当分析はCAPAが2021年11月2日に発表した
As COP26 opens Ferrovial pledges to create network of ‘vertiports’
JAMRが全文翻訳したものです。
COP26気候変動会議はスコットランドのグラスゴーにて開幕した(グレタ・トゥンベリは、彼女の登録商標である演説の一つを披露し、COPイベントを批判した;そして地元紙デイリー・レコードによれば、参加者がこのために使った専用機が排出するだろうCO2は、併せて1,600人が一年で燃やす量を超えると言う)。
これらの代表団は、環境に優しいエアタクシーで現れたら、もっと多くの支援を勝ち得たかも知れないが、現実は、このビジネスの分野は、科学技術とインフラの双方の点で、未だ「生まれたて」の段階である。
然し、グラスゴー国際空港で共同事業を展開して居る、フェロビアルは、方程式のインフラ分野のキックスタートを助けるだろう「*バーティポート」を、英国中で25か所、建設する計画を発表した。これは、昨年中、世界各地でなされた、幾つかの他の類似の発表(その殆どが、COVID-19の泥沼の中で消えてしまった)に続くものだ。
今回の記事は、VTOLビジネスがどこまで進んで居るか、そしてまだ乗り越えねばならない、どんな落とし穴が残って居るのかを見てみる。
*バーティポート:vertiport=vertical+airport 垂直離着陸機用の離発着ターミナル
**フェロビアル:スペイン・マドリードに本拠を置く総合建設会社、そもそも鉄道から始まり空港建設も手がける
概要 Summary
フェロビアルは英国に25のバーティポートを建設する
スペインの会社フェロビアルは、英国で「都市部と地域全体の接続を拡充し、エアモビリティの前進を支援する」ために25以上の「バーティポート」の路線網を創る計画であると発表した。
フェロビアルはバーティポートのデザインと技術を開発するため、グリムショーとモット・マクドナルドと提携して居る。フェロビアル・バーティポートCEOケビン・コックスは路線網は「新たな形の地域間の接続可能性」によって地方の経済を応援すると語った。
このスペインの会社は、引き続き主要株主であるロンドン・ヒースローなど、英国の4つの空港を運営する。また、マッケリー欧州インフラストラクチャー・ファンドが管理し、リリウム(ドイツの航空宇宙企業)とバーティカル・エアロスペース社と協働契約する、AGSベンチャーズ・エアポーツ社とのコンソーシアムを組んでの、サウスハンプトン、グラスゴー国際、アバディーン空港もそうだ。
フェロビアルは、米国、豪州とチリなど、世界で、合計33空港のネットワークを既に持って居る。
フェロビアルが空港を運営する都市でCOP26が開幕するのに合わせ、発表が行われた
2021年10月31日にグラスゴーで、予想では、時は「真夜中まで1分」と言う視点を持つ、英国の首相により開催されるCOP26・2021国連気候変動会議を控えた、この今、この発表が行われたのは、確かにただの偶然では無い。そして伝統的なジェットA1燃料を使った航空輸送産業は、相当、萎縮させる様な脚光を浴びるだろう(例え、各国代表団の半分がプライベートジェットで到着したとしても)。
同社は、「国中の都会と地域間の接続可能性を充実させるために、ゼロカーボンの航空輸送インフラ」を開発し、運用すると語る。
リリウム社、バーティカル・エアロスペース社との協働契約は、「迅速で現実的な運用計画を可能にするだろう。」
既に、フロリダに10箇所計画して居る
この計画は「安全、高速、炭素ゼロの航空業のためのインフラ開発を通じた、未来のモビリティを先導しようと目指す、新たな一歩である。」とフェロビアルは語る。これは、既に、最近発表された、米国フロリダで10箇所以上のバーティポートのネットワークを展開する契約に続くものである。
バーティポートは、リリウムやバーティカル・エアロスペースが開発した、全ての電動、垂直離着陸(eVTOL )ジェット航空機のために、着陸、再充電、そして離陸するための、インフラを提供するための必須の要素である。それは「コミュニティーに統合され、それを取り巻く環境に順応し、革新的なデザインにより、騒音の影響を減らし、エネルギーの効率を改善する。」
バーティポート・インフラのデザインと技術の構成要素を開発するために、フェロビアルは国際的な建築事務所グリムショーそして世界的エンジニアリング、経営、そして開発のコンサルタントであるモット・マクドナルドと提携して居る。
