当分析は、CAPAが5月30日に発表した
China airline growth: 57% international surge while domestic holds up and Hong Kong/Macau fall
をJAMRが翻訳したものです。
30-May-2015
繰り返される疑問は、中国の経済と鈍化する成長について、世界第2の規模を持つ市場である、中国の航空業界には、どの様な影響があるのかというものだ。
良いニュースは、2015年第1四半期に、中国のエアラインの旅客輸送量は13%の成長、そして初めて1億人を超えると言う、快いほど堅固である事だ。国内線はと言うと、中国エアラインは、2015年第1四半期に前年同期に比べて900万人(737に換算すれば毎日656機分)多くの国内線旅客を運び、11%の伸びに留まった。
国際線の成長は巨大な湯気を上げて居り、2015年第1四半期に57%の大波(A380に換算すれば毎日64機分)を迎えて居る。然し、全体としての国際線輸送量は中国のエアラインにとって、全輸送量に比べて、2008年と同レベル、より最近の数年では最高だが占有率7%と言う小規模なものに留まって居る。域内の成長は、香港、マカオがかつてほど魅力的で無くなり、5%の伸びとペースが落ちて居る。
もっと心配なのは台湾で、多分、よりエキゾティックな日本、韓国、タイなどの他のアジアの目的地に向かって居る模様で、中国人旅行者数に翳りを見せ始めて居る。この3国は2015年夏には、中国のエアラインから最高の伸び率を獲得する事になるだろう。
中国のエアライン各社は、2015年第1四半期に、彼らの全ての路線網の合計で、1億400万人の旅客を輸送したと報告して居る。これは前年同期比で13%の上昇であり、史上初めて第1四半期に1億人を超えた事になる。「域内旅客数」(Regional)とは、香港、マカオ、そして台湾を意味し、「国際旅客数」(International)はそれ以外の国外全市場を指す。
中国エアラインのカテゴリー別輸送実績:第1四半期の比較2008年~2015年
Reigional:域内国際線、International:その他国際線、Domestic:国内線
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
中国エアラインの国際旅客数は大波を迎える、毎日A380で64機分以上
CAACの統計に依れば、国際旅客数は、2015年第1四半期の全輸送旅客数の6.8%で、中国エアラインにとって、依然小さな構成要素に過ぎない。これは2008年第1四半期の国際旅客数の占有率6.4%とほぼ同じである。
然し、この間の2009年から2014年までは、国際旅客数は凡そ4.2~4.9%の水準に低迷して居り、国際線旅客市場が拡大傾向を回復した事を示して居る。
中国エアラインの市場別輸送実績(占有率)の推移:第1四半期の比較2008年~2015年
Reigional:域内国際線、International:その他国際線、Domestic:国内線
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
2015年第1四半期、中国エアラインは、国際旅客数が57%伸びて、710万人になったと報告して居る
2015年第1四半期、中国エアラインは、国際旅客数が57%伸びて、710万人になったと報告して居る。この増加は、過去数年の低い2桁の伸びの後にやって来たものである。
2010年に対前年32%の伸び率があるが、これは、2008年から25%下落した低迷の2009年の翌年であった。ともかく、中国エアラインの国際旅客数は、2012年第1四半期から2015年第1四半期の間に倍増して居るのだ。
中国エアラインの国際旅客数推移:2008年~2015年第1四半期
棒グラフ:旅客数(左目盛)、線グラフ:伸び率(右目盛)
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
この拡大を時系列で見てみると、2015年の第1四半期に、中国エアラインは前年同期比で260万人も多くの旅客を運んだ。これは、2015年第1四半期には、毎日、満席のA380(450席)が64機も多く飛んで居た事になる。言い方を替えて、160席のA320や737にすると毎日満席で180機も多く飛んだ事になる。
中国エアラインの輸送実績は、極めて大きな旅行のピークである旧正月に当たる期間が、この両月の間で変動するために、概ね、1月、2月の数字は、合算して見なければならない。2015年でユニークなのは、3月の輸送実績の水準である。(下のグラフ参照)
過去数年では、3月の旅客数は1月の数字と同じ水準か、それより低かったのが、2015年は、かなり高かった。また、通常は、前年の8月の旅客数の方が高いのだが、2015年3月の旅客数は2014年のどの月に比べても高かった。
2015年3月は、2014年中で国際旅客が最も多かった8月より4%高い数字だった。
中国の月別国際旅客数:2008年~2015年
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
人気の旅行シーズンである第3四半期が近づいて来るが、中国エアラインが最大の伸びを見せるのは一体どの市場だろう?2015年5月現在、登録されたスケジュールに依ると、一番は域内国際線の市場で、韓国、タイそして日本が伸びを牽引して居る。2015年第3四半期には、中国エアラインの追加供給は、韓国へ140万席、日本へ80万席、そしてタイへ48万席である。
Source: CAPA - Centre for Aviation and OAG
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域内国際線旅客数の伸びは香港、マカオ訪問者数の下落で半減
