2021年4月2日
30-Mar-2021
日本のエアラインは、2021年の前半、COVID-19の感染者の大波が来襲した所為で、大規模な挫折を味わった後に、もう一度国内線便の運航を強化しようとして居る。新たな需要は、日本に於いて、まさに旅行のピークである2つの期間に、政府による規制が緩められる事で刺激されて居るところだ。
JALとANAは、COVID-19の波に襲われる前の、2020年遅くに経験して居た、需要の回復を再び急速に取り戻す事が出来ると望んで居るのだろう。
もしそれが可能だとすれば、ベトナム、中国そしてニュージーランドがした様に、国内線供給をパンデミック以前の水準へと動かす事ができる筈である。
概要Summary:
● 要となる東京市場は、日本のCOVID-19緊急事態宣言の解除が最後になった。
● 春休みとゴールデンウイーク(GW)は、需要を刺激するだろうが、オリンピックの効果は抑制的だろう。
● スケジュールはGWに向けて膨らんで行くだろうが、重要な疑問は、それ以降には何が起こるかである。
● COVID-19の突発は、以前、国内線の回復を脱線転覆させたが、また再発する可能性を秘めている。
● 供給の不安定さにも拘らず、日本の2つの最繁忙路線は世界のランキングでも高位のままである。
日本の国内線供給量は2020年12月まで、かなり再建して来て居た。日本では、確かに、パンデミックの初期の段階で、大きな落ち込みはあったが、他のいくつかの国がした様な国内線便完全停止はしなかった。
それ以降、国内線供給は、2020年8月に一時的な逆転はあったものの、概して、上昇軌道に乗って居た。
これが、感染の第3波の懸念が高まった時に変わった。政府は2021年 1月 7日、東京地区に、当初は1か月の予定だった緊急事態を宣言した。
これはやがて、他県にも拡大され、期間はもう一ヶ月延長された。大波は収まり、緊急事態宣言は、東京首都圏は2021年3月21日まで続いたが、殆どの府県では2021年3月7日に解除された。
日本の春休みとゴールデンウィークは、更なる需要の起爆剤となるだろう
未だに、大規模な集会や飲食店の営業時間など、いくつかの制限と勧告などはあるものの、緊急事態宣言の解除は、国内旅行を喚起する事になるだろう。
これは2021年3月下旬から4月上旬の学校の春休み期間の直前に起きて居る。もう一つの重要な旅行の最盛期は2021年4月下旬から5月上旬のゴールデンウイークとして知られる時期だ。
更に先へ目をやると、延期再設定された東京オリンピックが2021年7月に開催されることになって居る。然し、組織委員会などは海外からの観客は受け入れ見送りと発表し、この時点では、国内の観客についてどの様な制限がなされるのか明らかでない。
JALはかなりの供給を足し戻して居る=そして、増強を続ける可能性がある
JALの供給計画は改善する見通しを反映して居る。同エアラインは、2021年2月には、国内線スケジュールの僅か39%の運航だったが、2021年3月にはこれが54%に上昇すると予測して居る。JALは2021年4月には66%を運航する計画で、その月の後半にはパーセンテージはもっとずっと高いものになるだろう。同社は2021年4月29日から2021年4月30日の間は73%に達し、次いで2021年5月1日から2021年5月5日の間は79%になると予測して居る。
この増加は、一部緊急事態宣言の解除の所為で、また春休みとゴールデンウイークの休日のお陰で、高まる需要に牽引されて居る。
ゴールデンウイークの後に何が起こるかは、COVID-19の蔓延の傾向に依るだろう、即ち、もし感染者数が比較的に低いままであれば、夏場の旅行シーズンに入るに連れ、JALの運航率は更に高くなる可能性がある。然し、もし休日の後に感染者数が再び増加した場合は、需要の下落が再発する可能性がある。
殆どのエアラインで搭乗率は低いものの、ANAも便を増強して居る
ANAもまた、ピークシーズンに向け、便を増強して居る。
