CAPAアナリストによる アジア・太平洋の航空業界のトピックスは
今・そしてこれからの展望を紐解く大変興味深く、そして貴重なレポートです。
毎週幾つかのレポートをピックアップし、その序章をご紹介致します。
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Premium Analysis
新しいポーランド中央空港:新しいインフラは歓迎=然し、需要は不確か
23-Sep-2017
ポーランドは、新しい空港を建設する事を暫く思案して居た。ワルシャワ周辺の人口は、シレジアのカトヴィツェ周辺の様な大都市圏とあまり変わらず、人口は国全体によく散らばって居ると言った点でポーランドは少しだが、尋常でない。この理由から、クラクフとカトヴィツエのための新空港は10年くらい前から議論されて来た。
今となると、新空港に相応しい場所はこの国の中央で、ワルシャワとウッチの間であるが、ポーランド中に点在して居て、その様な開発から取り残される多くのより小さな空港にとっては余り魅力的な展望では無い。
この空港が建設されるのか、まだ定かでは無いが、政府は確実にこれを気に入って居る。
A new Central Polish Airport: Welcome new infrastructure, but uncertain need for it
アラスカとサウスウエストのカリフォルニアへの拡大=躍動する市場での健全な競争を反映
23-Sep-2017
成熟した米国の航空市場の拡大の好機は、エアラインが彼らの強味を生かし、彼らのそれぞれの路線網の中で点と点を結び、地理的価値を最大限にまで高める事に中心が置かれ勝ちだである。
それは、支配的な存在感のある空港から、同様に同社が等しく強い市場へと便の運航を追加して行く、カリフォルニアへの拡大においてサウスウエスト航空が辿って来た途である。
勿論、サウスウエストのカリフォルニアからの拡大はアラスカ航空がバージンアメリカを買収した後に、新たに見出した地位の力を利用して居る一方で起こって居る。新路線の発信するメッセージは決して微妙なものでは無い、サウスウエストはカリフォルニアでの力が陰っていくままにしては置かないだろう。
然しながら、このアラスカのサウスウエストのカリフォルニアの都市サンノゼとサクラメントへの新路線便との競争的な重複は僅かなもので、即ちサウスウエストの路線網の穴を埋め、カリフォルニア北部の安定した経済に投資するサウスウエストの攻撃的な動きの様に見える。
California expansion by Alaska and Southwest reflects healthy competition in a dynamic market
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ライアンエア、必ずしも「常に良くなる」では無い=乗り継ぎ、裁判所の労働裁定そしてキャンセル便で失速
22-Sep-2017
ライアンエアは、2014年い「常に良くなる」プログラムを導入して以来3年以上もの間、殆ど道を誤って居なかった。然し、最近のいくつかの躓きで、ライアンエアのこれまでは確かな足取りでの取り組みが乱れて居る。
まずは、同社は乗り継ぎ商品の供給で、イージージェットに跳び越された事だ。(CAPAレポート参照) 第2は欧州司法裁判所(ECJ)がライアンエアは雇用契約についての、可能なあらゆる争議の裁判権について、アイルランドの裁判所に依存することはできないという裁定を出したのだ。従業員たちはもっと好意的な管轄に訴える事が出来るかも知れず、ライアンエアはあり得ないと言い張るが、その場合、人件費の値上がりにつ上がる可能性がある。
3番目には、完全に自ら招いた傷ではあるが、ライアンエアは苦しい乗員勤務割表の問題から低下した定時性実績を回復するために、2017年10月末まで、毎日40~50便をキャンセルすると発表したのだ。
ライアンエアの顧客サービスと商品改善は2014年以来、同社を、現材の強い旅客需要増と高い搭乗率、そしてより高い利益率へと導いて来た。同社の新しい問題は、これらの傾向を脅かすかもしれないが、これらもライアンエアの超低コストモデルがもう終わりであるとは言って居ない。
更には、ライアンエアはかつての問題には対応して来て居る。即ち2013年に2つの収益性警告を発行した時にこのプログラムが導入されたのだ。にも拘らず、現在はライアンエアは決してプログラム名の様に「常に良くなる」では無い。
Ryanair, not always getting better: stalls over connections, court labour ruling & cancelled flight
Premium Analysis
フィリピン-中東間市場:フィリピン航空、拡大を再開=セブパシフィックが後退する中で
22-Sep-2017
フィリピン航空(PAL)は、その戦略を調整し、極めて競合の激しい、フィリピン=中東間市場で戦えるよう、拡大を再開しようとして居る。このフラッグキャリアーは、ほぼ4年間、全席エコノミー機材で運航して来た中東路線の全てに、ビジネスクラスを導入しようとして居る。
