CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のトピックスは
今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。
毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。
25-May-2018
カタール航空が第5の自由便の運航計画を、当面凍結すると声明し、UAEとの同様の取引がこれに続き、米国の3大エアラインは、長年続いた補助金キャンペーンは勝利に終わったと主張する結果になったが、一方、アメリカン、デルタそしてユナイテッドと議論で対立して来た人びとは、これで正確には一体何が達成されたのか、頭を捻る状態に変わりはない。
アメリカン、デルタそしてユナイテッドは、彼らの不満は、手広く第5の自由便を飛ばすことを排除する事についてでは無いと主張して来た。彼らが憤って居るのは、それが補助金を貰っての第5の自由便であり、どんどん拡大する可能性があるからなのだ。UAEとの類似の合意は、フェデックスにとっては、致命的な第5の自由便の運航が危機に瀕する事は無いと、懸念を和らげる筈だ。
エミレーツは自ら第5の自由便を運航して居る事から、明らかに、より多くの自己資金をつぎ込んで居る。然し、それは彼らの事業全体の中での顕微鏡的な小さな部分に過ぎないもので、多分、第5の自由便をもうこれ以上追及しないと合意する事は、長年続いた補助金論争に終止符を打つためには、ほんの小さな代価なのだろう。
然しながら、今や、UAEと類似の合意に達した事で、これは論争に本当に終止符を打つのか、或は単なる暫定的な停戦に過ぎないのかどちらだろう?
欧州は、ボーイング737MAXよりエアバスA320neoを好む=特にLCCは
24-May-2018
原油価格の値上がりが、エアラインの経営陣に最新世代の燃費効率の高い航空機に注目させる事になって居る。狭胴機が支配的な、多くのエアライン、多くの路線にとって、これは、エアバスA320neoとボーイング737MAX系列機を意味する。
然し、737の納入待ちは、現在、凡そ9年程度、そして、A320では12年ほどである(2017年の納入機数と現在の未納入機数に基づく)。生産率の増加は、納入待ちを短縮させるが、エンジンの納品が、これに逆らった動きを見せて居る。
今回のレポートは、欧州でのA320neoと737MAXの保有機数と発注数をCAPA保有機データベースのデータから検証する。欧州では、A320neoは737MAXより人気があり、その人気は特にLCC各社の中で高い様だ。ペガサス航空は欧州最大のneo運航会社で、ノルウェーエアは欧州最大のMAX運航会社である。ウイズエアはneoの発注数では欧州最大であり、ライアンエアは、MAX発注数が欧州最大である。
Europe prefers Airbus A320neo over Boeing 737MAX – especially LCCs
エアラインの利益率:締め付けが始まる=ブレント原油が80米ドルに達して
24-May-2018
2018年5月17日、ブレント原油2014年11月以来初めて80米ドルに達した。2018年5月17日現在で、ブレント原油の今年これまでの平均価格は、2017年の平均価格である54米ドルより28%上昇して、69米ドルである。もし、今年の残る期間、80米ドルが続くとしたら、2018年の平均は去年より40%上昇して76米ドルとなる。
今年現在までのジェット燃料価格1バレル83米ドルを基準に、IATAは、2018年、世界のエアラインは2017年に比べ393億米ドルも多くの燃油代を支払う事になると推定して居る。2017年の純利益345億米ドルに対して、これは大きな追加コストである。
損失の予測無しにこの様な大きな燃油費の増加に対応出来ると言うことは、エアライン業界のより大きな回復力の証になる。とは言え、エアラインの営業利益率を最近の循環的ピークから、更に大きく引き下げる要素になりそうだ。
Airline margins: squeeze is on as Brent crude oil touches USD80
東南アジア-ロンドン=ロイヤルブルネイ、新たな競争を開始
24-May-2018
ロイヤルブルネイ航空は、今年中に5機目の787-8の納入を受けて、ロンドンへの直航便の運航を開始する計画を確認して居る。ロイヤルブルネイは、1990年以来、最初はシンガポール、ドバイの2地点経由で、2004年からは毎日1便のドバイ1地点経由便としてロンドンに定期便を飛ばして居た。
バンダルスリブガワンからロンドン/ヒースローに直航便を提供すると言う事は、ロイヤルブルネイにとって大きな一里塚となり、同社の世界的な評価を高め、東南アジア=ロンドン間、そして豪州=ロンドン間市場に於ける同社の立場を改善すると思われる。この新規サービスはまた、国としてブルネイの評価を高め、ブルネイの向こう4年間に来訪客数を倍増させると言う目標達成を助ける事になるだろう。
然し、新たな14時間の路線は、ロイヤルブルネイが、一握りの極めて競争の激しい都市組み合わせの中で、第6の自由需要に大きく依存せねばならないことから、営業的には難問となるだろう。ロイヤルブルネイは現在、新たなメルボルン=ロンドン1地点乗り継ぎには大変低い運賃を提供して居る。
シンガポール航空=シルクエア統合に次いで100%ライフラット機材を約束
22-May-2018
