2021年2月7日
05-Feb-2021
2020年について驚くべきことは、一体いくつの航空会社が、何らかの形で倒産または破産したかでは無い。合計数千社のうち、わずか約30社だった事だ。
驚きは、想像を絶する程恐ろしい年に、国際線の供給が以前の水準のほぼ10分の1に下落し、多くの国内線も少しましだったに過ぎないが、廃業した航空会社が殆どなかったのだ。
そして同時に、多くの新しい航空会社が、市場に参入する事を相応しいと考えたのだ。
現在の状況と近時点の見通しの、より詳細な分析については、2021年2月10日のCAPAライブをご覧頂きたい。
収入の驚くべき崩壊を考えると、2020年にはもっと多くの航空会社が破綻する筈だったが...。
通常なら、多くの会社がほぼ1年間ほとんど収入無しで生き残らなければならず、高い水準の間接経費が続くとしたら、航空業界は死んで居ただろう。もはや、存在しなかっただろう。
失業した数十万人の労働者や、ひとたび政府の支援が停止したら、これに続く可能性のある他の多くの労働者についても同じことが言える訳ではない。
しかし、大多数の航空会社は生き残ることが出来て居る。さりながら、彼らの航空機の殆どがそうだ(*地上に待機して居る)としても、今日、強固な地盤の上に居る会社は殆ど無い。彼らは息をのむような速度でキャッシュを燃失し続けて居る。
これまで彼らが生き残って居るのは、主として、直接的および間接的な政府の施しのお陰である。一部の航空会社は、主にフラッグキャリアだが、政府から債務に対しての、および/または、資金の援助を受けて居る。
また、歴史的に低い金利に支えられた、驚くほど強力な株式市場は、航空会社が独立して債務や株式で資金を調達するのを助け、資産価値が(おそらく人為的に)高いままであるため、売却&リースバックが激増して居る。
そして、早い話が、かなりの数の航空会社が、生き残れる様に、様々な形態の破産、チャプター11、administration、examinership(アイルランド)に入ったのだ(幾つかは既にそこを抜け出して居る)。
これらすべてが、(願わくば)晴れた日が戻って来るまで暖をとるために家具を燃やすように聞こえるとすれば、それは概ねその通りである。
現実が浸透するに連れ、2021年には更に多くの破綻が起こるだろう
政府の幅広い雇用支援への意欲は、2021年第1四半期の終わり以降、大幅に衰退する可能性が高いと見られ、多くの企業にとっての生存のための原資を絶とうとして居る。
収益面では、危機が迫って居る。航空会社は現在、特に欧州の航空会社は、イースターと夏休みシーズンで、事前購入によるキャッシュの大部分を生み出すことを目指す時期に入って居る。今年はCOVID-19が再び暴れ回って居るため、明るい兆候は無い。
新たな国境の閉鎖や検疫隔離が求められると言うリスクが常にある以上、旅行者は休暇のための支払いを約束することに、かなりの抵抗がある。極めて寛大な払い戻しや代替便の条件があっても、これまでのところ、消費者の大きな塊に、お金を払うよう説得することに成功して居ない。 これによる一つの結果としては、事前予約の期間が大幅に短かくなり、その間、航空会社は前払い金に飢えることになって居る。
供給席数が2020年2月初旬の(パンデミック前の)水準の約55%で推移して居る米国国内線市場でも、航空会社は実収単価が前年より15〜20%低い辺りにあるのを目の当たりにして居り、搭乗率は、以前の損益分岐の水準からかなり低いままである。米国でのコロナウイルスによる死者数は、依然として毎日3,500人から4,000人の範囲である。
そして、これらすべてを通じて、出張や業務旅行の回復が遅く、フルサービスエアラインの収入の重要な部分である、貴重なプレミアム料金を支払う顧客数が減少すると言う非常に明確な兆候がある。
家具を燃やすことは主に「希望の戦略」だったが、ワクチン接種が事態を変えるかも知れない
勿論、「希望の戦略」は全く戦略なんかでは無い。更に悪いことに、これで航空会社は、新しい環境のために根本的な変化を実行すると言う、非常に難しい決断を回避することが出来てしまう。
コロナウイルスの回復力がより明らかになったため、業界は国境を開かなかったのが悪いと政府を非難すると言う段階はほぼ通過してしまった。従って、今、全ての希望はワクチン接種が救いであることに集中して来た。
米国の新政権下で予防接種率の上昇が加速するに連れ、そして欧州の人々が、誰が最初に予防接種を受けるかについて争って居る一方で、そこには楽観的になる根拠が確かにある。恐ろしい段階を通過中の英国では、予防接種プログラムが加速されて居り、2021年半ばまでに感染拡大を鎮めることへの希望がある。もしそれが正しければ、これは非常に良いニュースであるが、多くの航空会社が必要なキャッシュを生み出して、火を燃やし続けるには遅すぎるかも知れない。
アジア太平洋地域(これまでパンデミックを大部分、封じ込めてきた南太平洋地域を除く)では、最近、感染が復活し、国際的な*「バブル」と「緑の回廊」の希望が危険に晒されて居る。アフリカの一部と湾岸地域でも、新たな感染が急増して居る。ラテンアメリカの多くの国では、パンデミックは依然として激しさを増して居るが、地域全体の供給席数は、COVID以前の2020年2月の水準の約50%に戻って居る。(*bubble、green corridor:限られた国家間で取り決めて、往来を可能にする事)
全ての市場での回復への障壁として小さくないのが、旅行者を空の旅に戻るように説得することだ。
次に、国際的には、国境を開くための、例えばワクチン・パスポートの承認と受け入れのための共通の原則を確立するために協力するかどうか、政府にとっては新たに加わった問題がある。ここでの状況は、寛大に見ても、混乱して居て、調整されて居ないと言えるだろう。
これらの方針に沿った更なる考察については、ダボス会議、COVIDと航空界に関する重要な質問を避けるを参照されたい。
2020年に新規起業の航空会社
いくつかの「仮想」航空会社が市場に参入した。このモデルは将来大きな力になるのだろうか?
この問題の詳細については、以下を参照されたい。
CAPA Live講話録:シティジェット、需要の急増に適した好位置に付ける
以上