PALは、2016年12月には4地点に直航24便だったのに比べて、2017年12月には中東の7つの目的地に週間33便の直航便を飛ばそうとして居る。供給席数は22%増加する計画だ。
PALは、2015年12月には76便だったのに対し、2017年12月には週間101便のフィリピン行きを飛ばす予定の、中東のエアラインとの激化する競争に打ち勝たねばならない。PALはセブパシフィックが最近3つの中東路線を休止した事でメリットを受けて居るが、このLCCの同地区への供給削減の決断が、浮き彫りにして居るのは、フィリピンのエアラインにとって中東市場で収益を得る事の難しさである。
Philippines-Middle East market: Philippine Airlines resumes expansion as Cebu Pacific Air retreats
ユナイテッド航空、テキサス路線でカンタス、NZ航空に合流=NZ・ユナイテッドの共同事業が複雑化
19-Sep-2017
ユナイテッド航空の計画する、2018年1月18日からの、新たなヒューストン=シドニー間直航便は、最近のカンタス/アメリカン航空、ついでバージンオーストラリア(デルタとのJV)による、豪州=米国間市場での拡大の波に対するユナイテッドの対抗措置を示す事になる。
ユナイテッドの2018年第1四半期の豪州での規模は結果として26%拡大し、全便直航の同社のこの市場での8%拡大を牽引する。これは、2018年の記録的成長達成の可能性をお膳立てするが、これは、もし再提出した、アメリカン=カンタス共同事業が承認されていれば、更に大きく助けられた事だろう。
ユナイテッドの新しい便は、ロサンゼルス=シンガポールに次いで、同社の2番目の長距離路線になるが、カンタスの、そしてNZ航空のそれぞれ、ダラスとヒューストンと言う、テキサスでの乗継便に続くものだ。ユナイテッドは、ヒューストンから米国国内線53空港に飛んで居るが、現有の同社の豪州ゲートウェイからはロサンゼルス、サンフランシスコへは飛んで居ない。ユナイテッドは、米国南部から、豪州/NZに飛ぶ3番目のエアラインになるが、テキサスの強力な販売拠点を持つ最初のエアラインである。
NZ航空にとっては、ユナイテッドの豪州内での拡大は、両社の共同事業を複雑なものにする。共同事業は、豪州を含まないが、豪州=米国線はNZ航空にとっては、大切な乗継需要の市場である。従って、NZ航空のビジネスの一部は、拡大した米国=豪州直航便接続により、脅かされる事になる。過去にも、シドニー市場で、始点から終点までの供給の余剰座席が、NZ発旅客がシドニーにいったん逆戻りすることを厭わない様な安い運賃を生み出して居る。
United Airlines joins Qantas and Air New Zealand on Texas route. Complicates Air NZ-United JV
Premium Analysis
超LCCと米国エアライン大手、大幅な割引を牽引=収入は悪化し始める
18-Sep-2017
多くの米国大手エアラインが、ハービーとイルマと言う2つのハリケーンが2017年8月遅くと9月始めに国の南東地域を襲う前から、収入構造が、次第に弱まって行く事態に直面して居たのだが、今や、この大嵐は、市場に勃発しそうな運賃戦争が懸念される中で、収入見通しを更に下降させて居る。
デルタ、ユナイテッド、サウスウエスト、そしてスピリットは、一部は彼らの言う蔓延する運賃割引に牽引され、2017年第3四半期の単位収入予測に下方修正を発表したエアラインに含まれて居る。
アメリカンとユナイテッドは、積極的に超低コストエアラインの運賃にマッチングして居り、彼らそれぞれのハブを防衛する戦略として、今後も価格にはマッチングすると言う方針を続けて居る。これと同時に、スピリットは過去9カ月間のイールドマネジメントの方に、より焦点を絞って、運賃戦略を再検討して居る。
結果は、米国の市場現場には、この国の3大ネットワークエアラインが導入した新たな価格帯が定着し、格安航空の方は新しい攻撃的な運賃マッチングと言う現実に自らを合わせて居るため、多くの運賃が入り混じって居る様だ。競争の激しい運賃設定の技法と一緒になって、大嵐に打撃を受けた収入は、原油価格の様に期待に水をかけて居る。
ULCCs and US airline majors drive widespread discounting. Revenue starts to suffer
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エティハドのアブダビ・ハブ:より多くの提携社が寄港=エティハドの見通しをブティックエアラインに転換させて
エティハドとそのアブダビハブは、複数の提携社を含めた拡大する路線網から、エティハドを中心としたより小規模な足跡に変わろうとして居る。2017年は、エティハドの資本提携社のアブダビからの大脱出の起こった年となった。エアベルリン、エアセルビア、ニキそしてバージンオーストラリアは、全てアブダビ便を休止して居る。エアセイシェルズは供給を落として居る。