シンガポール航空(SIA)は、シルクエアの全保有機群に対し、ライフラットのビジネス席装着の改修を行う大規模な機内商品改善に続き、向こう10年の内に、同社の域内フルサービス子会社のシルクエアを親会社の中に統合する計画を明らかにした。
SIAが、シルクエアの現在の商品をアップグレードして、SIAのより高いレベルの標準に揃えるため、シルクエアの座席の背の機内エンターテイメントシステムもまた装着される予定で、この結果、グループを利用するフルサービス旅客には、より継ぎ目の無い体験となる。
1億米ドルを超える狭胴機の改修プログラムが、ひとたび完成すると、SIAはグループ内の全てのフルサービス機材で、ライフラットのビジネスクラス座席を提供すると言う、優れた特長を手に入れる事になる。今年の始めには、SIAは、時代遅れな傾斜付きのフラット座席を装着したA330-300と古い777系列機の更新の為に、新たな787-10と域内用A350-900が納入されるので、ライフラットのビジネスクラス座席をグループの域内広胴機機材に導入すると発表して居る。
シルクエアの狭胴機商品と、シンガポール航空の広胴機商品の格差が大きく、また、増大しつつある事から、フルサービス狭胴機の商品をアップグレードすると言うSIAグループの決断は、頷けるものだ。競合各社もまた、自社の狭胴機商品を改良しつつあり、SIAに行動する事を余儀なくして居る。
一方で、シルクエアをSIAに吸収する事により、グループにとってコストを削減し、ちょうど一年前には5つもあった航空運送事業者免許の数が、僅か2つに減り、効率の改善が出来る筈である。SIAグループは既に、近距離LCCのタイガーエアを長距離LCCのスクートに統合し、SIAカーゴをSIAに戻して居る;シルクエアをSIAに取り込む事は不可避だったのだ。
Singapore Airlines raises the stakes, commits to 100% lie flat fleet following SilkAir merger
アメリカン航空、シカゴー北京線休止=提携と発着枠が解決策
21-May-2018
中国=米国間市場は、中国発の多くの市場と同様に、近年、物量、そして占有率を急速に伸ばして居る。例え長期に亘る成長が大きな拡大の結果だとしても、その途上で幾らかの後退があるのは避けられない事だ。
ユナイテッド航空は、2つの副次的な中国の都市への便を休止したが、より大きな変更はアメリカン航空がシカゴ=北京線を、2019年同社が北京の大興に出来る新空港への移転を実現し、中国南方との提携を拡大できるまで休止する事である。比較的に短い待ち時間だが(アメリカンが、まだこの便を復便したいと考えると仮定して)、アメリカンはそれまでの間、じっと減収を我慢する事は望まないだろう。
アメリカンのシカゴ=北京便は、開設前から問題を起こして来た。即ち、アメリカンは発着枠を確保するのに悪戦苦闘したのだ。アメリカンは今やより良い枠を手に入れたのだが、それは北京での乗り継ぎを不可能にするものだ。同社の従来の提携先である海南は、異なるターミナルで、以遠地点の乗り継ぎ便には限られた席数数しか無いのだ。
American suspends Chicago-Beijing: partnerships and slots the solution
Premium Analysis
スクートのSWOT分析*:野心的な拡大計画が機会と脅威を齎す
スクートは今から6年前、2012年6月に、シンガポール航空の新たな長距離低コスト子会社として運航を開始した。スクートは最初の5年間で急速な拡大を追及し、5回目の創立記念日の時点で、14機の787を保有し、23地点の目的地を持つ、アジアで第2の規模の長距離低コストエアラインとなって居る。
スクートは2017年7月、近距離LCCとして2004年に創業したタイガーエアとの統合を完了し、新たな1章を開いた。ひとつの運送事業免許とブランドの下にスクートと統合された時に、タイガーエア・シンガポールは23機のA320系列機で41の目的地に運航して居た。
2018年3月までの会計年度(FY2018)が終わる時点で、存続ブランドであるスクートは、63の目的地に40機の保有機(16機の787と、24機のA320系列機)を飛ばして居た。スクートは野心的な拡大5か年計画の一部として、2019年3月31日までの会計年度(FY2019)に、保有機を8機増やす計画である。
*SWOT分析=強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)と脅威(Threats)の4項目で見た要因分析
Scoot SWOT: ambitious expansion plan presents opportunities, threats
ラテンアメリカの政府、航空業界の成長を危機に晒す=CAPA米州サミット
ラテンアメリカの航空業界の進化に関する如何なる議論も、結局は、乗り越えがたい課税と、概して地域の政府の業界に対する支援の欠如に落ち着いてしまう。総じて、多くのラテンアメリカの政府はエアラインや航空業界全体には何ら恩恵の無いプロジェクトのために、近視眼的に、エアラインから手っ取り早く現金を絞り取る途を選ぶ。
メキシコの航空業界は、今年中に行われる大統領選挙の本命候補が、もし、僅か2年後の2020年に開港が予定されて居るメキシコシティの新空港の事業を無しにする計画を本当に実行するとしたら、深刻な危機に直面する可能性がある。
