当分析はCAPAが2020年3月31日に発表した
COVID-19: Travel search. How repatriation became the main driver
COVID-19:旅行検索。如何に帰郷の動きが蔓延の最大の牽引役になったか
をJAMRが全文翻訳したものです。
2020年4月3日
COVID-19:旅行検索。如何に帰郷の動きが蔓延の最大の牽引役になったか
COVID-19コロナウイルスが武漢のもの陰から静かに頭をもたげ、そしてニュースが広まって行く内に、CAPAの分析は、エアライン検索(「買い物」)が、3ビクターズ社のデータに描かれる様に、緊密にその進展を追跡して居た事を示して居る。
IATAの事務局長でCEOのアレクサンドル・ド・ジュニアックは2020年3月24日「エアライン業界は最大の危機に直面して居る。」と語った。殆どの旅行、観光分野の業界についても同じ事が言える。
世界の多くの地域がロックダウンに入ってしまうに従い、主要GDS(Global Distribution System)の旅行検索は着実に減少する事が予測できた。殆どはその通りだったが、旅行のビッグデータ技術の会社である3ビクターズが記録した旅行検索を、CAPAが分析したところでは、旅行検索が、パンデミックが世界中に広がった重大な時点に指数関数的に跳ね上がると言う、興味深いトレンドが示されて居る。
パンデミックの拡大が、このデータに基づき、コロナウイルス危機が如何に航空便の旅行検索に影響を与えたかを浮き彫りにする。
概要Summary
● 旅行検索は旅行活動の貴重な先行指標
● コロナウイルス・パンデミックは、予想通り、出現する危機を人々が察知するのを追いかけた
● 然し、検索行為は、一般大衆が、比較的緩慢に情報を得た事を示して居る
● 危険が察知された途端に、住民が急いで帰郷しようとし、国家の旅行規制の始まりが検索の主要な牽引役となった
2019年12月、新型ウイルスによる感染例が中国保健局に最初に確認された。大がかりなパンデミックに対し、科学的な研究や感染症としての関連付けは未だなされて居ないが、ウイルスは一か月も前に最初に現れたかも知れないとする訴えがある。2019年12月の前半、今や「第0号患者」の可能性があると名指しされる、華南の海鮮卸売り市場で働く57歳の鮮魚商人ウエイ・グイシャンなど、半ダースもの、確認された感染例が中国の武漢地区で記録されて居る。
2019年の終わり頃には、全て華南の海鮮卸売り市場から、類似の例が記録されて居る。この、当時は異常な状況と表現された事態が、中国の疾病管理予防センターに、そして12月31日には世界保健機関(WHO)に報告されて居る。
この段階では、この世界を正に襲おうとする医療的な「津波」の事が、中国で10番目に大きな都市で、ハイテク、教育、そして金融の中心地である武漢、或はより広く武漢の属する湖北省の外では殆ど知られて居なかった。この時、旧正月休暇がどんどん近付き、これは危険を覆い隠したい地元の政治家たちにとっては、格好の口実となったが、旅行への需要、そして世界各地から中国への旅行検索はずっと強いままだった。
2020年1月8日に新型コロナウイルスが検知された事が、公式に確認された後、中国以外での最初の感染例が韓国で報告された。次の週以降、このウイルスが直接の原因となる最初の犠牲者が記録されるとともに、新たな感染例がタイと日本、そして中国の他の地域で報告された。
CAPAの業務渡航の出版物「日刊ブルースワン」はこの時、より広範な世界が、今やウイルスに、より注意を向けるように成りつつある事を報道し、この月の末までには、感染例は香港、マカオ、豪州、シンガポール、マレーシア、スリランカそしてカンボジアで、また、はるか遠く離れたカナダでまでも記録された。
この段階で、旅行検索は、消費者需要が明らかな変化を見せて居ないのを明らかにして居る。旧正月休暇は差し迫って居り、関心は強烈だ。
然し、中国の政府が拡大武漢地区に2020年1月23日の朝から始まる検疫隔離を宣言した、2020年1月22日にこれが変化した。このニュースは急速に広まった。
中国への旅行検索(2020年1月~2020年2月)
Source: CAPA - Centre for Aviation; 3Victors
この時点で、中国への旅行の関心は明らかに減少したのが、3ビクターのデータから顕著に見える。事実、武漢のロックダウンの後では、検索の量は殆ど半減して居る。