アブダビで最大の提携社であるジェットエアウェイズは、新たなエアフランス-KLM及びデルタとの提携の方を好んで、自社のフライトをアブダビから、アムステルダムとパリに移動して居る。ジェットエアウェイズは、アブダビには打ってつけの市場であるインドの副次的な都市からのアブダビへの便を縮小して居る。
エティハドは、その提携戦略を巻き直し、新しいCEOを迎える中で、行く手にはまだしなければならない事がある。然し、将来のエティハドは、戦略の焦点を定め直す事から、よりブティックエアラインに、そして、より自身に頼るしか無い状況になるだろう事は明らかである。
Etihad’s Abu Dhabi hub: more partners stop service, shifting Etihad’s outlook to a boutique airline
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イージージェットの新たな乗り継ぎサービス躍進、ライアンエアを跳び越す=定時制の改善が必要
14-Sep-2017
イージージェットの新乗り継ぎサービス「イージージェットで世界を(Worldwide by easyJet)」の発表はフルサービス・ネットワークエアラインとLCCとの境界線を曖昧にする、新しい大きな一歩である。新サービスは、イージージェットから他社の長距離便への、或はイージージェット便同士の乗り継ぎを容易にする予約の基盤を含んで居る。最初の提携社はロンドン・ガトウイック空港でのノーウエジアンとウエストジェットである。イージージェットは、エミレーツとキャセイ太平洋を候補として、その他のエアラインを加え、そしてその他の空港でもこのサービスを開始する計画である。また、同社は英国の地域航空ローガンエアを手始めに、同社のウエッブサイトで提携社のチケット販売を行う予定である。
「イージージェットで世界を」は2015年にアイスランドの旅行情報技術会社のドゥホップが創り出したガトウイック空港の「ガトウイック乗継」と言う商品を利用する。最大の進歩は、異なるエアライン間のスケジュールと運賃設定をリンクさせ、消費者に単一画面で見せるIT技術である。イージージェットの新サービスは、現有サービスに付け加える追加変更ではあるが、それが同社の大きな欧州路線網に、そして同社の極めて有名なウエブサイトに結びつけられるものである。
イージージェットはガトウイックでの定時性を改善しなければならないだろうが、地転換単純往復のスケジュールと路線網という考え方の同社の事業モデルには、基本的に変更は無い。
然し、イージージェットはライアンエアを 出し抜き、乗継サービスを提供して同社を追い抜いた模様だ。
EasyJet's new connections service breakthrough leap-frogs Ryanair. Punctuality will need to improve
ロイヤルブルネイ航空 第2部:長距離路線の拡大=ロンドン直航、ブリスベーン復便の可能性
14-Sep-2017
ロイヤルブルネイは、5機目の787-8受領とバンダルセリベガワンの滑走路表面改善プロジェクトの完成を待って、毎日一便のロンドン・ヒースロー線を直航に格上げする可能性がある。この10年間の初め頃に大規模な路線網のリストラと保有する広胴機の削減、に続き、2018年中頃に予定される787保有機数の拡大により、ロイヤルブルネイに長距離路線復活の好機が訪れる。
バンダルセリベガワン=ロンドン線のドバイ寄港をやめることは、メルボルン-ロンドン間市場や、コタキナバル-ロンドン間などの、小規模な第6の自由需要市場でのロイヤルブルネイの商品価値をかなり高めるだろう。然し乍ら、ロイヤルブルネイは、極めて競争の激しいアジア-ドバイ間市場で、ドバイ折り返しの便を支えるためには、同社の、第6の自由需要への依存度を増大しなければならないだろうう。
ロイヤルブルネイは、また、やがて保有機群が10機(狭胴機6機、広胴機4機)から、15機(狭胴機10機、広胴機5機)に拡大する事による、潜在的可能性を検証する中で、豪州での拡大を再開することを検討して居る。2011年まで、777で運行して居た、ブリスベンへの便を、新しいA320を使って、復便する事も検討中である。
Royal Brunei Airlines Part 2: long haul growth may resume with London nonstop, Brisbane relaunch
Premium Analysis
ロイヤルブルネイ航空 第1部:北アジア&インドへ拡大=A320neoで保有狭胴機群が拡大する中で
12-Sep-2017
ロイヤルブルネイ航空は、向こう18ヶ月間で、保有機群が10機から14機へと拡大する中で、路線網の拡大を再開することを計画して居る。フラッグキャリアである同社にとって、路線網を多様化して、期待される北アジアからの訪問客数の増加から得られる恩恵を狙って、中国、韓国、日本、台湾への新路線という可能性が高い。
ロイヤルブルネイはまた、南インドへの便を開設するかも知れない。同社は現在北アジアでは僅か2地点、南アジアには一つも目的地を持って居ないのだ。