多くの意味で、エアラインがラテンアメリカの政府の航空業界への見方を変えようと一歩前進する度に、彼らは2歩後退するのだ。ボゴタの旅客に対する課税の提案や、ブラジルの議会が付帯サービス料金に再び制限をかけようとして居る事などは、航空業界が、身勝手な計画の資金源となるだけの存在では無いのだという事を、ラテンアメリカの政府に納得させるにはまだ長い道が残されて居る事を示して居る。
Latin governments jeopardise aviation growth: CAPA Americas Summit:
ドイツのその他のエアライン:コンドル、TUIフライ、ゲルマニア、サンエクスプレス・ドイツ
20-May-2018
2017年10月、エアベルリン・グループが市場から消滅した時、ドイツのエアラインの供給席数の10%が消えた。多くのCAPAレポートが指摘した様に、この空白は、ルフトハンザ(子会社ユーロウイングズを通じて)とイージージェットがエアベルリンの供給を引き継ぎ、ライアンエアが独自の拡大路線を継続した事で、急速に埋められて居る。
これら大手が、ドイツ市場の大半を、そしてニュースの見出しを独占する一方で、この欧州第2の航空市場には他にも4社の地元エアラインがあって、静かに独自の拡大路線を追求して居る。
それは、コンドル、TUIフライ(欧州の主導的なツアーオペレーターの子会社)、サンエクスプレス・ドイツ(ルフトハンザとトルコ航空が共同所有)、そして過去5年間で、最も急速に拡大して居るドイツのエアラインであるゲルマニアである。
ドイツの「その他の4社」は未だに、ルフトハンザグループの支配に、或はライアンエアやイージージェット(それぞれドイツでは第2位、第3位である)にさえ挑んでは居ないが、彼らはこの市場の躍動する性格を物語って居る。
Germany's other airlines: Condor, TUIfly, Germania, SunExpress Germany
ドイツ-イタリア間大規模航空市場=ルフトハンザが支配する
17-May-2018
ドイツはイタリアの最大の航空市場であり、供給席数から言って、ドイツ=イタリア間路線は、欧州の国組み合わせとしては4番目に位置する。ルフトハンザが主導し、成長するLCC子会社のユーロウイングズと、イタリアでの地域航空子会社であるエアドロミテが支え、ドイツ=イタリア間路線は、ルフトハンザグループの会社が支配して居る。2018年9月までの1年間のグループの座席占有率はライアンエアの20%、イージージェットの9%に比べ、62%である。
エアベルリンの崩壊と消滅で生じた間隙は、バケツの水から手を引き抜いた後に例えられる。空いたスペースには、他の運航会社が、直ちにやってきて、エアベルリンの昨年の占有率10%は余すところなく埋められて居る。イージージェットとユーロウイングズを通じてルフトハンザが、主たる受益者であるが、コンドルもドイツ=イタリア間路線で急速に伸びて居る。
これらの運航会社の急速な拡大に比べて、ライアンエアはこの市場では、今年は息継ぎのために休止して居るかの様で、多分アリタリアに何が起こるのかを見守って居るのだろう。このイタリアの国有エアラインはドイツ=イタリア間に4%の座席占有率しか持たず、ルフトハンザが同社の買収に入札するのはこのドイツのグループにとっては僅かな重要性しか無いことを示唆して居る。
Germany-Italy: a major aviation market where Lufthansa dominates
アジア-シアトル間航空市場=キャセイパシフィック航空がJALに対抗する為の好機
17-May-2018
シアトル/タコマ空港には、今でも既に欧州へと同じくらいの供給席数がアジアに向けて存在するが、JALが太平洋の北西部の都市を考慮して居る事から、同空港は間も無く更に供給が増える可能性がある。
メディアの報道によれば、JALは、既に同空港への就航を決めて居るが、その決定を公表して居ないのだと言う。JALの便の就航は、圧倒的にシアトル最大のエアラインであるアラスカ航空とのコードシェア提携が更に拡大する事を伴うのだろう。JALはアメリカン航空と共同事業を形成して居るけれども、多くの都市でアラスカ航空と提携する事は可能である。
東京行きのJAL便に続いて、キャセイパシフィックの香港=シアトル便が来る筈だ。シアトルはずっと長いこと検討の対象になって居たのだが、キャセイは既に、バンクーバーに可なりの布石を敷いて居り、アラスカ航空と提携する事で、(共同事業相手でない)提携社アメリカン航空に、間違った印象を与える事を躊躇して居たのと、機種の選択を決断しなければならなかったのだ。
議論はどちらかと言うと、営業上の問題というより、見栄えについてなのである。
Asia-Seattle airline market: Cathay Pacific's opportunity to match JAL
エアラインの統合合併=欧州では何故「独創的発想」が必要なのか
16-May-2018
IAGがノルウェーエアシャトルを買収する事に興味を持った事は、再び、欧州航空業界の統合の過程に注目を集める事になった。しばしばニュースの見出しを賑わすけれども、近年では、大きな市場構造の変化に結びつくような過程とは言えなかった。
欧州での巨大合併の波は、2004年のエアフランスとKLMに始まり、ルフトハンザのスイス航空、オーストリア航空の買収、そして2011年の英国国空とイベリア航空が組んでIAGを形成する事で終わって居る。それ以来、統合は小規模の合併や市場からの消滅など、ゆっくりしたペースで歩んで来た。