フェロビアルCEOのケビン・コックスは、「バーティポートとeVTOL の間の提携関係は、高速で、経済的、排ガス無しの旅行を数百万の人々に提供するだろう。このネットワークは新しいモデルの地域内の接続可能性を通じて、地方の経済を勢いづるだろう。」と言う。
これは、バーティポートの展開について発表された、唯一の例では無い。
フェロビアル自身のフロリダの例では、フェロビアルとリリウムが、少なくとも10箇所のバーティポートを展開すると言う、枠組み契約に2021年1月に署名して居る。そのインフラとサービスは、フロリダ中の主要都市の戦略的な地点をカバーして居る。提携関係は「フロリダ中の地点を結び、効率的で環境に優しい、代替的交通路線網を提供する事を目指して居る」。フェロビアルとリリウムは、バーティポート施設をデザインし、建設するために、また旅客サービスのために、バーティポートの運営と維持管理に於いて協働する。
2,000万のフロリダの居住者がこのサービスの恩恵を受ける
「居住者が活気ある文化、充実したプログラム、そして革新的な協働から恩恵を受ける、スマートで繋がるコミュニティー」と自らを銘打つオーランドのノナ湖は、既にリリウムの最初の米国でのバーティポートの、そして同社の米国に於ける都市と地域のエアモビリティ路線網のスタートの場所に選ばれて居る。*
そこは、リリウムジェットの300kmの航続距離内で、オーランドやタンパなど幾つかの主要都市に飛び、2,000万人以上のフロリダ住民を結びつける、絶好機の中心拠点を提供してくれる。
*訳者注)ノナ湖にバーティポート建設の報道(2020年11月17日)→https://www.businessinsider.jp/post-224039
2025年までに韓国でバーティポートとエアタクシー、そしてイタリアでは契約に署名
一年を振り返ると、CAPAはまた、2021年4月に韓国空港公社(KAC)が2020年12月から2021年2月まで開催された「バーティポート」施設のデザインコンテストの優勝者に選ばれた事を報じて居る。このコンテストは、2025年までに空飛ぶタクシーの開発と商用化を目的とする、韓国の都市エアモビリティ(UAM)プロジェクトにKACが参加し、その一部として開催された。
KACは、2つの離陸と着陸パッドと6つのエプロンを、ソウルのスセオ駅近くに設置する、未来的で環境に優しいバーティポートをデザインした作品で応募した、スセオE-バーティポートに最優秀賞を授与した。
そして、もっと新しくは(2021年10月)スカイポーツ(「電動エアタクシー革命及び、貨物配達ドローンのための着陸用インフラを開発、運営するモビリティの会社」)、そして、SEAミラノエアポーツは、イタリア中のバーティポートの路線網の開発と運営を調査する、提携契約に署名した事を発表した。
SEAが経営するミラノ・マルペンサ、そしてミラノ・リナーテ両空港のある、ミラノに始まって、この提携はスカイポーツとSEAグループが「車両に依存しない、拡張性のある、そして経費効率の高い」バーティポートを都市中に、そして周辺地域に配置するのを目指す事を可能にする。
同時に、ローマ空港、ベニス空港、コートダジュール空港(フランス)そして、ボローニャ・グリエルモ・マルコーニ空港が、都市エアモビリティインフラの開発を目指すプロジェクトである「アーバン・ブルー」の結成を発表して居る。
最初のバーティポート路線網は、ローマ、ニース、そしてベニス(2024年に計画)を含み、国際的な水準で更なる拡大も計画されて居る。また、UAMの運営の発展的拡大のために、新たな産業としての、技術的な、そして資金的な提携企業のための新会社が設立される予定だ。
2019年に遡ると、グループADPの副CEOは同グループが、垂直離陸と着陸(VTOL)移動体にモバイル・プラットフォームを提供する「バーティポート」モデルを提示した事を報告して居る。同グループは18か月後に、パリ地区にある同社のエアロドームの一つで、テストを始める意向だった。
これらは、バーティポート開発計画の多くの例の内のほんの一握りである。過去数日間に行われた発表の数から見て、その概念は定着し、勢いはCOP26の開催でますます強くなったことは明らかである。
それでは、正確には、バーティポートとは何だろう、どんな移動体が使い、どこに設置される事になるのだろう?