同社は2019年始めに7機のA320neoを受領する予定で、狭胴機の保有機数を3機増やそうとして居る。このA320neoは、ロイヤルブルネイに、コストの削減とインドと北アジアへの新たな中距離路線開設をもたらしてくれる。
Royal Brunei Airlines Part 1: North Asia & India expansion as narrowbody fleet expands with A320neos
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太平洋於横断路線、エアカナダの強気の見通しに暗雲=残りの路線網に
11-Sep-2017
2017年第1四半期の終わりにエアカナダの出した国内線、米国国境超え路線、大西洋横断路線は、正しい方向に進んで居ると言う結論は、概ね、身を結んで居る。
2017年第2四半期の、同社の旅客収入の伸びはプラス、実収単価の上昇を計上して居り、この好調な勢いは、2017年下期にも継続すると考えて居る。
同社は、依然、太平洋路線で課題に直面して居り、バンクーバー・ハブから北京、上海への供給を、需要がより強い大西洋線に移行する予定だ。
エアカナダの太平洋線の実収単価が、いつになったらプラスに転ずるのかは定かで無いが、同社がこの期間に、太平洋横断路線に導入した、各路線への初期運賃を使い分けて行く中で、対前年20%以上の供給増も、やはり、実収単価に大きなプレッシャーとなった。
エアカナダの全体としての供給の伸びは、同社が、広胴機の保有機群の再編を完了し、狭胴機の刷新に注意を向ける2018年には鈍化する筈である。同社の平均区間距離の伸びもまた、鈍化し始めるが、これは、国際線路線網を支えるために努めて来た、過去数年間にエアカナダが経験して来た様な実収単価の低下を緩和してくれるだろう。
Trans-Pacific challenges cloud Air Canada’s bullish outlook for the rest of its network
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ポベーダ:アエロフロートグループの不可欠な一部分=このLCCの成長が鈍化しても
11-Sep-2017
ポベーダは、最初の2年半で、堅固な基盤を築いた。このアエロフロートの子会社で、ロシアで唯一の低コストエアラインは、同社の供給の85%を構成する国内線市場で、5%の供給席数占有率を持って居る。国内の各路線は、依然として、同社の最大の焦点だろうが、同社は、また、伸びようとする、12の国際線路線を持ち、2017年10月には、モスクワ/ブヌコボ=カールスルーエ/バーデンバーデン線の開設を予定して居る。
ポベーダは、2014年12月の開設から、2016年遅くまで、強力な搭乗率の向上を伴った、急速な旅客数の拡大を享受して来た。2017年には、同社の供給席数は、僅かに落ちて居るが、旅客数は、昨年よりはずっと低い伸び率ではあるが、引き続き伸びて来た。にも関わらず、同社は2017年以降も未だに高い拡大への野心を抱いて居る。
ロシアの地理的条件、ポベーダの格安運賃、そして国内線市場にLCCの競争が無い事が一緒になって、これが都市間を旅するための、唯一便利な手段である事もしばしばである。これらの条件が、単純な商品と低コストに絞って居る事と相まって2016年に(創立以来、完全な年としてはほんの2回目で)黒字を出す事を助け、2017年にももう一度黒字を予測して居る。
生まれてから、この短い期間に、ポベーダはアエロフロート・グループの欠く事の出来ない一部分になって居るのだ。
Pobeda: an indispensable part of the Aeroflot Group, even as the LCC's growth slows
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カンタスのニューヨークとロンドン直航便、航続距離の長い機材が必要=然し、秘密の中身はカンタスのブランド
A350と777Xの改良型を作って、カンタスが豪州東海岸から、どちらも従来のどの路線よりも長い、ロンドンとニューヨークに新たな直航路線を開設する事を可能にするのは、エアバスとボーイングの技術のお手柄と言うことになるだろう。
然し、本当のお手柄は、これらの便が営業的に継続可能性を実現する事だろう。的確な機材が必要であるが、それだけで成功は保証されるものでは無いだろう。カンタスは同社のブランド、常顧客、そして地元国内線市場という、3つの重要な強さと共に、有望なレシピを持って居る。これらは、それぞれが噛み合って新路線を支える、顧客の忠誠心という礎を創り出すのだ。
これはカンタスの超長距離計画の余り知られて居ない要素であり、これがカンタスには機能して、何故、他のエアラインではしないのかを説明して居るのだ。
Qantas' New York & London nonstops need long range aircraft, but secret ingredient is Qantas’ brand