北米との比較で言えば、欧州の航空市場は、未だに非常に細分化されたままである。欧州の上位7社のエアライングループは、2018年夏季スケジュールで、欧州発・着・域内の供給席数の55%を支配して居るのに対して、北米の上位7社は82%の占有率を持って居る。
ノルウェーエアを買収する事は、IAGの9%の占有率に3%を加え、欧州第1位のルフトハンザグループの少し上に導く事になる。然しながら、アメリカン航空の北米市場を主導する19%の占有率には遠く及ばず、依然として欧州は細分化された状況のままである。
欧州の最大のグループ同士が合併しない限り、北米の主導的プレーヤー達の座席占有率に対抗する事は出来ない。
Airline mergers: why Europe needs blue sky thinking
16-May-2018
アメリカン航空がエアバスA350の発注をキャンセルし、47機のボーイング787を選ぶ決断をした事には誰も驚かなかった。同エアラインは、将来の広胴機保有機群の単純化に努める中で、この発注が異常値だとずいぶん前から仄めかして居たのだ。
アメリカンのエアバスA350の発注取り消しは、ハワイアンが6機のエアバスA330-800の発注を取り消し、その代わりボーイング787-10を10機発注したのに続くものだ。アメリカンとハワイアンが787を選択した事で、米国に於けるエアバスの発注納入待ち数は縮小する事になった。
現在のところ、米国のエアラインは、予測可能な将来に向けての膨大な広胴機の発注リストを確定し終えた様である。然し、各社は高齢化するボーイング757と767を更新するための手ごろな価格の機材を熱心に探して居り、今やボーイングとエアバスの激しい競争の新たな局面へと展開して居る。
US widebody aircraft market: Boeing's upper hand in aircraft orders
米国の小規模空港、種々のインセンティブを使う=新たなLCC便を招致する為に
米国の中〜小規模空港は、統合が行われ、市場の力関係が大きく変化する中、過去の10年間、LCC便を呼び寄せ、その便を維持させるために、あの手この手の技法を駆使して来た。
ある種の料金を免除したり、最低収入保証を使ったりするのが、新しい航空便を引き寄せる、最も広く行われて居る手法だが、これらの手法は、空港の地理的位置や、その都市の景気動向によって、複雑な結果を生んで居る。
大手の3大ネットワークエアライン(ユナイテッド、デルタそしてアメリカン)が、自社のハブで、実収単価の高い乗り継ぎ旅客を最大化しようとする間に、中小規模の空港は、自分たち、それぞれの願い事リストの最上位にある目的地への直航便を確保する為に、低コストエアラインを口説き続ける必要があるのだろう。
US smaller airport using incentives to attract new LCC services
エアラインのコスト方程式=LCCと戦うための戦略
15-May-2018
ビジネスモデルの収束と言う議論が盛んにあるにもかかわらず、今でも、低コストエアラインとフルサービス、伝統的エアラインとの間には、相当の単位コストの差がある。運賃体系を分解して、座席のみの低運賃を提供することは、誰にでも出来るが、それは、そんな運賃で、収益を上げる事が出来る為に必要な低コスト構造を持って居るのとは訳が違う。ビジネスモデルの選択は、収入についてと共に、コスト構造と言う意味合いを持つものだ。
伝統的エアラインが、低コストエアラインからの競争に対する反応には、コスト削減、低コスト的特徴を取り入れる、低コスト子会社を創設したり買収したり、そして、他のLCCとの提携を結ぶなどがある。然し、LCC市場占有率は上がり続けて居る。
2018年5月17〜18日に開催されるCAPAエアラインリーダーサミットでのパネルディスカッションでは「コストの方程式」と題し、コストの削減と低コストキャリアーと戦うための戦略などを討議する。パネルのメンバーとしては、IAGのウイリー・ウオルシュCEO、ケニヤ航空セバスチャン・ミコスCEO、アメデオCEOマーク・ラピドゥス、AACO事務局長アブドゥル・ワハブ・テファハ、そしてAAPA事務総長アンドリュー・ヘルドマンが名を連ねる。
The airline cost equation: strategies for competing with LCCs
14-May-2018
ブダペスト/フランツ・リスト国際空港は、供給席数(ピークシーズンの2018年7月30日の週)から見ると、欧州ではほんの46番目の規模の空港である。然し、中央欧州では、最大のLCC空港として大きな存在である(LCCの供給席数から見て)。LCCは同空港の総供給席数の60%を占めて居る。
ブダペストは、旅客数の伸びが、2015年から2017年まで各年に2桁、そして2018年には17.0%と、急速に伸びて居る。この夏季スケジュールで、同空港の筆頭エアラインであるウイズエアは18.0%、そして第2位のライアンエアは33.6%の成長を見せて居る(2018年7月30日の週)。
近・中距離の便に強烈に支配されて居るが、ブダペストの長距離路線網は、今夏、LOTポーランド航空がニューヨークとシカゴに、同社初のポーランド外から大西洋横断路線を開設したことにより、後押しされて居る。更には、アメリカン航空がフィラデルフィア線を開設し、6年超振りにブダペストに帰って来た。ノルウェーエアはブダペストから狭胴機による大西洋横断路線を計画して居る。