移動体の形式は、かつて1960年代の「ジャンプジェット」の様な、軍用のアプリケーションから開発された、VTOL(垂直離着陸航空機)となるだろう。以前CAPAレポートでは、技術的な問題について、大した進歩は無いとしたが、多くの民間用のバージョン、現実的には空飛ぶタクシーが様々な開発段階にある。
エアモビリティの市場規模は1.5兆米ドル
それにも拘らず、ヒュンダイはエアモビリティの市場規模は、向こう20年間で、ほぼ1.5兆米ドルになると予想して居る。
然し、都市部のエアリアル モビリティを離陸させるためには、VTOLは安全で信頼でき、そして、航空交通管制(ATM) が、それを受け容れるために順応できなければならない。
人々は、この新しい交通の様式を受け入れる必要があるだろう(ドローンが小包を玄関先まで運ぶことでさえ、懐疑論があった)、そしてそれが手頃に利用できる旅行の方法で無くてはならないのは言うまでも無い。
ポップアップ・ショップの様な、極く小規模の空港
ジグゾーパズルの最後の一片は、有償旅客を乗せて、着陸、充電、そして離陸するためのインフラ、名付けてバーティポート、即ち、都会の適当な場所や、主要な交通機関のハブに、あたかもポップアップショップの航空版の様な、極く小規模の空港が、設置できる必要があると言うことだ。
世界で最初のエアタクシー用バーティポートのプロトタイプは、2019年10月「交通システム世界会議」の期間中に、シンガポールのフロート・アット・マリーナベイ(水上スタジアム)にてベイルを脱いだ。「ボロポート」はエアタクシーを製造するボロコプター社と英国を本拠とするバーティポートの開発、所有、運営企業であるスカイポート(前述の通り、イタリアのSEAエアポーツ社と、正に契約を結んだばかりだ)の縁組から生まれた。
「ボロハブ」でのボロコプター
Source: Volocopter.
シンガポールが選ばれたのは、スカイポーツによって、新たな科学技術の「素早い順応者」とみなされたためである。
然し、米国もそうだ、そして、特に1968年のロサンゼルス・オリンピックの開会式に、*ジェットパックの力で「ロケットマン」が飛び込んで来たカリフォルニアもそうだ。(もし今日、彼がそれをやろうとしたら、そしてジェットパックが電気または水素の力でなかったら、彼は好ましからざる人物として、スタジアムに飛び込んだ途端に追い出されたことだろう。)
*ジェットパック:鞄のように背負ったジェットの噴射によって推進する飛行器具
ウーバーは、2023年までにロサンゼルスでエアタクシーを導入する予定だと言う
だから、多分、スカイポートが世界中で、ロサンゼルスの様な、数多くの「メガシティ」と協働し、先駆者の地位を追い求めるとしても、驚くに足りない。ウーバーは2023年までに、エンジェルの町でエアタクシーの運用を目指すと公式に宣言して居る。
この輸送形態とそのインフラは、伝統的な空港インフラに取って代わるものでは無いー少なくとも、殆どの人々の想像の範囲内ではそうならない。
地上の混雑緩和のため、都会のビジネスセンターと航空交通ハブの間の点と点を繋ぐ
その代わり、バーティポートの運用方法は、都会のビジネスセンターと主要な航空交通ハブの間の「点と点を繋ぐ」事で、空港と都市の中心との間の地上交通混雑を緩和すると言うものだ。
地上の交通混雑と大気汚染は、ロンドンでヒースロー空港の拡張計画(第3滑走路)に裁判所から中止命令が出た(その後、覆ったが)事で明らかになった様に、空港開発に対する、最大の反対要因である。
上の写真の様に、ボロコプターはマンハッタンのミッドタウンの5番街と6番街(アメリカズ通り)の間の40番地辺りの着陸地点に駐機して居る。完璧な場所である。
これは、勿論、これまで何年もヘリコプターのために存在した概念であり、大体どのマンハッタンの摩天楼にも現実に、或は可能性としてのヘリコプターの離着陸場がある。
ヘリコプターからの一段昇格、然しどのくらい?