中国の航空業界の定義で言う、「域内旅客数」は、香港、マカオ、そして台湾と言う比較的狭い地域の実績を指す。然し、ここがずっと、大きな旅行目的地だったのだ。2009年から2014年までの期間、「域内旅客数」は、その他の全ての外国を意味する「国際旅客数」の半分以上の規模になって居た。その伸び率が、2015年第1四半期に、5.6%と鈍化して居る。209年第1四半期に2.7%に縮んだ事はあるが、2010年同期は21%の伸び、2011年は16%、2012年から2014年は11~12%の伸び率で推移して居たのだ。
中国エアラインの域内旅客数:第1四半期の推移2008年~2015年
棒グラフ:旅客数(左目盛)、線グラフ:伸び率(右目盛)
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
CAACは、公に、域内の分野の数値の内訳を明かさないが、他の指標から傾向の大筋を推定する事は可能である。台湾は、本土からの訪問者数が2015年1月と2月に前年より伸びたが、3月には前年割れ、4月も続いて居る。2015年第1四半期、台湾への本土からの訪問者数は8.2%上昇したが、4月を含めて、今年今日までの伸び率は僅か4.4%である。
台湾、月別本土からの入国旅行者数推移:2008年~2015年
Source: CAPA - Centre for Aviation and Taiwan Tourism Bureau
本土からの中国人旅行者数は台湾訪問者数全体の1/3を超えるため、この変化は、台湾訪問者数の総計に大きな影響を与えて居る。その他の市場(例えば、香港や日本)も同様に弱含みであるが、中国本土ほどでは無い。
香港、マカオもよく似た傾向を示して居る。2015年1月と2月には本土からの中国人旅行客は伸びて居るが、3月の数値は前年割れして居る。然し、これら2つの市場は、本土からの訪問者の殆どが地上海上交通機関を使い、空港では無いという点で異なるため、必ずしも、全体の訪問者数と旅客機でやって来る少数派との強い相関関係は無い。一方、台湾への本土からの訪問者の殆どは空路でやって来る。
台湾は依然として、魅力的な目的地なのだが、香港とマカオは少し異なる。中国の反汚職キャンペーンは大きな影響力を持ち、特に高級な賭博のメッカであるマカオに、大きな打撃を与え、一方、しばしば発生した事件や、抗議デモから、香港は本土の中国人を歓迎してくれない所と受け止められて居る。
2014年4月、北京政府は、深圳の住民の香港訪門を週一回に限定
2015年4月に北京政府が、これまで制限は無かった深圳の居住者の香港訪問を、週一回に限定した事が、この先数ヶ月で、本土からの香港訪問者数への更なる影響として出て来るだろう。然し、これも、(直接的には)中国エアラインの輸送旅客数に影響を与えるものではない。
香港、月別本土からの入国旅行者数推移:2009年~2015年
Source: CAPA - Centre for Aviation and DSEC
国内線の伸びは健全な11%を維持。2015年第1四半期の増加は、毎日A380の233機分
中国エアラインの遠く、幅広い市場への国際線拡大は注意を惹いてきたが、国内線市場が中国航空業界の肝心要である。2015年第1四半期、国際線の伸びは、毎日A380の64機分に当たるが、国内線の旅客増は、毎日A380の233機分、A320や737なら656機分に当たるのだ。
中国エアラインの国内線旅客数:第1四半期比較2008年~2015年
棒グラフ:旅客数(左目盛)、線グラフ:伸び率(右目盛)
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
第1四半期の中国の国内線旅客数は、史上初めて9千万人の大台を超えた(ほぼ毎年、何らかの里程を超えて居るが)。2010年代の前の時代の、年間伸び率がほぼ20%と言う時代は、明らかに過去のものとなったが、足許となる数字は恐るべき水準である。
伸び率のパーセンテージに焦点を当てると、足許となる水準が常に変化するために、歪んでしまう可能性がある。2015年第1四半期の伸び率パーセンテージは低いかもしれないが、増加した旅客数は以前のどの年よりも多いのだ。2015年第1四半期の国内線旅客増加数950万人は2014年第1四半期の増加旅客数870万人より8.5%高い数字である。
中国エアラインの国内線旅客増加数対前年比較:第1四半期、2009年~2015年
棒グラフ:純変動旅客数(左目盛)、線グラフ:伸び率(右目盛)
Source: CAPA - Centre for Aviation and CAAC
国内線の伸び率は大きくは、国内エアラインが航空機を何機調達できるかを決める、政府レベルで調整されて居る。CAPAが以前に報じた様に、大きなエアラインは彼らの生産しなければならない生産量に欲求不満を覚えて居た。この成長の水準と言うものは厄介で、戦略的な賢い成長を、そして、膨れ上がるコスト基盤を再調整する事を許さない。
皮肉なことに、彼らはまた、効率的なLCCの春秋航空が模倣されたり、対抗されるのを妨げようとするCAACからも圧力がかかって居る。
エアラインにとって、頼れる選択肢と言ったら、新たな機材の輸入を相殺する為に、古い機材を退役させる様な事に限られている。逆説的だが、大きなエアラインは、成長の速度を緩めたいと思っても出来ない、一方で、小規模で、民間経営のエアラインは、成長したくとも、許されないのだ。
第2部:民間エアラインが押し寄せ、多くのエアラインがLCCモデルに移行
中国エアラインの大半の輸送実績は、巨大な国営フルサービス・エアラインと、その関係会社、子会社に牛耳られて居る。然し、小さいけれど、頭角を現して居る民間エアラインと、LCCの分野がある。最近、春秋と吉祥航空が、IPOを成功させ、彼等が、今、脚光を浴びて居るのだ。また一方で、多くのエアラインが、フルサービスから、低コストに移行しようとして居る。この動きについては、第2部で見てみたい。