2012年に、マレブハンガリー航空が経営破綻した時には、同空港は筆頭エアラインを失い、ブダペストは接続可能性を喪失するのではと懸念された。然し、その間隙は急速に埋められ、これが触媒となって、更なる拡大が生まれた。2018年の夏季スケジュールでは2011年に比べ、55%多くの路線が、そして1/3多くのエアラインが就航して居る。
Budapest Airport: Central Europe's #1 LCC airport and growing fast
14-May-2018
香港航空は、2018年6月から、同社にとって初のフィリピン線となる、香港=マニラ間、A320による毎日1便の定期便を開設する。これは、それ自体では、大した意味が無い様に見えるかも知れないが、香港航空の、伸び続ける北米線を維持する為の努力の一部である。即ち、フィリピンは、実収単価は低いかも知れないが、北東アジア=北米便への乗り継ぎ需要の、大きな源泉なのだ。
キャセイパシフィックとセブパシフィックは、香港=マニラ間で、最大の供給席数を持って居る。中国国際と、ANA、中国東方そして厦門航空が、地元需要と、北米線への送客需要を狙ってフィリピン市場に参入して居る。エバーエアは大きく拡大して居る。
香港航空の参入は、フィリピン=北米間市場の発展に光を当てるものだ。フィリピン航空は、直航需要を獲得しようと、多くの航空機、商品、路線網の変更を実行して来たが、かなりの第6の自由需要の商機が、依然として残って居る。
Hong Kong-Philippines: Hong Kong Airlines adds to 6th freedom pressure
CAPA米州サミット=超LCCの野望は依然として強い
13-May-2018
超LCCモデルについて、米国の市場現場では、その究極の規模や、形について議論百出である。
フロンティアとスピリットの市場占有率は依然として一桁の中ごろにあるが、彼らの成長率と機材発注リストは、市場で、より高い占有率を獲得しようと言う彼らの野望が依然強固であることを示して居る。
フロンティアとスピリットは拡大軌道を辿り続けて居るが、米国のフルサービスエアラインは、運賃の細分化とハブを高密度化して、超LCCの脅威に反撃しようとして居る。然し、仮に欧州が前例になるとすれば、市場が進化する中で、フルサービスエアラインは、彼らの焦点を変えねばならないのかも知れない。
超LCCもまた、胡坐をかいては居られない。競争力を維持し続けるためには、既存の考えに囚われない様にせねばならないし、フロンティアとボラリスの間のコードシェア計画はこのモデルにとって最初の試金石になるかも知れない。
米英二国間航空協議=Brexit後の再検討を迫る可能性あり
09-May-2018
英国は、欧州連合(EU)を去るまでに、自国のエアラインの乗入れ権を確保するために、ブロック内の各国との新たな二国間航空協定の交渉をする必要があるだろう。また、現在、EUとの合意のもと乗入れ権が与えられて居る、EU外の17か国とも新協定締結のため交渉しなければならない。
このEU外の協定の中でも最も重要なのが、英国がEU=米国間のオープンスカイ協定から脱落すると直ぐに必要となる、新たな英国=米国間の取り決めである。供給席数とASKから見て、EU(及びECAAの他のメンバー)の次は、英国にとって米国が2番目に最重要な航空市場である。欧州域内の航空市場以外で、英国はその一部となって居る、現行のEU=米国間のオープンスカイ協定は世界でも最も自由化された国際航空協定の一つである。
このことは米国=英国間の交渉に有益な背景になるのだが、他に、自由化に抵抗する、強力な米国の航空権益がある(例えば、湾岸エアラインとかノルウェーエアのアイルランドや英国の子会社に敵対する)。誰しも、昔の英国=米国間バミューダII協定に戻りたいと考えては居ないが、国籍条項などの複雑な問題が交渉の障害になるだろう。今や、二国間協定全体を考え直す機は熟して居る。
US-UK bilateral aviation talks could provoke post-Brexit rethink
エアフランス滑り落ちる、LCCが勢いを強める中で=今や長距離路線が問題に
08-May-2018
エアフランスは、パリでは断然、最大のエアラインである事に変わりは無いが、近年、低コストエアラインが、その供給席占有率を伸ばして居る。エアフランスの自社のLCCである、トランサビア・フランスは、潮の流れに抗ったに過ぎず、イージージェットやブエリングの様な競合社が市場占有率を奪って居る。ノルウェーエアも、最初は中距離路線で、今は米国行きの長距離路線で、このLCC猛攻撃の一翼を担って居る。
エアフランスにとって、事態を更に難しくして居るのは、パリからの長距離路線、特に大西洋路線の市場に、レベル、ウエストジェット、フレンチビー、そしてWOWエアなどその他の低コスト運航社が参入して来て居る、またプリメラエアも計画して居る事だ。
エアフランスは、LCCとの闘いで、オルリーに本拠を置き、純粋に中距離路線に的を絞った低コスト運航会社であるトランサビアを使っても、自身のパリでの占有率を充分に護れないで居る。長距離低コストの競争は益々激しくなる中で、エアフランスは、新たにCDGを本拠とする新子会社のジューンを使って、自らの地位を防御するのは全く容易なことではなさそうだ、同社は、中、長距離双方を飛ぶが、依然として、低コストエアラインになろうとさえ思って居ない。