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オーストリア航空:今やルフトハンザグループの最速に成長するネットワークエアライン=然し、ユーロウイングズが立ちはだかる
08-Sep-2017
オーストリア航空は、2017年の最初の7カ月で、ルフトハンザグループ内で最も早く成長するネットワークエアラインとなり、旅客数の拡大が加速する活況を楽しんで居る。同社は、且て2012年から2015年にかけて、旅客数の下降により最も成長の遅いエアラインだったが、今年、現在までの13.7%は、ルフトハンザやスイス航空の一桁成長を楽々と上回って居る。
にも関わらず、オーストリアンは搭乗率と利益率の点で他のネットワークエアライン各社を下回って居る。同社はまた、ルフトハンザやスイスに比べ、ずっと近/中距離エアラインである。現在の成長は、より長期に亘って、継続するようなものと言うより、以前に失われた需要や供給を取り戻して居る事によるのかも知れない。
ルフトハンザの考える成長戦略の担い手は、依然として、新たに買収してグループの低コスト部門に統合される予定のブラッセル航空を含めた、ユーロウイングズである。所謂、地点間(単純往復の)エアラインは前年同期比で25%も成長して居る。
ユーロウイングズは今や、35の近/中距離路線をもって、オーストリアンのウイーン・ハブに於いて、供給席数で第2位のエアラインである。ユーロウイングズは、その単位コストの点から言うと、本当の低コストエアラインでは無いが、オーストリアンより低コストである。ルフトハンザは確かに、ウイーンに於いて、グループの近/中距離路線網を運営するために、オーストリアンを使う以外の選択肢を持って居るのだ。
Austrian Airlines: now Lufthansa Group's fastest growing network airline, but Eurowings looms
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LATAM航空グループ、路線網の力を支える戦略的な動き=域内の動静が変わる中で
06-Sep-2017
LATAM航空グループは、過去1年半に亘り、25の新路線を追加し、15を廃止して、数多くの路線網の変更をして居る。この動きは、同社の立場の強さをてこに使った戦略的にデザインされたものであり、そして幾つか副次的な国際線地点を同社のリマとサンチアゴのハブに結びつけ、アルゼンチン航空の新しい商機に投資し、国内線市場の一部では競争を強めて居る。
ラテンアメリカの市場の環境が依然として流動的なため、LATAMは、ブラジル国内線と国内のスペイン語圏市場での下方修正を行う一方で、国際線市場ではASKを上げるという、その特定地域での供給計画を、調整して居る。供給の下方修正にも関わらず、LATAMはブラジル、コロンビア、チリそしてペルーの中で、新たなそして既存の低コストのライバルからの競争が益々強まるために、より攻撃的になる事を決意し、2017年と2018年の間に、いくつかの地点間路線を開設しようとして居る。
LATAMは全体の運営環境には慎重さを維持して居るが、同社の収入傾向は2017年第2四半期に、部分的には、通貨の切り上げが事業に好影響を与えたことと、主としては、過去数年間の供給管理が功を奏して、3期連続でプラスの実収単価実績を記録して居り、引き続き安定化を示して居る。
LATAM Airlines Group makes strategic moves to bolster network strength as regional dynamics change
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豪州/ニュージーランドからラテンアメリカへ=LATAMが成長、エアNZとカンタスはブラジルを検討
豪州/ニュージーランドからラテンアメリカへの旅は、航空界にとっては小規模な大陸間市場の組合せの一つであるが、国内間、そして国際間の同盟、提携関係により成長して居る。LTAMは、サンチャゴ=オークランド=シドニーと言う売り物をサンチャゴ=メルボルン直航便で補完する計画だが、これはLATAMとそのワンワールドの提携相手であるカンタスにメルボルンからブエノスアイレスなどの南米諸都市へワンストップで行ける商品提を可能にする事になる。
エアニュージーランドは、オークランド経由のメルボルン=ブエノスアイレス間市場と言う小規模なニッチを見つけ出したのだ。
2018年1月は両地域間にほぼ毎日3便が飛ぶピークの月だ。オフピーク期であっても、この商品は、どちらかと言うと伸び悩んだ最近の数年間(カンタスは伸びたが、アルゼンチン航空はこの市場を撤退した)の後に、成長を生み出すだろう。アルゼンチン航空は現在は、エアNZと提携して居る。
カンタスとエアNZは、超長距離を飛ぶ事を可能にする新しい広胴機の評価を行なって居る。これは豪州/ニュージーランドからブラジルへ初の直航便を含む可能性もある。
Australia/New Zealand to Latin America: LATAM grows, Air NZ & Qantas consider Brazil
