGDS企業、セーバー、アマデウス、そしてトラベルポートは彼らの流通システムからアエロフロートを除外して居る。更に、ロシアの2大エアライン、アエロフロートとS7は、リース契約の解約を求められて居る西側リース企業による、リース機の押収が起こり得ると言う観点から、国際線便を運休して居る。
エアキャップを始めとする、外国のリース企業は、ロシアの就航中の全ての航空機の2/5以上を占めて居る。これらのリース企業は、ロシアのエアラインが支払いと整備を停止するリスクとともに、彼らの航空機を取り戻すために、大きな輸送の問題に直面するかも知れない。
現時点で、西側の航空機の整備も、OEMが部品やサービスを停止する中で、ロシアのエアラインにとって、増大する問題となるだろう。
CAPA保有機データベースに拠れば、ロシアの航空機メーカーが占めるのは、ロシアの全保有機の35%でしか無い。
概要 Summary
セーバー、アマデウス、そしてそしてトラベルポートは彼らの流通システムからアエロフロートを除外して居る。。。
エアラインスケジュールの流通のための世界の主導的な世界流通システム(GDS)を提供する企業各社は、ロシアの大手エアラインにペナルティを課して居る。これらは政府の課した経済制裁の遵守以上に及んで居る。
2022年3月3日に、セーバーはアエロフロートとの流通契約の終了を発表した。米国のテキサスに本拠地を置くセーバーは、自社のGDSから「直ちにアエロフロートの便の内容を削除する手続きを取って居る。」と付け加えた。
スペインのマドリードを本拠地とするアマデウスは、自社システム内で「アエロフロート運賃の流通を中止を始めて居る」と発表した。そして「ロシアに課せられた国際的制裁とロシアによるあらゆる対抗策の影響の可能性」について検証評価して居ると付け加えた。
2022年3月7日、3大GDSのもう一つである、英国が本拠のトラベルポートは、自社のプラットフォーム内でのアエロフロートの販売を中止し、他の2社の後を追った。
。。。然し、それでも充分でないと示唆して居る人々も居る
セーバーとアマデウスは共に、航空業界内部の有力な人物から、未だ充分な程度に、また充分迅速に出来て居ないとの批判を呼んで居る。
スコットランドの地域航空、ローガンエアのCEOである、ジョナサン・ヒンクルズは、セーバーの動きは、アエロフロートのセーバーGDSへの流通を止めるだけで、予約と座席のインベントリーを持つ、アエロフロートのPSS(旅客サービスシステム)に影響を及ぼさない事から、「中途半端」だと呼んで居る。
ウエストジェットの前CEOであるエド・シムズはソーシャルメディアで:「アエロフロート、或はS7は、PSSを通じた販売や運航する能力を持つべきでない。」と語った。
アエロフロートのインベントリーは主に国内線
アエロフロートグループのインベントリーの大半は国内線:2019年のパンデミック前には、供給席数の52%は国内線市場だった。
これが2021年には75%に上昇した;そしてOAGに登録されたスケジュールから引き出したデータに拠れば、現時点では、2022年8月の第1週の段階に72%と予測されて居る(これには国際線便の運休が未だ反映されて居ない)。
同社の国内線のインベントリーは、ロシア国内では、地元のGDSシレーナを通じて販売される。これにより、国際的GDSからのアクセス拒否による、アエロフロートへの影響が緩和される。
にも関わらず、国際的流通チャンネルからアエロフロートの情報が完全に排除されることは、もし、同エアラインが国際線を依然運航して居たとすれば、深刻な打撃を与えて居ただろう。
アエロフロートとその他のロシアのエアラインは国際線便を運休して居る
然し、アエフロートに対する西側世界の領空閉鎖と、ロシア以外のリース元企業からリースされた航空機が押収される脅威は、2022年3月8日から、同エアラインがベラルーシを除く、全目的地への国際線便を運休する結果になって居る。
ロシアの第2の運航会社であるS7もまた、国際線便を止めて居る。その他の主導的なロシアのエアラインであるUTエア・アビエーションとウラル航空は多くの国際線便を運休して居る。
ロシアの民間航空当局であるはロサヴィアーツィヤ(Rosaviatsiya)は、ロシアに対して現在、航空機リースを禁じて居る、或はロシアの運航会社に対して領空を閉鎖して居る国々への、ロシアのエアラインの外国リース元の所有する航空機による国際線旅客及び貨物便の運休を奨励して居る。
西側リース企業は彼らの航空機を回収する必要があるー大きな問題
EUが課して居る制裁は、航空機と部品のロシアに対する販売、供給、移転、或は輸出を禁じて居る。これはリース契約にも及ぶ。
EUの制裁は、ロシアの運航会社に対してリースした航空機を、2022年3月28日までに所有者が回収する事を求めて居る。これは、現実問題としてどの様に実現可能なのかに関して、大きなロジスティック上の問題を投げかける。