Air France slips as LCCs intensify – now long haul challenges
Premium Analysis
2018年世界の空港建設レビュー=総費用8,030億米ドル
08-May-2018
空港許容量、或はそれが足りない事は普遍的なテーマである。とりわけ滑走路の許容量は、エアラインの拡大と旅客や貨物の拡大に追いついて居ない。特に欧州、北米、ラテンアメリカでそうであり、成長の可能性を頭打ちにする危険を孕んで居る。
過去2年間に達成された様な素晴らしい成長が、これからも続くかどうかはまだ定かでない。今のところ、いくつかの地域や個々の国では需要を充分に満足させる事が出来て居ない一方で、空港建設プロジェクトの数と、生み出される資本支出はしばしば想像を超えて居ることも明らかである。
今回のレポートは、プロジェクトが何処で行われて居るか、地域別の支出のレベル、また地域別に、最大の個別プロジェクトまたはプロジェクトのグループの個別にリストアップしたものなどを検証する。
Global airport construction review 2Q2018: USD803 billion costs
Premium Analysis
デルタ航空SWOT=長期に亘り業界を主導した後の問題
05-May-2018
デルタ航空が、業績から顧客の抱く感情に至るまで、多くの指標で、大手グローバルネットワークのライバルである、アメリカン、ユナイテッドより、優って居ることに疑いの余地は無い。デルタが優って居る事は、10年前のノースウェストとの統合以来、実行して来た、自己変革が牽引して居る。
デルタの合併統合と、ライバル各社のそれとの時間差が(アメリカンで5年、ユナイテッドで8年)、デルタに米国国内線市場が成熟して行くのを、そして将来、全体を丸ごと覆い尽くす事が出来るよう、地球規模の路線網を構築することの重要性を理解させてくれた。
デルタには、競争力のある路線網を築くためにしなければならない事が、まだ残って居るのは明らかで、米国のライバル達は、この競争力の差を縮める為に攻撃的に動く事を誓って居る。デルタにはまた、忍び寄るコスト増や、Brexitによる不確定要素、競合他社の決断が引き起こす投資家達の不安など、多くの障害や脅威がある。このレポートでは、デルタ航空のSWOT=強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、そして脅威(Threats)について検証する。
Delta Air Lines SWOT: challenges after years-long industry leadership
アリタリアの赤字文化続く=提携社はなかなか見つからず
03-May-2018
路線網の経済学は、より大きな規模へと向かう自然な力であるが、市場へのアクセスの制限や所有と統治というものは、不自然な障壁である。同盟と提携は、その様な障壁を回避する為に進化して来た。
アリタリアは、興味深いケーススタディとなって居る。同社は、39のコードシェア提携社を持ち、スカイチームのメンバーで、独禁法適用除外であるスカイチームの北大西洋共同事業の一部をなして居る。以前は、イタリア=フランス間、そしてイタリア=オランダ間でエアフランス-KLMとの共同事業に参加して居る。また、2009年にはエアフランス-KLMから、2014年遅くにはエティハド航空から、少数の株式投資を受けて居る。
2017年5月に特別管理会社となって1年経ったが、アリタリアは、今やEUの国家援助捜査の対象となって居る政府からの融資のお陰で、未だに飛び続けて居る。
買収入札者探しは2018年10月まで(またも)延長された。ルフトハンザ、イージージェットそしてウイズエアは関心を持って居ると報じられて居るが、彼らはアリタリアがリストラする事を求めるだろうし、会社全体を欲しいと思わないだろう。決着のつかない2018年3月のイタリア総選挙の後に、国営企業に戻る事も検討されて居る。
アリタリアは、過去にも提携企業に宙ぶらりんの状態にされて来たが、また、ご主人様(エアラインや政治家)が余りにも多い事にも悩まされて来た。別の一つのエアラインに完全に所有された方が、より利益に的を絞った文化を移入できたかも知れない。
Alitalia's culture of losses continues. Partners are hard to find
フィリピンの国内線市場=空港の制限が成長を頭打ち
05-May-2018
フィリピンは、この数年、アジアで最速の成長をする経済のひとつだった。航空旅行への需要は当然伸びて居るが、国内線需要の伸びはGDPに比べ、僅かに低い率であった。
マニラでの発着枠の制限が、需要の急増に対応出来ないのだ:2017年は国内線全体では6%なのに、マニラでの国内線の需要は、僅かに2%の増だった。
フィリピンの主要な競合3社の内の2社、エアアジアとフィリピン航空は、セブやクラークと言った副次的な空港での成長に的を絞って居る。市場のリーダー、セブパシフィックは過去2年国内線の拡大を控えて来たために、占有率を落として居るが、高密度の客室仕様のA321を7機受領する2018年には、再度成長を加速させる予定だ。
Philippines domestic market: airport constraints restrict growth
タイの低コストエアライン:急速な拡大=5年間で保有機群3倍に
04-May-2018
