2021年4月27日
19-Apr-2021
毎月第2水曜日に行われるCAPA Liveでは、毎回、地区毎の最新の主要な展開の概要を報じて居る。
今回のレポートは、以下の通り:
- アジア太平洋引き続き上向きの傾向にある。
- アジア太平洋:国別COVID-19感染者数。
- アジア太平洋:国別COVID-19ワクチン接種数。
- 中国:引き続き素晴しい国内線供給のリバウンド。
- 豪州:タスマン超えのバブルへの準備完了。
- ニュージーランド:引き続き素晴しい国内線供給のリバウンド。
- シンガポールと香港:良好という供給予測に及ばない。
- 日本:この年末まで続く、手堅い国内線供給予測。
- 韓国:国内線供給のリバウンドの輝く好例。
- ベトナム:強固な国内線見通し。
アジア太平洋:2019年水準に対する総供給、2019年12月30日~2021年3月31日
Source: CAPA Centre for Aviation and OAG.
4月の計器盤は、ASK、総供給席数そして貨物の総供給重量など、全ての主要な指標が緑の矢印で、比較的、前向きの状況を示して居る。
アジア太平洋:ASK、総供給席数そして貨物の総供給重量、2021年3月対2021年4月
Source: CAPA Fleets Database.
最も印象的な事に、現在アジア太平洋地区の保有機数の稼働は2021年3月に比べ4.3ppt上がって、僅か20%が非稼働のままである。供給は再び伸び、幾つかの主要地域の市場では、持続する回復の兆しを見せて居る。
アジア太平洋は、他の殆どの地区に比べ、比較的に良くやって居る。
ご覧の通り、ニュージーランド、豪州、シンガポール、ヴェトナム、台湾、そして中国など多くの国々は、基本的にウイルスを抑え込んだか、排除して居る。
アジア太平洋:国別COVID-19、新たな週間感染者数
Source: ECDC.
然し、劇的な増加のインド、フィリピンそしてバングラデシュなど幾つかの国は、新たなCOVIDの波と戦って居る。
アジア太平洋:国別COVID-19、新たな週間感染者数、インド、フィリピンそしてバングラデシュ
下のグラフは、この地区内の主要な市場と現在のワクチン接種率を示して居る。縦軸は、人口に対し、現在すでに1回以上のワクチン接種を受けた人の比率、横軸はワクチン接種を受けた人の数を示して居る。
アジア太平洋:ワクチン接種済人数(1回以上)と国の人口に対する比率
Source: OurWorldInData.
ワクチンはずっと世界の航空業界を再開するための鍵になると考えられて来た。これは国際線旅行については真実かもしれないけれども、アジア太平洋地区内の国内線については、当てはまらない事
は間違い無い。
豪州を例に取ってみよう:この国ではウイルス抑制が成功したために、現在のワクチン接種率は他の国々に比べ低い。
にも拘らず、豪州内の国内線供給は最近の数か月間、目覚ましい率でリバウンドして居る。同様に、ニュージーランド、ヴェトナム、そして韓国では、皆、今のところワクチン接種率は低いが、素晴らしい国内線の回復を示して居る。
然し、国際線は全く話が別で、この地区の主要なハブであるシンガポールと香港では、貨物便は別として、極めて限られた活動が続いて居る。
この地区の中で立ち上げられる、国際線旅行の回廊は、2021年4月19日に始まった豪州とニュージーランド間の旅行バブルの様に、どれもCOVID-19を抑制した国家または地域間で成立する事になるだろう。
中国はCOVID-19の影響を体験した最初の国だった。これはほぼ全ての他の国々より1か月以上も早い2020年2月に、供給が劇的に下落した所から見ることが出来る。最初の感染勃発は、効果的に対処され、それ以来、国内線供給は、目覚ましい率で回復して居る。
2020年2月の国内線供給の激減は、政府の旧正月休暇旅行を制限する動きの直接の現れだったが、それには2月下旬からの、更にもう一つの目覚ましいリバウンドが続いた。
中国の国内市場の回復は、この産業にとって、今日までで、最も明るい話の一つである。然し、予想される通り、国際線の供給にはまだまだ長い道のりがある。
中国:国内線供給、2019年12月~2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
中国:国際線供給、2019年12月~2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
豪州は、ウイルスの鎮圧に成功した、もう一つの国である。
世界のその他の国々と同様に、2020年5月に最初の世界的なCOVIDの蔓延で、供給は劇的に下落した。豪州は、この蔓延を上手に制御し、そして自国の外国との国境を基本的に閉鎖した世界でも最初の国々の一つになった。
この戦略は成功であったが、国内の各州もまた、他州の感染勃発に対応して、州境を閉じたことから、国内線の供給は増加が継続する事にはならなかった。
2020年7月から2020年9月までの期間に、豪州は、最も厳格な都市封鎖へと追い込んだメルボルンでの激しいCOVID第2波に苦しめられた。
国内線の供給は、引き続き抑圧されたが、その後感染者数がゼロ近くまで落ちるにつれ、各州の州境が全面的に再開し始めた、2020年のクリスマスの直前に供給は急速に伸びることになった。