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欧州-日本間エアライン市場:反競争的共同事業が懸念=供給総量の81%を3グループが占める
05-Sep-2017
欧州と日本間の市場は、航空運賃が押し上げられ、成長が減退して、余りにも集中が進んで居ると言う懸念が広がって居る。欧州ー日本間の直航便の供給席数の81%が、スターアライアンスを中心としたJV、ワンワールドを中心としたJV、そしてて、JVでは無くそれ自身が支配する、エアフランス-KLMの3つのグループに握られて居る。
これに比べて、大西洋横断路線市場は、供給の75%をJVが支配するが、各国エアライン、LCC、次世代狭胴機の混合勢が入り込んで、JVの市場占有率を押し下げて居る。スターアライアンスを中心とする、欧州-日本JVは供給を削ったが、一方、ワンワールド中心のJVは、漸く拡大しようとして居る。
日本市場からは、短かい旅行時間に、通常より高い指向性がある。これは、この市場が他の市場なら受け入れる様な第3国と言う選択肢を除外することを意味するが、他のアジアのハブや、中東を通る第3国経由路線は、多くの場合、かなり長距離となり、妥当性が下がる。
Europe-Japan airline market: anti-competitive JV concerns as 81% of capacity held by three groups
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ライアンエア、年間旅客数でサウスウエストのお手本に近づく=低コスト、実収単価では、それを上回る
05-Sep-2017
2017年7月は、ライアンエアにとって、また一つ記録を打ち立てた月だ。同社は、欧州エアラインとして初めて、1ヶ月間に1200万人を超える旅客、1260万人を輸送し、搭乗率は、1ポイント上がって、同社史上最高の97%になった。同社はまた、EUで最初のエアラインとなるのだが、初便が飛んだ1985年以来、10億人目の顧客を運んだと言って居る。
ライアンエアは、年間輸送旅客数でも、サウスウエストエアラインが1990年代にLCCビジネスモデルを採用した当初の基本目標値に近づこうとして居る。2017年7月までの12ヶ月で、ライアンエアは、1億2510万人の旅客を輸送したが、これはサウスウエストが運んだ有償旅客1億2810万人にほんの2%低いだけだ。教え子が、この先1-2年のどこかの時点に先生を追い越すのは確実の様に見える。
この事から、ライアンエアをサウスウエストと規模や実績の他の指標でも数値を比較したくなる。
ライアンエアは、保有機数ではより小さいが、より大きな路線網を持って居る。然し、サウスウエストの路線網とスケジュールは、便数の多さと、乗り継ぎ需要にとって重要な要素を備え、より濃密である。一方で、ライアンエアは、(乗り継ぎ商品を売り始めてからも尚)地点間往復に集中して居る。低コストエアラインとして、両社を判断する場合、ライアンエアの、かなりより低い単位コストと、より高い実収単価が、より大きな成功をもたらすだろう。
Ryanair nears annual passenger count of role model Southwest; beats it on low costs and margins
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カンタス、シンガポール・ハブを再開、実収単価を追求し、ロンドンに集中=今や、選択肢は多様に
05-Sep-2017
カンタスは、随分前から、規模で外国の市場を支配する事は出来ないが、実収単価の品質と、大きなとは言えなくとも、意味のある存在感を示す事は出来ると言う事実を甘受して居る。2013年に発効した、記念碑的なエミレーツとの提携以来、カンタスは、自分自身について多くを学んだ。即ち、欧州での同社の強みは、実はロンドンであり、ドバイで、エミレーツと完全に相互交換可能なハブと言うのは不可能だと言う事だ。
カンタスは、エミレーツとの提携を5年間更新する予定だが、他のJVの例とは違って、大きく異なる内容での更新となる。
カンタスは、エミレーツのドバイハブを出て、その代わり、計画中のパース=ロンドンを補完する形で、シンガポール=ロンドンの毎日1便を復活する。これにより、カンタスには、豪州からロンドンへのより良い送客がもたらされ、アジアののハブを拡大し、旅客には、より大きな選択肢を与える。即ち、他のエアライン各社と、その提携相手各社は、一つのハブに集中する。
Qantas reopens Singapore hub, pursuing yield and focusing on London; now has numerous options
Premium Analysis
航空と音楽産業:協力が必要=エアライン、空港そして観光関連組織の間で
CAPA-航空センターが発行した、この80ページのレポートは、エアラインと空港が、各々の施設内で(機内やターミナル内で)のパフォーマンスなど、積極的に参画して居る、音楽イベントのプロモーションについて、欧州、北米、アフリカでの6つのケーススタディを通じて、その有用性を検証して居る。