2021年4月29日から2021年5月5日のゴールデンウイークの間、同社は国内線スケジュールの87%を運航する計画である。運航率は2021年3月の51%、2021年2月の37%から継続的な改善を見せ、2021年4月の通月では63%になる予定だ。
勿論、エアライン各社は概して、彼らの飛ばす便の席を埋めるのに苦労して居るため、供給の量だけでは、全体像は分からない。例えば、ANAは国内線旅客搭乗率が2020年10月と2020年11月の61%から2021年1月には27.5%に下落したと報告して居る。
昨年来、日本市場での供給の乱高下はCAPAとOAGデータから得た以下の図表に反映されて居る。
2020年3月と4月の最初の下落の後、2020年8月まで、確かな改善が見られた。その時点で、新型コロナウイルス感染の第2波で、年末に向かっての新たな増加の前に、それまでに得られたものの多くを失ってしまった。
然し、2021年早々の第3波の到来は、更なる痛打を浴びせ、2021年3月に供給は最低水準に下落した。
今やそれを再構築して居て、もしCOVID-19の感染の波が起らなければ、2020年のピーク水準に向かって伸びて行く筈だ。
週間供給席数で見た日本の国内線供給、2018年~2021年
Source: CAPA and OAG.
日本の国内線市場を見る、CAPAの特製の予測モデル(下図)は、如何に供給が今年の残りの期間に伸びるかを示して居る。供給は着々と上昇して行き、2021年7月頃に最高に達する。
2019年水準に向かって更なる増加は2021年末までに起こる可能性がある。
日本の国内線市場 特製予測モデル、2021年11月まで(CAPA)
Source: CAPA capacity projection model.
日本市場に於ける、供給の傾向についてのこれら全ての動きにも関わらず、実際に日本は、パンデミックの続く中、他の殆どの国に比べても、より小さな不安定さを示して来た。
この事は2つの国内線の最繁忙路線、東京羽田空港から札幌と福岡が世界の国内線路線の上位集団に留まって居ると言う事実から明白である。
CAPAとOAGに依れば、週間供給席数で見た、世界の国内路線の中で、2019年12月、パンデミックの来襲前に、これらの路線は第2位と第4位にランクされて居た。
この路線のどちらか或は両方とも、2020年を通して、そして2021年の最初の2ヶ月間までは、ずっとトップ5位までに留まって居た。両路線は、2021年3月1日の週に9位と13位に落ちたが、その後、6位と7位に返り咲いた。
国内路線は日本のエアラインにとって、まだ暫くは要となるだろう
エアラインはその供給と路線網計画について、パンデミックの為すがままなのは、避けようのない現実になってしまった。
多くの国に於いて、念願の国内線の再出発が、感染の再拡大と政府の新たな規制によって、無に帰してしまって居る。エアラインは、規制が解除された場合に柔軟に対応できる様に備えて、配員や保有機の稼働水準を、慎重に検討しなくてはならない。彼らはまた、中央政府や地方自治体による旅行制限の変更について、最大限の明確さと一貫性を必要として居る。エアラインの観点からは、彼らにできる事と言ったら、旅行に対する信頼を高める、タッチレスな旅行の導入や、客室内の衛生管理計画くらいのものである。
日本に於いては、迫り来るピーク期間は、待ちに待った国内の需要刺激を提供してくれる筈だ。旅行制限の必要性、そして更なる感染拡大を低減させる、ワクチン接種計画もまた、始まった。
日本の大手エアラインにとって、国際線路線網は当分の間、スケルトンの水準に留まるだろうから、国内線運航の大切さは、昨年来、急激に増して居る。
例えばANAは、国内線の運航が、2022年3月まで続く今の会計年度の間中、彼らの核となる収入牽引車であると期待して居る。これはCOVID-19前には海外からの訪問客の増大が焦点だったのとは、全く対照的である。
Japan lifts air travel restrictions for Golden Week and Spring Break