2020年1月24日、中国の国外行き旅行検索は鋭く落ち、回復し、そして急落して居る
それまで何年もの間、世界中の各都市が争って惹きつけようとして来た、そして多くの都市にとっては、今や主要な来訪観光客市場、旅行者の塊である、中国の国外行き市場についても同様な話だった。
一つの例は、旅客数から、そして一国で国外来訪者の消費支出の1/4以上を占める経済的価値から、中国が最大の来訪客市場となって居た豪州である。
武漢がロックダウンに至った時、中国から豪州への旅行検索は、同様の下降軌道を辿った。
中国から豪州への旅行検索(2020年1月13日~2020年2月12日)
Source: CAPA - Centre for Aviation; 3Victors
世界中のエアラインは、既に中国、そして香港の近隣、そして中国本土との国境地帯への便を休止しつつあったが、これは特に強烈な打撃を受けた事を意味し、キャセイ太平洋は、大衆の信頼減退が旅行需要を抑えつけるに連れ、可なりの運航の削減を余儀なくされた。
然し、それだけでは無かった、多くの感染例が一週間に10倍以上に急増し、世界の他の地域で蔓延し始めてから、2020年1月末までに、WHOが世界緊急事態を宣言した。
世界の注目が日本の港で検疫隔離され、感染確認数増加が急速に加速するクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスに集まる中、極めて感染しやすく、感染から5日間は症状の出ないコロナウイルス蔓延は、世界への繋がり方が進歩したのにも助けられ、世界中への旅に出て居た。
中国の武漢でのロックダウンは、迅速だったが、ウイルス感染の初期段階のうちに動きを制限するには充分な速さではなく、どんどん増えて行く各地での、新たな感染例が報告された。これらの中には、欧州全体の例も含まれるが、欧州大陸での感染突発の震源地に成ろうとして居たのはイタリアだった。
この国の最初の感染が記録されたのは、2人の中国人観光客がローマでのテストで陽性と判定された、2020年1月31日だった。イタリア政府は、中国発着の全航空便を止め、即刻非常事態宣言を出した。
然し、2020年3月上旬までに、北イタリアの11の町が、イタリアで2つのウイルスのクラスターの中心地と見做され、検疫隔離された。
他地区での陽性例の大半は、実際にこれら元のクラスターに足取りが辿れた。
ジュゼッペ・コンテ首相が2020年3月8日から、イタリア北部の殆どを隔離し、次いで全ての非中枢の企業、産業を休止させ、2020年3月21日からは人々の動きについて付加的な制限を課したにも拘らず、イタリアは急速に最大数の犠牲者を記録する事になった。
...然しイタリアへの旅行検索が減少するまでには少し時間がかかった
旅行検索:全世界の国からイタリアへ(2020年1月~2020年3月)
Source: 3Victors
3ビクターズのデータは、目的地としてのイタリアは、旅行希望に関しては、武漢が都市封鎖とされた後に小さな全体的な減少が有った以外には、少ししか影響を受け無かった事を示して居る。
このトレンドは、1月の終わりから2月の中旬まで続き、ロンバルディアの感染突発が同国北部で明らかになるに連れ、2020年2月16日の週から以前の水準に戻る。予想通り、検索の量は感染者数と犠牲者数の増加に従って減少した。
世界が2020年3月に入って行き、このウイルスが正式にCOVID-19と命名され、WHOが公式にパンデミックを宣言する中で、蔓延は真に世界規模となり、世界中の国々は、この蔓延を減らし、国家の継続可能な保健体制が維持できる様、積極的な行動を取り始めた。ソーシャル・ディスタンシングと隔離の方針と共に、多くはまた暫定的にビザによる入国の制限を開始し、大多数の場合、全ての国外からの来訪者を制限する管理令を出して居る。
米国、24時間前の告知で、2020年3月13日にシェンゲン圏諸国に対し国境を閉鎖した
アメリカ合衆国が、欧州共同体(EU)のシェンゲン協定加盟国に対し、2020年3月13日から国境を閉鎖すると言う、当時としては最も強い姿勢をとったのは、トランプ大統領による2020年3月12日の宣言だった。
ほんの数日後、これはまた、世界で最も繁忙で最も収益性の高い、空の回廊の一つで、航空往来を制限すべく、英国、アイルランド共和国を含む様に拡大された。