確かに、ウーバーは既に、ロワーマンハッタン・ヘリポート(金融街にある)とJFケネディ空港の間に8分のヘリコプター飛行サービス(ラッシュアワーのみ)を行って居る。VTOLはもっとクリーンなのかも知れないが、他にどんな利点を提供してくれるのか明らかでは無い。
スカイポーツ社にとって、もう一つの目標は、グループADP、RATPグループ(パリ交通公団)、そしてボロコプターと一緒になって、欧州のエアタクシー市場をキックスタートさせる良い触媒になると期待される、2024年パリ・オリンピックのための都市航空路線網のショーケースを提供する計画である。
バーティポートのデザイン概念を特徴付けるのは、通常の空港の過程と似て居ない訳では無い。
VTOL間の距離はどのくらいとるか、着陸エリアはゲートからどのくらい離すか、そして再充電を如何に安全に行うかなどの管理規則と安全要素はデザインにとって最重要である。
経済的な建設が目標
幾つかの大規模な「ショーケース」の場所ができるだろうが、スカイポーツの焦点は、同社のバーティポートを経済的に大規模に建設するための、デザインの一連の基準にある。
これは、何故、暫定的あるいは半恒久的な空港のターミナル構造を専門にする各企業が、未だに公然とはこの論争の中に入って来ないのか、そしてもし彼らが参入しようと考えたら、彼らに必要とされるものは何だと捉えるのか、と言う疑問を抱かせる。
この市場のもう一つの会社は、エアタクシー製造会社であるヒュンダイ・エアモビリティ(ヒュンダイ自動車グループの一部門)と協働するアーバンエアポート社(英国を本拠とし、未来のモビリティに焦点を当てたアーバン・ディープーテック企業のグループの子会社)である。
2020年7月、2つの企業が、目的に沿った、多機能で大規模なUAM (アーバンエアモビリティ)のインフラを模索するため、ヒュンダイが空飛ぶタクシーサービスのため、向こう5年間に15億米ドルを投資し、航空移動体、加えて支援するモビリティ・エコシステムを創り出すと言う、提携を結んだ。
アーバン・エアポートは、具体的な離着陸、充電、維持管理そして旅客処理の技術、及び「ワンストップ・ソリューション」として、VTOLによる旅客の輸送、ロジスティックスのデジタル・インフラを提供する計画である。
この会社のソリューションは、「モジュール式で、迅速に利用でき、搬送可能で、拡張性がある」そして、エアタクシーと自らの中核的インフラを統合する事に興味を持つ、幾つかの英国の空港など、世界中の多くの都市からの関心を呼んで居るとのことだ。
プロトタイプが2022年英連邦競技会で設置される予定だ
最初の登場は、コベントリー(英国)で、そして英国文化都市2021とバーミンガム近郊での2022英連邦競技大会の一部として、ヒュンダイ・エアモビリティーとアーバン・エアポートが電動VTOLの実験デモ用に、本格的なプロトタイプのバーティポートを設置する時だ。
同社は、彼らのデザインによって、エアタクシーのための、充電とバッテリー交換の能力を統合する事で、違う形のゼロ排出の乗り物が充電でき、バーティポートをVTOLだけでなく、ドローン、電動バイク、そして電気自動車など全種類の電動移動体用ハブにすることが出来ると述べて居る。
一方で、建築設計デザイン事務所のパスコール+ワトソンは、都市郊外のVTOL離着陸場に「ポップアップ飛行場」の導入を考えて居る。そこでは今は余り使われて居ないインフラ、例えば屋根上のスペース、駐車場、ヘリポート、使われなくなった飛行場などが、都会に出入りする地表交通の負担を取り除くため、目的を変えて再利用できる。
三大起業家は、更に幅広い環境問題に興味を持って居る
この技術は、これらの企業では、プロトタイプが使われて居るに過ぎない、まだ、概念の段階である。この分野の頭上にかかって居る大きな疑問符は、直接関与する人々の中に「三大」起業家が存在しないことだ。
英国のリチャード・ブランソン卿は、少なくとも、英国、ロンドンとマンチェスターで、エアタクシーサービスを始める事を語って居り、一方、米国でイーロン・マスクはリリウム社を称賛し、自分がこの会社を創立したかったとほのめかして居る。然し、それだけだ。
アマゾンのジェフ・ベソスは確かに一度、リフト・エアクラフト社の「ヘクサ」空飛ぶ車の一つに試乗したが、今は宇宙旅行の方に夢中になって居る様だ。
もしこの3人の中の誰かが(彼らのいずれも「グリーン」と言う信頼性を得て居るが)、もっとVTOL事業及び/或はインフラに関与して居たら、この生まれたての産業は、今頃は、間違いなくもっと先へ、もっと早く進展して居た事だろう。
以上