タイには、6社の低コストエアラインがあり、CAPA保有機群データベースによると、併せて136機を運航して居る。LCCを合計すると、タイの民間機全体の45%を、そして、全狭胴機の60%を占める。
タイのLCC部門は、2004 年に開業した最初の2社である、ノックエアとタイエアアジア以来、急速に伸びて来た。成長は、特に2013年遅くのタイライオンエアの開業、そしてその拡大にも一部牽引され、過去5年間に加速して居る。
5年前、2013年5月に、タイに本拠地を置くLCCの保有機は、僅か42機で、タイエアアジアに28機、そしてノックエアに14機だった。過去5年間で、LCCの保有機群は、3倍以上の規模となり、全民間機の合計は50%も増加して居る。
sThailand low cost airlines: rapid growth as fleet triples in 5 years
Premium Analysis
ユナイテッドとアズール:ラテンアメリカの共同事業=エアラインが動く
04-May-2018
ユナイテッドが、ブラジル最大のエアライン、アズールの持ち株を倍増させたことで、米国とブラジルの間を運航するエアラインにとって、提携ジグゾーパズルのもう一つのピースが揃った。
ユナイテッドは、LATAM航空グループとアメリカン航空が協議中の共同事業に必要な承認を得る手続きを開始する道を開くオープンスカイ協定を、ブラジルの上院が承認した直後に、持ち株を8%に増強した。
アズールは、ユナイテッドと共同事業を形成したいと言う意向を表明した。この2社は、現在、アズールのサンパウロ/ガルリオス発の国内線と、米国内の数路線でコードシェアを行なって居る。ユナイテッドは、また、このラテンアメリカ最大の市場で、米国大手エアラインの並行戦略を反映して、スターアライアンスの盟友のアビアンカブラジルとも、コードシェア便を持って居る。
ユナイテッドはまた、ブラジルで4番目に大きなエアラインであるアビアンカブラジルとは、独立して運航して居るものの、合併統合に興味ある事を表明して居るラテンアメリカの航空グループ、アビアンカと共同事業の形成するための協議を進めて居る。アビアンカとアビアンカブラジルは共に、シナジーグループが過半を所有して居る。これだけ多くの要素が動いて居る中で、ユナイテッドがブラジル、そして南米で、これらの関係を漕ぎ渡る為にどの様に動くつもりなのかは、未だ見えて居ない。
United and Azul: JVs on Latin America and airlines make their move
日本のLCC市場=ジェットスターとピーチが国際線を拡大
03-May-2018
日本のインバウンド旅行者が、拡大を続け、政府は更に高い成長目標を掲げて居る。これは日本の伸び行くLCC業界にとっては理想的な状況に見えるかも知れない。
日本のLCC各社は、近年は、国内線を飛ぶのとバランスを取って来たのだが、今は国際線に拡大しようとして居る。ピーチは日本で最大の国際線LCCで、これから合併統合する予定の、第2位のバニラに比べて、ほぼ2倍の規模である。然し、日本に飛ぶ最大のLCCは、実は外国社で、ジェジュエアである。
国際線を飛ぶ事は、日本のLCCに取っては、成長を象徴するのだが、かなりの障害がある。
日本のLCCは、低コストとは言っても、外国のエアライン、例えば中国ならフルサービスエアラインでさえ、に比べれば、中位から高コストなのである。外国のエアラインは、日本の供給不足な副次的都市を結ぶ大規模な路線網に、便を飛ばすための、地理的な優位性を持って居るのだ。
Japan's LCC markets: Jetstar and Peach expand internationally
シンガポールのLCC部門=スクートは明らかな市場リーダーへと台頭
02-May-2018
スクートは、来年、このシンガポール航空の子会社を、同じ地元市場で競合する他のLCC各社との差を拡げる事を可能にする急速な拡大を追い求めようとして居る。スクートは、シンガポールを本拠地とする他のLCCとしては唯一であるジェットスターアジアの保有機群が5年連続で前年維持を続けて居るのに対して、2018年4月を皮切りに、会計年度内に8機、保有機群を拡大する計画である。
2017年にタイガーエアと統合合併したスクートは、現在では、シンガポールでのLCCの供給席数の41%、そして全供給席数の13%の占有率を持って居る。スクートの狭胴機運航は(以前はライオンエアだった)最近、3年間の休眠から覚めて拡大を再開して居るが、一方で2012年に始まった広胴機の運航は、堅実なペースで拡大して居る。
6年前、スクートの最初の長距離LCCとしての始動の前には、エアアジア、ジェットスターそしてタイガーエアグループスは、シンガポールでほとんど等しい市場占有率を持って居た。当時ジェットスターはシンガポールから運航する、唯一の長距離LCCだった。ジェットスターとエアアジアの供給は、その時以来、比較的に大きく変わらず、或は僅かに下落して居るのだが、一方で スクートは急速に拡大して居る。
ANAとJAL日本の国内線市場を支配=記録的な輸送実績
02-May-2018
日本は、国内航空市場については、米国、中国、インドそしてインドネシアに次いで、世界第5位の規模を持つ国である。成長を続けて居るこれらの4カ国と違って、日本は、将来の存在への疑問を投げ掛けつつ大きな山谷を繰り返す経済を持って居る。