新年の期間はCOVIDの第3の、豪州中の複数都市において小規模なクラスターが発生し、国内線供給は減少した。
今や、COVIDの市中感染は、殆ど豪州から駆逐されたも同然であり、これが、国内線市場は、2019年水準の79%まで回復しつつある事に反映されて居る。この国際線と国内線の国境を閉鎖してしまう戦略は、当初、航空業界を傷めつけたが、今となっては、豪州の国内線は恩恵を受けて居る。
豪州の見通しでは、今年の末にかけて、国内線の供給席数は大きく増加すると見て居るが、COVIDワクチン接種のゆっくりとした浸透の所為で、集団免疫をより早く獲得した国々に後れを取ることになりそうだ。
国際線の供給の増加があるとすれば、全てニュージーランドとのタスマニア越えの旅行バブルが生み出すものだろう。
豪州:国内線供給、2019年12月~2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
豪州:国際線供給、2019年12月~2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
ニュージーランドは、ほぼ豪州に似て、COVID-19を早い時期に駆逐して居て、これもまた、この戦略の恩恵は明らかである。
ニュージーランドの国内線供給は、記録的な低さに達した後、2020年6月に勢いを得た。それ以来、供給の順調な伸びが、今やこの国の国内線市場は、2019年水準に近づいて居ることを意味して居る。
豪州と同様に、国際線供給は回復には遥かに長い時間がかかりそうだ。
然し、2021年4月6日、ニュージーランドの首相ジャシンダ・アーダーンは、豪州との双方向の旅行バブルを、2021年4月19日から発効させると発表した。
2021年5月のCAPA Liveはこの旅行バブルの国際線供給に与える全影響を検証する予定だ;然し、それは、消費者の信頼感が、国境越えの迷宮により、そして本当に開放され続けるものか、で揺らぐことから、現時点では、短期間ではほんの僅かの増加しか与えないだろうと予測されて居る。
ニュージーランド:国内線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
ニュージーランド:国際線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
シンガポールと香港は、純粋に国際線の航空市場で、COVIDを寧ろ上手に制御したにも関わらず、航空業界的な観点からは猛烈に傷め付けられた。
シンガポールと香港の将来予測は不確実で、ここで取り上げた、比較的に大きな国内線市場を持つ恩恵を享受する、他の市場に比べ、遥かに良好でない見通しである。
シンガポール:国際線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
香港:国際線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
興味深いことに、日本の供給は、第1波でCOVIDが蔓延した際に、他の多くの国々の様に素早く落ち込まなかったが、ウイルス制圧に早く成功したことは、この地区の何処よりも、国内線供給がより急速に回復することを意味した。
この数ヶ月、新たな感染者数が上昇し、緊急事態宣言が幾つかの県(東京を含む)で発せられた事で、これまでの供給上昇が失われる事になって居る。
やはり日本も、国際線では、短時日に回復する兆しは余り無く、市場は大きく圧迫されて居る。COVIDワクチン接種率は低く、現在のところ、人口の1%未満である。
日本:国内線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
日本:国際線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
韓国は日本にとてもよく似た経験をして来た。COVID-19感染者数は、ほぼ2020年を通じて少なかったが、2020年11月大きく増加し、当局はそれ以来、蔓延の制御に苦闘して居る。然し、国内線供給は、この高い感染者数の中でさえ、2019年水準を越えて居る。
予測としては、国内線市場は順調に推移するだろう、一方、国際線供給は、2021年の殆どの期間、圧迫されたままだろう。
韓国:国内線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
韓国:国際線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
ヴェトナムは、COVIDを上手に制御した、更にもう一つのアジア太平洋の国だ。
国際線供給は202年3月以来、抑圧されたままだが、国内線市場は、現状が2019年水準の供給で、拡大した。
ヴェトナムの見通しは、この地区の他の多くの国々同様、国際線供給が引き続き抑圧されたままだが、強固な国内線の回復を示して居る。
ヴェトナム:国内線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)
Source: CAPA Air Capacity Model.
ヴェトナム:国際線供給、2019年12月〜2021年12月
(青帯:2020~2021年供給席数、黄線:2019年合計席数)