一方で、多くのエアラインや、空港、或は観光局さえも、その事業計画立案の中に、結局は旅行産業同様に、世界的なものであるにも関わらず、音楽産業に正当な価値を見出して居ない。
特にライブの音楽イベントは、自分の好みのアーティストの為には、そして、フェスティバルの場合は、目新しい他のパフォーマーを体験する為なら、国内でも、益々増えている海外にも、旅することを厭わない極めて多くの人々を惹きつけて居る。
「超ファン達」は、好みのパフォーマー達のコンサートからコンサートへ、世界中を追いかける事に、人生を捧げて居るのだ。
Aviation & the music business: co-operation needed between airlines, airports and tourism bodies
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フィリピン航空、長距離路線戦略第3部=セブ-ロサンゼルス線の復便、新規米国内地点
フィリピン航空は、野心的な北米市場での拡大計画の一部として、セブからロサンゼルスへの便を復活し、少なくとも一つの新たな米国目的地を2019年末までに開設する事を計画して居る。マニラからニューヨーク、トロントへの便を直航化し、セブ=ロサンゼルスを復便、そしてシカゴ、ヒューストンまたはシアトルを開設する事で、昨年来、既に30%以上も増えたPALの太平洋横断路線の供給は、更に50%近くも拡大する筈だ。
新しい6機のA350-900は、拡大を牽引し、全ての米国路線に使用される予定だ。A350により、PALはビジネスクラス座席の改善を、そして長距離路線にはプレミアムエコノミーを導入する事が可能になる。
然しながら、PALは一貫性のある商品を提供し、益々競争の激しくなる東南アジア=北米間市場で、立場を改善するために、777の改修も実行しなければならないだろう。PALは既に供給過剰に悩んで居る市場で、拡大を成功させるためには、提携する米国エアラインを確保する必要もあるだろう。
Philippine Airlines long haul strategy Part 3: resuming Cebu-Los Angeles and new US destinations
ヒースロー空港第3滑走路、政治的ご都合の虜になる模様=また、また
英国の労働党は、今の所、日程は未定だが、2018年上期に、国会にて討議される際には、「環境問題への懸念」と言う見地から、ロンドン・ヒースロー空港の第3滑走路(LHR R3)の建設を阻止する方針だという噂が広がって居る。
現在の保守党の少数与党政権は、既に2016年10月にガトウイック空港の拡張よりも、ヒースローの滑走路増設を、離着陸並行運用する滑走路延長の代替案よりも北側の滑走路をと明示した、英国空港委員会の勧奨を受諾して居る。
現時点では、ヒースロー解決案の代わりに、他の地域空港の活用を再考しようという案の再浮上さえ起こって居る。
Heathrow Airport’s third runway seems set to fall victim to political expediency - yet again
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ROICの悪化がウエストジェットの収入改善に影を落とす=然し、野心は依然軒昂
カナダの低コストエアライン、ウエストジェットの好調な2017年第2四半期収入実績には、何か、同社のますます悪化する、投下資本利益率(ROIC)実績が暗い影を落として居るようだ。
ウエストジェットが記録した、9.8%のROICは、この四半期、同社が目標として居た、13%から16%と言う数値の上限を、6ポイント近く下回って居る。ウエストジェットの経営陣は、アルバータ州にある資産が改善して居り、より長期的な投資が、実を結び始めて居る事から、同社のROIC実績は底を打ったと考えて居る。
同時に、ウエストジェットは、当初、予期して居たよりは遅くなったが、2018年に新たな超LCCを立ち上げ、また、中国への便就航の認可を正式に求めて、長距離路線網を展開する為の、地ならしの作業を続けて居る。
広胴機の路線網を拡大する事と、超低コストエアラインを創る事の最中に、同社は、世界のエアラインの中でも、最も野心的な課題の一つを抱えて居る。次の何四半期かの間、そのプロジェクトに対する目標を達成するための同社の努力から、目が離せない。
Deteriorating ROIC overshadows WestJet's revenue improvement, but its ambitions remain high
ベルリンのブランデンブルグ空港、何故ドイツのスワンナプームになる必要があるのか=そしてテーゲルは何故閉鎖すべきでないか
29-Aug-2017
ドイツ以外ではベルリンの航空事情に大きな注意を払う人が少なかったのは、そんなに昔の話では無い。欧州最大の経済力を誇る(そしてGDPでは世界第4位の)国の首都で、3つの民間空港(2008年にテンペルホーフが閉鎖されてからは2つ)は、犯罪的と言えるほど使用されて居ない。