リース機の返還は通常、数ヶ月或は数年のリードタイムを持って計画される。これは通常、領空閉鎖、或は適正な部品へのアクセスを拒否されたエアラインによる、想定され得るエンジンや他の装備品の交換の問題で複雑化することは無い。
更には、リース元企業によるリース契約の停止は、運航会社にとってリース料の支払いと航空機整備義務から解放することになり、所有者の直面する問題を更に追加することになる。
ロシア政府が、恐らくリース機材を外国のリース元企業から買い取る可能性が示唆されて居る。然し、これは制裁の結果としてロシアの保有外貨の凍結により厳しく妨げられることになるだろう。
西側リース元企業にとって最悪のシナリオには、ロシア政府から支払いの行われない、強制的な買取という事が含まれる。論理的には、エアラインの長期的な関係を極めて否定的に危険に晒すため、これは無さそうだ。然し、ウクライナ侵略も、とても論理的なものでは無い。
ロシアの航空機:44%が外国リース元からの賃借
CAPAの保有機データベースに拠れば、2022年3月7日現在で、ロシアの運航会社には全ての型式、役割の航空機が合計1,324機ある。
これらの内、ロシア以外のリース元企業からの577機など、925機がリース機である。
従って、国際的なリース元企業からのリース機は、ロシアの運航会社の全保有機の44%を占める。
ロシアの運航会社の全航空機:所有機数とリース機数、2022年3月7日現在
*国籍不明を含む
Source: CAPA Fleet Database.
エアキャップ社が、最多の航空機をロシアのエアラインにリースして居る
世界最大のリース企業であるエアキャップ社は、ロシア以外のリース企業としてロシアに対してリースして居る航空機の数で、146機と最大の露出である(出典:CAPA保有機データベース)。
2番目に大きいのは、36機でSMBCエビエーション・キャピタルである。
BOCエビエーションとエアリース・コーポレーションは、それぞれ23機をロシアの運航会社にリースして居る。
ロシア以外のリース企業*:ロシアの運航会社にリースする機数、2022年3月7日現在
*ロシアでの機数で上位20社のみを表示
Source: CAPA Fleet Database.
西側航空機の整備は、現在ロシアのエアラインにとっての難題
ロシアの運航会社が現在直面して居る更なる問題は、彼ら、所有かリースかによらず、外国製の航空機の点検、整備、そして保険である。
EUの制裁は、これらのサービスをロシアに提供する事を明確に禁じて居り、一方米国の輸出規制はロシアの運航会社が航空機の部品を入手する能力を制限すると予想れて居る。
エアバスとボーイングは両社とも彼らの機材を運行して居るロシアのエアラインに対する予備部品及びサービスの供給を停止して居る。リージョナルジェット機のメーカー、エンブラエルもまた供給を止めたと報じられて居る。
ロシアの運航会社には347機のエアバスと380機のボーイング製航空機がある
CAPA保有機データベースは、ロシアの運航会社には347機のエアバスと380機のボーイング製航空機があると記録して居り、彼らだけで727機になる。これは全保有航空機1,324機の55%を占める(そしてロシアで運航される1,084機のジェット機の67%となる)。
CAPA保有機データベースに拠れば、ロシアの運航会社には、41機のエンブラエル機と50機のボンバルディア機がある。
ロシアの航空機メーカー製は国内に460機、即ち全機数の僅か35%を占めて居る。
エンジン供給社のロールスロイス、GEエビエーション、そしてサフランなど、その他のOEM各社もまた、当面、ロシアのエアラインに対する支援サービスを停止して居る。
OEMからの部品とサービスの停止は、次第にロシアのエアラインのロシア製以外の航空機を飛ばす能力を蝕む事になるだろう。
この紛争の影響は、外国のリース企業よりロシアのエアラインにとって厳しいものになりそうだ
ロシアのウクライナ侵略の招いた結果は、航空業界に、特にロシアのエアラインと外国のリース元企業に大きな影響を持とうとして居る。
リース企業にとっては、収入を失い、ロシアにある所有航空機に対する整備が中止される問題に直面して、現実的な脅威がある。にも関わらず、ロシアにある彼らの航空機は彼らの全保有機群の中では比較的に小さな割合である(エアキャップ社で、ほぼ8%)。
ロシアのエアライン各社にとっては、その多くが、既に、全て或は殆どの国際線便を運休して居て、影響はより強い痛みを伴って居る。
国内線路線網は、彼らの事業運営のより大きな部分を構成するのだが、彼らの運航能力は、外国のOEMからの整備の支援を欠き、外国のリース元からのリース契約解除を受ける事から、国内線であっても厳しいやりくりをしたものになるだろう。
紛争と制裁が長引けば長引くほど、ロシアのエアライン各社にとって状況はより悪化するだろう。
以上