それにも関わらず、直近の会計年度(2018年3月までの12ヶ月)で、日本の国内線市場は、市場がかなり保守的に取り扱って来た旅客が1億人という記録を打ち立てたと予測されて居る。
日本にはLCCなど、他にもエアラインがあるにはあるが、殆どの運航会社は、業界を支配するANAとJALに帰属して居るため、競争は限定的である。2018年6月、ソウルで開催されるCAPAの北東アジアのLCCサミットは、日本のエアラインを含め、業界の指導者達が集まり、国内、域内そして長距離市場について討議する。
ANA & JAL dominate Japan's domestic airline market: record traffic
欧州のエアライン:最速で成長するのは誰?=保有機の発注から見る
01-May-2018
CAPAの保有機群データベースに依れば、欧州のエアラインに取って、就航中の7,824機(2018年4月30日現在)の30%に当たる、2,379機の発注済航空機が納入待ちとなって居る。
然し、これらの発注は、数社のエアラインに集中して居る。航空機発注済の72社のエアライン(合計500以上の中から)が、発注した機材の数は、これらの会社の就航中の保有機材を併せた合計の49%に当たる。
最大の発注数を持つ欧州のエアラインは、ウイズエアで、273機が納入待ちになって居る。ウイズエアは、また現在の保有機数に対する発注済み機数のパーセンテージで表わしても、284%でトップにランクされる。欧州のエアラインを、絶対数でなく、この様に納入待ちの機数でランク付けすると、現在の規模に比べて大きな野心を持って居るエアラインを炙り出すことが出来る。
発注数を現保有機数のパーセンテージで表したリストの上位にランクされたエアラインには、ウイズエア、ノルウェーエア、ペガサス航空、S7航空、そしてエアヨーロッパなどの大手と共に、プリメラエア、レッドウイングズ、トラベルサービス、ラコンパニー、そしてジャーマニアなど、より小規模なエアラインも含まれて居る。
Europe's airlines: Who's growing fastest? Look at fleet orders
ベトナム航空拡大、ベトジェットエア増強=ベトナムの広胴機保有機群
01-May-2018
ベトナムの航空市場は過去6年間、旅客数は2011年比2倍増を超える勢いで、急速に拡大して来た。然し、べトナムの広胴機保有機群は、狭胴機がほぼ3倍増して居るにも関わらず、殆ど増えて居ない。
広胴機は、ベトナムに於ける全保有機群の内、2010年末の26%に比べ、現在は僅か16%である。広胴機ののびは、ベトナム航空の拡大とべトジェットエアによる新たな長距離低コスト運航に牽引されて、向こう数年間で大きく加速される筈だ。
ベトナム航空は、需要の伸びる域内路線で、発着枠の制限から、便数が増やせない事から、より多くの広胴機を必要として居る。新たな広胴機は、ベトナム航空とベトジェットエア両社が米国便を就航させるのにも使われるだろう。
Vietnam Airlines expands, VietJet Air adds: Vietnam widebody fleet
インドネシア国内線市場:急速な拡大=競合は激化
30-Apr-2018
インドネシアは、世界最大の、そして最も躍動する国内線市場の一つである。国内線の需要は、2005年の3,000万人未満から、2017年のほぼ9,700万人へと12年間で3倍に拡大して居る。
市場の構造は、かなり変わって居る。2005年には、インドネシアでは、25%以上の占有率を持つエアラインは単独でもグループでも存在せず、エアライン業界は細分化されて居た。
今日の市場は、ガルーダとライオングループに支配されて居る。ライオンは市場のリーダーで、2017年には、インドネシアの国内線定期便の市場占有率が初めて50%を超えた。
ガルーダの占有率は、先の10年間(2000年代)、ライオンの拡大により落ちて来たが、この10年間(2010年代)の前半に、幾つかの小規模エアラインが、運航をやめ統合した事も一因となり、また復活して来て居る。2017年、ガルーダは、インドネシアの国内線市場占有率で、38%だった2015年からは落ちるが、2010年の19%よりはずっと良い33%をつかんで居る。
Indonesia domestic airline market: rapid growth, rivalry intensifies
LCCと域内エアラインは共存出来るか?=欧州ではその様だ
KLMシティホッパーのマーケティング担当役員ウォーナー・ルートリープは、特定路線では、LCC各社との競争から、同社は恩恵を受けて居ると述べて居る。ルートリープ氏は、ある路線でのLCCの存在は、「目的地に関して、多くの議論をまき起す」と言う。これは欧州内の路線に於いて、域内航空とLCCとの競争がどの程度の物なのか分析する事を促す。
欧州の域内路線では、LCCの2倍の域内航空が運航して居るが、遥かに大型の機材と路線数と言う、規模の問題でLCCは大きな優位性を持って居る。
更には、域内航空のモデルは単位コストが高い。域内航空の持つ唯一の貴重な切札は、高い運航頻度、便数である。
然し乍ら、域内航空は、明らかに、ずっと短い路線を飛び、その路線でLCCとの競争に直面するのはほんの僅かな割合の路線でしかない。KLM シティホッパーは、平均より遥かに多くの路線でLCCと重複して居るが、競争する方法を発明した模様である。
Can LCCs and regional airlines co-exist? In Europe it seems so