エアベルリンが内部崩壊し、ベルリンの(いまだに殆ど)真新しいブランデンブルグ空港を踏み台にして飛び立とうと計画して居たこのエアラインの、旨そうな部分を狙って、禿鷹たちが空中を旋回する中で、今や、首都の空港計画に改めて目を向ける時である。テーゲル空港を閉鎖する計画は、経済活動に何十億ドルもの損失をもたらすリスクがある。新たな、供給不足の空港でエアラインの成長を制限する事は、ベルリンの首都としての地位を危うくする可能性もある。
Why Berlin Brandenburg Airport must become Germany’s Suvarnabhumi & Tegel should not close
Premium Analysis
北東アジアのLCC子会社、IPOを検討=然し、親会社のグループ戦略を阻害するリスクあり
29-Aug-2017
北東アジアには、フルサービスエアラインの子会社である低コストエアラインの方が、独立系のLCCより多く存在して居る。LCC子会社は必要に迫られて生まれた訳では無く、LCCの拡大は避けられないと考えられたために、フルサービスエアラインが有利なスタートをしようとしたためである。LCCの子会社の多くが、未だに、あやふやな戦略的ビジョンしか持たず、彼らのフルサービス親会社との関係も明確に定義されて居ない。
アジアの航空界の加速する変化に対応するために、より大規模なエアライングループの統合が必要だろう。世界的な旅行需要の拡大、特に所得水準が上がり、ビザ規制が外されるにつれて、域内の旅行が強烈に伸びて居る。かつて極めて利益が上がった長距離路線に圧力がかかり、フルサービス事業全体を再評価する事が必要となって居る。
グループの統合は、低コストとフルサービスブランド間の距離を引き離す事になる、LCCの子会社によるIPOにより、危うくなって居る。LCCの株主たちは、フルサービスエアラインの気まぐれに晒されて居ると感じるかも知れない。これらのシナリオはIPOが上手く行ったLCCであるジェジュエアと春秋航空の例とは少し異なって居るのだ。大韓航空のジンエアは2017年末までに上場する計画である。
Northeast Asian LCC subsidiaries consider IPOs - but risk hurting parent group strategy
Premium Analysis
フィリピン航空の長距離路線戦略 第2部=ニューヨーク/JFKそしてトロントへの新規直航路線
29-Aug-2017
フィリピン航空(PAL)は、2018年8月、最初の2機のA350を受領した後、マニラからニューヨークへの直航便を太平洋横断路線の拡大の新局面を開始する計画である。
マニラ=ニューヨーク線は、極めて競争の激しい北米市場でPALがその立場を改善するための野心的な戦略の一部として、2019年末までに追加する、少なくとも4つの太平洋横断路線の一つである。
PALはA350に295席3クラス、ライフラット・ビジネスクラスとプレミアムエコノミー商品を初めて北米市場に導入する客室仕様を選んだ。同社は少なくとも3つの新たな米国路線を開設するために使う予定の、A350を6機発注済である。
PALはまた777-300ERを使って、トロント線を直航に格上げし、カナダでの拡大も計画して居る。PALは引き続き777を同社の3大太平洋横断路線である、マニラ発ロサンゼルス、サンフランシスコ線、そしてバンクーバー線、トロント線に運航、一方、需要規模の小さな地点へはより小さいA350を使用する計画である。
Philippine Airlines long haul strategy Part 2: new nonstop routes to New York JFK and Toronto
Premium Analysis
アズール航空、A320neoへの強気な見方=2017年下期の見通し好調を支える
25-Aug-2017
ブラジルの業界第3位の規模のエアライン、アズールは、同国の国内線旅行市場が良い方向に向かい、国際線の需要が回復を見せて居る中で、前向きな姿勢を強めて居る。
同社は2017年遅くに、ベロホリゾンテからオーランド、べレムからフォートローダーデールを2017年12月に開設し、拡大を再開する計画だ。
アズールは2017年に、主としてエアバスA320neo狭胴機を保有機群に加える事が牽引し、最大で13%供給を伸ばす計画である。同社の供給拡大は、まだまだ脆弱なブラジル市場の状況から考えると強烈と映るかも知れないが、アズールとしては、通常弱い2017年第2四半期に好調な収入実績を上げた事から、拡大分は充分に吸収されると自信を持って居る。
同社はまた、2017年6月に預託手荷物の有料化を始めたブラジル最初のエアラインとして、更なる商品のばら売りの機会を検証して居る。アズールは、この概念がラテンアメリカでも、まさに定着し始めて居る事から、同社の商品個別販売戦略を構築するために、世界中の付帯サービス収入モデルを研究して居る。
Bullish views on A320neos underpin Azul Airlines’ positive outlook for 2H2017