検索は、概してアメリカ人在住者が帰郷する方法を探す行動が続いたが、急速に減少して行った。
旅行検索:全ての国から米国へ
Source: 3Victors
これは旅行と言う観点から、パンデミックの中の主要な転換点の一つであったが、興味深いことに、宣言までの数日間に、米国への航空便に対する、世界からの旅行の希望は、この年最大の数に達して居て、これはコロナウイルスの蔓延の重大さが続く中で、市民が帰郷する航空便をチェックしたり予約したりするための検索をして居たとほぼ説明できそうである。
米国国内線の旅行検索は、シェンゲン宣言の日、2020年3月12日に頂点に達する
北大西洋市場の動きは、政府の旅行制限によって促された国際的な現象だったが、また同時に旅行希望が、前週の同曜日の水準から、ほぼ1/3(31.9%)増え、2020年3月12日に頂点に達した、米国国内線市場でも明らかだった。
旅行検索:米国から米国へ(2020年3月)
Source: 3Victors
航空便の検索は、今や自然な需要より、強力な旅行規制に導かれる様になった
もっとよく見ると、3ビクターズのデータが、今回の事で旅行検索をする上で最重要な時期を表すのを明らかにして居る。それはCOVID-19が、殆どの世界を飲み込もうとして居る事が受け容れられ、そして武漢で導入された都市封鎖が世界中の他の地域で、多少度合いは異なるが、真似されて来た時期の様に見える。
航空需要は、今や、大衆の信頼によってだけでなく、強力な旅行規制によっても制限されるのだ。
米国国内線市場のピークの様に、国際線の帰郷の需要が、多くの国の組合せに於いて、旅行希望の跳ね上がりを起こし始めたのだ。この数週間、まだ飛んで居るエアラインは、主として市民の帰国を助けて居る。カタール航空はこの需要の短期間のピークを支える様、航空スケジュールを拡大して居る。
英国-米国間市場は、世界のどのエアラインをとっても、唯一の10億ドルの航空路線、それが英国航空のロンドン/ヒースロー=ニューヨーク/JFK路線であるといつも報告されて居る。
それは繁忙な空の回廊で、2020年3月12日に、前日の28.4%増加、前週の同じ曜日の27.7%増加と言う、旅行希望のピークを経験したもう一つの例である。それ以来、旅行希望は、そのピークの日のほぼ1/5の水準に落ち込んで居る
旅行検索:英国から米国へ(2020年3月)
Source: 3Victors
今や、世界の人口の多くが、任意か否かは別として、ある種の形で隔離され、ソーシャル・ディスタンシングの最中にあって、何か前向きな兆候はあるだろうか?中国は国内的には制限を緩和し始め、武漢の人々にも限られた自由を許して居る。旅行希望のデータが示す様に、2020年3月12日から2020年3月18日の間に、中国に帰る旅行の量がかなり跳ね上がって居て、これは明らかに多くの国から同様だが、この週の中の異なった日に散らばって居る。
旅行検索:フランスから中国へ(2020年3月)
Source: 3Victors
中国政府の官僚はウイルスは国内的にはコースを走り終わったと考えて居るが、今度は中国へ帰郷する市民が輸入する感染例に、より警戒する様になって居る。
中国で報告されて居る、ほぼ全てのCOVID-19の感染例は、今や国に帰って来た人々である。
早い時期での中国の下方への軌道に従って、国内的には制限を取り除くことで安定へ復帰した可能性がある。
中国への旅行希望の量は、2020年3月の最初の週に前月に比べかなり増加し、いくらか上向きの兆候を示して居る。
全世界の国から中国への旅行検索(2020年第1四半期)
Source: 3Victors
然し、2020年3月9日から2020年3月16日まで対策強化がなされたにも関わらず、中国の自国の入国旅行制限(14日間の検疫)は「旅行への願望」水準が、今や、検疫隔離の必要条件がなかった、最初の武漢ロックダウンの後よりも更に落ち込む結果となって居る。
今や2020年第2四半期に入り、幾らか楽観論に根拠が見られる。中国の国内線は供給が復旧するに連れて、次第に復活しようとして居る。
以上
COVID-19: Travel search. How repatriation became the main driver
COVID-19:旅行検索。如何に帰郷の動きが蔓延の最大の牽引役になったか